軸力
(柱に沿って働く力で、圧縮力や引張力として現れます。柱が建物の重さを支えるために重要です)
断面算定は力の成分ごとにチェック(FAP-3で行う構造設計入門2)
断面算定は力の成分ごとに実施する
構造物には、圧縮力(押しつぶす力)、引張力(引っ張る力)、せん断力(ずらす力)、曲げ(曲げる力)など、さまざまな力がかかります。それぞれの力に対して、材料が耐えられる力の限界を「許容応力」と言い、定められた許容応力以下であれば、その部材は安全に使用できると判断されます。
特に骨組み構造では、断面での許容応力度と部材ごと、力の成分ごとに求めた応力度との比較を行います(断面算定)。各構造部材は、種類ごとに加えられる力が違うため、部材ごとに求められる応力度の性能は異なります。
ここでは、安全な設計を行うために圧縮、引張、せん断、曲げ、など力の成分ごとの許容応力度の考え方について解説します。
部材断面ごとの計算
許容応力度計算(1次設計)における部材断面の計算は、部材に生じる応力度に対して、材料の許容応力度以下となるように設計することです。応力度には、垂直(軸)応力度(引張応力度、圧縮応力度)、せん断応力度、曲げ応力度があり、それぞれが許容応力度以下となるように設計する必要があります。
1.引張力を生じる部材の安全性の確認
例:許容引張応力度が8N / mm2の150mm×150mmの角材の許容引張力Ntは、
150mm×150mm×8N / mm2=180,000N=180kNとなる。
2.圧縮力を生じる部材の安全性の確認
細長比が大きいほど、部材は細長く、座屈しやすくなるので、座屈提言係数(1以下)をfcに乗じる。
3.曲げ材の設計
1.せん断力に対する安全性の確認
せん断力に対しては、最大せん断応力度が材料の許容応力度以下となるようにする。
梁断面上のせん断力は大きさは同じで向きは反対の力がかかる現象です。梁全体で考えると、例えば図2-1のような曲げの力がかかった場合について、梁の中立軸(中立面)付近だけ取り出した図が図2-2となりますが、中立軸付近では、そのすぐ上の面と下の面で互いに反対向きの力が生じていることを表してます。矢印は面内の力を示しているので、単に引張と圧縮です。反対向きの力がかかるので、中立軸(面)上はせん断応力が生じます。
また、図2-3のように、中立軸付近の梁側面の一部を矩形として取り出すと、矩形面上は図2-2にあるように水平方向に大きさは同じで向きは反対の力がかかっていますが、梁の変形が生じることで、垂直方向にも大きさは同じで向きは反対の力がかかっていることが分かります(図2-4)。
参考1の図は、その垂直成分のみを表していますが、集中荷重の場合には荷重のかかる部分のみに、分布荷重の場合には分布荷重のかかる部分全体にせん断力が発生します。せん断力は大きさは同じで向きは反対に生じます。また、断面形状によってκ(断面形状による係数)は異なる値を取ることが知られています。
2.曲げモーメントに対する安全性の確認
曲げモーメントに対しては、最大曲げ応力度が材料の許容応力度以下となるようにする。
図1~3のように曲げモーメントが生じる部材は、部材の中立軸(図心軸)を境に上側が縮み、下側が伸びて湾曲しようとします。この時の応力度は、上側が圧縮応力度で、下側が引張応力度となり、この垂直応力度を曲げ応力度といいます。応力度分布は、中立軸では0となり、中立軸から一番遠い縁応力度が最大曲げ応力度となります。応力度分布は、中立軸では0となり、中立軸から一番遠い縁応力度が最大曲げ応力度となります。
曲げを受ける梁などでは、支点間距離(lb)に応じて、許容曲げ応力度fbは低減される。
部材ごとの支配的な応力成分 TOP3
以上を受けて、建築物の構造部材である柱・梁について、特に支配的な応力成分についてTOP3を以下に記します。
1.柱の支配的な応力成分
曲げモーメント
(柱が曲がる原因となる力のモーメントです。特に地震時や風圧力などの横方向の力に対して重要です)せん断力
(柱の断面を横切る力で、柱の上下方向に働きます。柱の安定性に影響を及ぼします)
2.梁の支配的な応力成分
曲げモーメント
(梁が曲がる原因となる力のモーメントです。梁の中央部で最大となります)せん断力
(梁の断面を横切る力で、梁の支点付近で最大となります)軸力
(梁に沿って働く力で、通常は圧縮力や引張力として現れますが、梁の設計によっては重要な役割を果たします)
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