SOLIDWORKS Plasticsで出力できる解析結果のご紹介(Premium版)
反り解析で成形品の収縮変形を予測し、後工程で発生する反りを事前に防ごう!
SOLIDWORKS Plastics Premiumにおける反り解析では、成形品における次のような要因を考慮し、製品の反り変形を高精度に予測します。
- 肉厚差による樹脂の収縮量の違い
- 金型内の冷却水路による温度差
- ガラス繊維入り樹脂の場合の繊維配向による影響
これらの要素が複合的に影響することで、成形品の反りが発生します。なかでも最も一般的な要因は、形状起因の肉厚差により発生する収縮量の差です。本記事では、SOLIDWORKS Plastics Premiumによる反り解析の出力結果と、それをどのように設計・製造に活用できるかについて解説します。
反り解析から変形図と変形量を出力
反り解析では、樹脂の充填から保圧冷却解析の結果を基に、成形品の収縮およびそれに伴う変形挙動を解析します。3Dモデル上に収縮変形後の変形図や各点の変位量を可視化することが可能です。
変位量は、XYZ各軸方向の個別成分に加えて、ベクトル合成された全体変位量としても確認できます。さらに、視認性を高めるために変形図の倍率も設定でき、微小な変形も視覚的に把握しやすくなっています。
反り変位図と変位量(変形倍率を10倍にした場合)
反りの要因
成形品における肉厚差が原因となる収縮量の差は、SOLIDWORKS Plastics Professionalで実施可能な「保圧解析における体積収縮率」で評価できます。体積収縮率は、各要素の局所的な体積変化を数値として出力するもので、肉厚変化に起因する収縮傾向の定量評価が可能です。
さらに、体積収縮率の解析結果に対してカラーレンジを調整し、等位面を出力すると、収縮の等高線を立体的に可視化することができ、特定部位での挙動を直感的に把握できます。
変形倍率10倍の場合
反り解析の活用
反り解析の結果から、変形の方向性および収縮の大きい部位を把握できたため、それを踏まえた設計案A・Bの比較検証します。
A案:中央部のデザインを補強し、変形方向に対する剛性を強化
中央部にリブ形状を追加するなどの設計変更を加えた結果、剛性は向上したが、周辺との収縮差が拡大し、かえって反りが悪化するという結果となった。
A案:変形方向を補強するため、中央部のデザインを変更(反り変位図と変位量 変形倍率10倍の場合)
B案:底面を肉抜きし、収縮のバランスを調整
肉厚の不均一性を軽減するために底面の肉抜きを実施した結果、体積収縮率の偏差が抑えられ、全体として反り変形が改善された。
B案:収縮を少なくするため、底面を肉抜き(反り変位図と変位量 変形倍率10倍の場合)
まとめ
このように、SOLIDWORKS Plastics Premiumを活用することで、収縮や冷却条件、材料特性が複雑に絡み合う反り変形を成形前の段階で高精度に予測・評価することができます。設計者の経験や勘だけでは把握しきれない変形挙動を定量的に解析・比較することで、製品品質の安定化と手戻りの削減に大きく貢献します。
反りの予測と対策は、今や試作後の対応ではなく、設計段階から解析によって計画的に取り組むべき課題です。射出成形品の反り変形でお悩みの方は、ぜひSOLIDWORKS Plasticsシリーズの導入をご検討ください。