SOLIDWORKS Simulation パラメトリック最適化で軽量化を実現

質量を約36%軽量化しながら、安全率4を維持することに成功

昨今の製造分野では軽量化が求められており、「いかに強度を保ちながら軽量化を実現させるか」は非常に重要な問題です。軽量化を実現するためには、強度を保ちつつ、部品の質量を減らす必要がありますが、従来の設計では、何回も試行錯誤を重ねる必要があり、膨大な工数とコストがかかります。

SOLIDWORKSのパラメトリック最適化(注1)は、1回の実行で膨大な作業を効率的に行えるため、軽量化の課題を解決する有効な手段となります。本記事では、実際にパラメトリック最適化を用いた場合の効果を検証します。どのような結果になるのか確認していきましょう。

解析結果を基にパラメーターを最適化

解析結果を基にしたパラメーターを最適化に関しては、次の記事をご確認ください。

SOLIDWORKSでできる設計モデルの最適化

  • (注1)本記事で行う解析には、SOLIDWORKS Simulation ProfessionalもしくはSOLIDWORKS Simulation Premiumが必要です。

解析モデル

今回は図1に示す、手すりのブラケットを解析対象として検証を行います。

図1:解析モデル

解析条件

解析条件は図2のとおりです。

ボルト穴の円筒面を完全固定、壁と接触する面に仮想壁を設定しています。また、手すり部分から1,000Nの力がかかることを想定し、荷重を設定しています。

図2:解析条件

パラメーター条件

図3のように寸法の範囲を指定します。

また、条件に安全率4以上、ゴールに質量最小化を設定します。つまり、安全率4を満たしつつ質量が最小となるように、各寸法の値が最適化されます。

図3:パラメーター条件

解析結果

図4のとおり、解析を行うと多数のシナリオが試行されます。その中から最適なシナリオは緑、逆に条件を満たしていないものは赤で表示されます。各シナリオをクリックすることで形状を表示できるため、最適な形状、条件を満たさない形状の確認を容易に行えます。

図4:解析結果

解析による効果

図5のとおり、初期形状では質量が約869gありましたが、最適形状では約558gとなり、約36%の軽量化が実現できました。

図5:解析前後の比較

まとめ

パラメトリック最適化を用いることで、強度を保ちつつ軽量化を実現できることが分かりました。今回は、線形静解析を行い安全率を条件にしましたが、ほかにも熱伝導解析の温度、固有値解析の固有値、座屈解析の座屈係数なども条件に設定できます。

このようにパラメトリック最適化は、軽量化設計だけでなく耐久性や性能の向上など、さまざまな設計課題の解決に役立つ有効なツールですので、ぜひお試しください。

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