Mastercam 2021に搭載された新機能とは

ウェブでの工具検索でツーリング設定が飛躍的に効率化

世界で最も使われているCAD / CAMソフトウェア「Mastercam」の最新バージョン「Mastercam 2021」が、2020年9月2日にリリースされました。

割り出し5軸加工の自動作成機能、走査線加工の形状最適化などオペレーターの負担を軽減する機能が多数追加。3次元モデルの作成、モデリング機能、図形選択機能などの新機能や改善された機能を搭載しており、ツールパスの作成作業が効率化します。生産性向上・時間短縮を実現するための機能の一部をご紹介します。

工具の到達範囲を確認

工具の到達範囲確認機能により、工具とホルダーのアセンブリ情報を元に工具が届く範囲を色分けしてプレビュー。検出された加工範囲は色分けされたメッシュ図形として保存も可能。これにより使用工具の最小径や有効突き出し量が解析できるほか、指定した工具を基準に加工範囲の検索ができます。

  • * 対応はフラット/ボール工具

面取りドリルツールパス

面取り用ドリル工具を使用して指定した面取りサイズを加工。直径や深さ違いの穴でも面取りサイズを指定すれば、切り込み深さを自動調整し最適なツールパスを作成できます。直径の異なる穴に対しても同サイズの面取りを1工程で作成でき、面取りサイズは「幅」「深さ」での指定が可能です。

ソリッド穴 カスタム形状サポート

ソリッドカスタム穴作成機能が強化され、既定の穴形状だけでなく複雑な穴形状をパラメトリックに作成できます。穴径、深さ、テーパー角度などの設定が可能で、段数も増減が可能。さらに設定した寸法はテンプレート化して再利用することもできます。

アドバンスドリルツールパス

アドバンスドリルはマルチセグメント対応のカスタムドリルサイクルで、複雑なドリル加工や多段穴、中空穴などドリル加工の途中で切削条件の変更が可能、1本の工具で複数条件設定ができるドリル加工用のツールパスです。深穴加工や中空形状の穴などドリル加工の途中で送り速度や切り込み量を変化させる必要がある場合に有効です。

HST平行 自動角度

平行ツールパスの切削方向最適化を自動化しました。加工対象となる形状から自動的に領域の最大加工長(加工効率)に合わせて加工角度を設定し、接続移動を最小化して無駄な切削動作を削減。より効率的な平行切削が行えるようになりました。

  • 自動設定なし

  • 自動設定あり

HSTブレンド 3Dブレンド投影方法サポート

HSTブレンドは2本の曲線間を徐々に変形しながら経路生成するツールパスで、Mastercam 2020と比較して大幅に精度が向上しました。ブレンド方法を曲面の法線方向に投影することで滑らかなツールパスを生成できます。

  • 2D投影

  • 3D投影

HST ブレンドパス 工具刃先/刃先接触点

加工エリアの判別を「工具刃先」もしくは「工具接触点」に切り替えられます。これにより傾斜面の加工範囲調整が簡単に行えるようになりました。

  • 工具刃先:刃先で加工エリアを決めるため加工範囲が狭くなる

  • 工具接触点:工具とワークピースの接触点で加工範囲を決めるため、加工範囲が広がる

多軸ポケット切削 工具軸制御

多軸荒取りツールパスを強化し、多軸ポケットツールパスに名称を変更しました。高効率工具を使用した際にバレル工具専用の工具軸制御が可能になり、この新しい工具軸制御は優先的に切削する工具ポイントを設定できます。

Mastercam技術情報 バレル工具とは? ~バレル工具の可能性~

多軸ポケット切削

アンダーカット部対応や壁面、フロア面仕上げのオプションを追加。バレル形状の場合は、外周刃のR形状が位置により異なるため切削条件が変わります。また、壁仕上げ接触点設定を変更することで加工できる範囲やチルト角度、ステップオーバーも変化します。

  • 優先接触点:50%、最小接触点:40%、最大接触点:60%

  • 優先接触点:50%、最小接触点:10%、最大接触点:60%

多軸3+2軸自動荒取り

3+2自動荒取り機能でオペレーションがスムーズになりました。

位置決め5軸加工の平面座標作成や切削方向の判断がセミオートになり、ツールパス作成が少ない工程で可能。ワーク設定とパーツモデルから最適な割り出し方向を算出(ワークを大量に切削できる方向)し、自動的に加工平面の作成および最適荒取りを作成します。

割出平面は自動か手動の設定選択ができ、ニーズに合わせた調整も可能です。

切削方向は自動で決定される