MastercamによるNCプログラムの自動作成

人間が判断する回数を減らす便利な機能

工作機械を動かすために使用されるNCプログラムは、工作機のコントローラーやCAMソフトウェアで作るのが一般的となり、CAMオペレーターの負担を軽減し、短時間でNCプログラムの作成が可能になりつつあります。

今回は3D CAD / CAMソフトウェア「Mastercam」の自動ツールパス作成機能に焦点を当てます。

NCプログラムを作成する際の課題

NCプログラムの作成は加工形状によっては多くの時間を取られる場合があり、プログラム作成に時間がかかる要因は主に次のようなものが挙げられます。

  • 多数の工具を使用する:工具設定作業や干渉チェックの確認
  • 工程を細かく分ける:オペレーション数が増える
  • 形状が複雑で座標の計算が困難:工具経路の計算が難しくなり時間がかかる
  • 高い加工精度が求められる:丁寧な加工が必要でプログラムに工夫が必要

これらの問題を解決するためにはCAMに搭載されている切削アルゴリズムと操作性が重要ですが、最小限の加工設定で高品質なNCプログラムを作るのが理想形です。

Mastercamの強み

Mastercamは高品質なツールパスが強みのソフトです。

近年のバージョンアップでは、オペレーターの負担を軽減するためさまざまな工夫がなされ、CADデータから加工領域の自動判別や荒取りから仕上げ加工までの複数工程を自動作成するなど操作の自動化・効率化が進んでいます。

Mastercam 2021に搭載された新機能とは

CAMの自動化機能を生かすには

CAD / CAMを使ってNCプログラムを作る場合でもヒトの作業はゼロにはなりません。「製品データを取り込んだだけで、ソフトがプログラムを全部作ってくれる」というのが理想ですが、「どのような工具を使うのか」「どういった削り方を行うのか」という部分の選択は人間が判断する必要があります。

Mastercamで加工プログラムを作る流れは以下のようなフローになります。

穴加工や3軸、5軸加工など複雑な操作を支援する機能が搭載されており、オペレーターの作業時間を短縮し、さらに人間が判断する作業の回数を減らし、作業時間をより短縮できます。

加工プログラムの自動化

Mastercamには穴加工や2軸加工のツールパスを自動化した機能が幾つか搭載されています。特にソリッドモデルを利用したツールパス作成は形状認識や加工自動割り付けなどオペレーターの加工検討時間を削減できます。

FBMドリルツールパス(FeatureBaseMachining)

ソリッドモデルから穴加工に必要な一連のドリルパスを一括作成。キリ穴・タップ穴や大径穴など、FBMドリルを使うことで複数工程必要な加工を1オペレーションで作成できる。

FBMとはFeatureBaseMachiningの略でソリッドモデルに割り付けられた属性情報(穴径、タイプ、深さなど)を元に穴加工を行う。

オペレーターは穴位置の確認や加工パターンを選択しなくてもCAMが自動的に加工方法と位置を決定してくれる。

FBM Mill

FBMドリルと同様にソリッドモデルのフィーチャ情報を元に切削加工のパターンを自動割り付けする機能。正面切削から荒取り、取り残し加工、壁や床面の仕上げ加工まで2軸加工で切削できる形状であれば、加工条件を合わせば半自動でツールパスを生成することができる。

初期設定と加工結果がマッチしない場合は設定条件を変えることで使用工具や加工条件を変更できるのでリトライが簡単にできることも強みである。

3+2自動荒取り

いわゆる割り出し加工による5軸ツールパスの自動作成機能。割り出し加工は回転軸を伴う多軸加工機で使われる工法だが、多方向からの加工を行うので適切な割り出し角度を導き出すのは手間がかかる。

工具の突き出し量や部材との干渉チェックなど考慮すべき項目が多くオペレーターの負担も大きい。「3+2自動荒取り」は工具形状と切削対象物の形状を正確に設定することで、適切な割り出し角度や荒取りツールパスを自動計算する。

ブレードエキスパート

Mastercamのもう一つの特徴が形状ごとに特化した自動化機能があることだ。

ブレードエキスパートはブレード(インペラ形状)に対する専用ツールパスで荒取り、仕上げ工程の設定が簡素化され最小限の条件設定でツールパスの作成が可能だ。
特定の形状に特化した機能なので荒加工も仕上げも適切な工具経路を生成する。

Mastercamはあらゆる加工に対応する全方位型のCAD / CAMです。自動化ツールパスの穴加工から形状加工、多軸加工まで幅広く対応しています。

NCプログラムの作成時間を削減するソリューションとしてぜひご活用ください。