プラスチック射出成形品の形状ができたら、事前に解析してみよう!

3D CAD上での解析利便性は使わないと損

プラスチック射出成形品の形状ができたら、樹脂流動解析の実施をお勧めします。シミュレーションを行うと、充填パターンや金型内で発生するウェルドラインなどを事前に知ることができ、成形不良を見つけられます。

今回は、SOLIDWORKS Plasticsの特長と発見できる成形不良の例をご紹介します。

解析の手順

解析の手順は大きく分けて、次の4ステップです。

  1. 成形品側のCADデータを読み込む

    SOLIDWORKS Plasticsにモデルデータの読み込みができれば、設計データを解析用データに修正する必要はありません。金型形状データを使わなくても、製品形状データさえあれば射出解析ができる点がSOLIDWORKSの利点です。

  2. 解析用モデルの作成(ゲート、メッシュの作成)

    ゲート位置の設定およびメッシュを作成します。メッシュ分割は計算の正確性に影響をおよぼすため、適したメッシュの種類を選びます(後述にて詳しく解説)。

  3. 成形条件の設定・計算実行

    材料データベースから充填樹脂を選択すれば成形条件は自動で設定されます。計算は(1)充填、(2)保圧、(3)反りの工程を(1)、(1)(2)、(1)(2)(3)の必要な手順組み合わせから選択し、実行します。実行できる計算手順はライセンスにより異なります。

  4. 結果の確認

    解析結果が可視化されるので、確認します。狙った設計意図通りに充填されるのかの検討が可能です。不具合があった場合は原因を特定し、改善策の検討に役立ちます。多くの条件検討が金型を実際起こす前に解析することで、時間とコストの削減につながります。

メッシュ

計算精度を高めるために、適切にメッシュを分割する必要があります。SOLIDWORKS Plasticsには、適用させるメッシュ分割手法が複数用意されており、利用者が行う解析に対して適切なメッシュ分割手法を選択することができます。

シェル

  • 2.5Dで形状を表現。
  • 薄肉形状に有効。
  • 偏肉形状が苦手。
  • 内部を表示できない。

ソリッドメッシュ:テトラ

  • 3Dの4面体で形状を表現。
  • どんな形状にも使えて万能。
  • 肉厚モデル向き。
  • メッシュ数が多くなって計算時間長くなる傾向大。

ソリッドメッシュ:ハイブリッド

  • 三角柱とテトラを組み合わせて形状を表現。
  • 少ないメッシュ数で厚み方向に層数を確保できるため、薄肉形状に有効。
  • 厚肉モデルは不向き。

SOLIDWORKS Plasticsでの解析結果

どのような結果が可視化されるのか、画像でご紹介します。

充填パターン

充填解析から充填パターンが出力できます(アニメーションで再生・保存が可能)。樹脂の通過時間を示した内容で、青色部分から赤色部分に向かって流動(進行)していくことを示しています。製品形状やゲート、ランナー位置などの適正を評価・確認できます。

  • 2点ゲート

  • 1点ゲート

ウェルドライン

流動の先端がぶつかるウェルドラインの表示ができます。モデル形状やゲート位置により発生するウェルドラインを事前に把握できます。

  • 2点ゲート

  • 1点ゲート

ショート・ショット

成形品の一部が欠けて不完全な形状になるショートショットの表示ができます。赤色の領域がショートショットになることを示しています。モデル形状やゲート位置、成形条件などにより発生するショートショットを事前に把握できます。

  • 充填時間、温度、射出圧力などの異常なし

  • 充填時間、温度、射出圧力などの異常あり:赤色が生じる

反り解析:2点ゲートと1点ゲート比較(拡大倍率10倍)

  • 2点ゲート

  • 1点ゲート

SOLIDWORKS Plasticsの解析はライセンスがPlastics StandardやPlastics Professionalまでだと反り解析を実施できません。反り解析まで行われる場合は、Plastics Premiumのご利用をお勧めします。

SOLIDWORKS Plastics 製品比較