建築DXに取り組む企業を支える1台に -マウスコンピューターのハイスペPCを福井コンピュータアーキテクトが検証

DXを推進する建築業界の業務効率化の一助たり得るのか

ゲームや動画、音楽などのマルチメディアデータを高速に処理するために欠かせないAPI「DirectX」。最近ではCADやBIM/CIMなどの建築・土木分野でも活用が進んでおり、同APIをメインで使うソフトウェアが増えつつある。そんなDirectX対応ソフトが快適に動作するハイスペックノートPCとして注目を集めているのが、マウスコンピューターと大塚商会が展開するDirextX向けモデル「DAIV 6H」および「DAIV 6P-RT」だ。

その性能が実際にDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する建築業界の業務効率化の一助たり得るのかどうかを確認するため、今回、CADソフト大手の福井コンピュータアーキテクトが検証に協力。ここでは、その結果と、両モデルの性能や業務における活用方法などを同社の澤田顕徳氏と青木直哉氏に伺ったので紹介したい。

建設業のICT化を日本発のCAD・サービスで支える福井コンピュータアーキテクト

福井コンピュータアーキテクトBIM事業部の青木直哉氏(左)と澤田顕徳氏(右)

今回お話を伺ったのは福井コンピュータアーキテクト株式会社 BIM事業部 マネージャーの澤田顕徳氏と、同事業部の青木直哉氏。まずはあらためて同社の会社概要や事業内容について紹介いただいた。

澤田氏:「福井コンピュータグループは1979年の創業以来、一貫して建設業に特化した専用CADソフトの開発・販売に携わってきました。2012年に持株会社体制に移行してからは、建築CADソフトウェア事業の『福井コンピュータアーキテクト』、測量土木CADソフトウェア事業の『福井コンピュータ』、カスタマーサポートサービス事業の『福井コンピュータスマート』という具合に事業体ごとに分かれたグループ会社になっています」

同氏によると、福井コンピュータグループの強みは「日本に根ざして日本のお客様に寄り添いながら、その課題解決に向けた商品やサービスの提供を行っているところ」だという。

澤田氏:「例えば戸建て住宅市場には、間取りや屋根などのデータから簡単に3Dモデルを作成できる『ARCHITREND ZERO』というCADソフトを提供しています。ビルのような大規模建築向けには『GLOOBE Architect』というBIM建築設計システムや、施工支援のための『GLOOBE Construction』などがあります。いずれも日本発のソフトウェアで、日本の建築基準法などに最適化されているのが大きな特徴です」

純国産ということもあって日本の設計手法にきめ細かく対応しており、GLOOBE Architectの場合は狭い地域にマンションなどの建築物を建てる際に重要になる逆日影斜線計算などの法規制に則した機能や、施工モデルデータから日本の規格にあった設計図面や法規関連図面を自動作成する機能などを搭載している。GLOOBE Constructionには施工モデルデータや歩掛りなどから工期を算定したり、工程計画を自動作成したりする機能が搭載されており、手作業や経験則だと発生しやすい手待ちや手直しなどのムダを抑えて業務の効率化を実現することができる。

澤田氏:「GLOOBE Constructionで作成した工程計画表のバーの色に合わせて、建物の3Dビューを色分けすることも可能です。それによって工事の順番なども視覚的に分かりやすくなります。GLOOBEでは、そうした3D表現をスムーズに行うときなどにもDirectXに対応したグラフィックボードの性能が生かされています」

フォトリアルなレンダリングも超高速で実行できる「DAIV 6H」

今回の検証では、福井コンピュータアーキテクトのBIM建築設計システムの最新バージョン「GLOOBE 2022 R1」と、その3Dモデルをレンダリングしてフォトリアルな画像を作成する連携ソフト「V-style ver2」が使用された。ベンチマークテストでは「DAIV 6H」および「DAIV 6P-RT」でそれぞれのアプリケーションを実行し、その動作確認と処理時間の計測が行われている。

各アプリケーションの動作要件と、検証機種のスペック、検証結果は次のとおり。

動作要件
ソフトGLOOBE 2022 R1V-style ver2
CPUCore i7以上Core i5以上(Core i7以上推奨)
メモリー8GB以上(16GB以上推奨)8GB以上(16GB以上推奨)
GPUDirectX 12.0 対応グラフィックカード
  • OpenGL
  • DirectX をサポートした GPU(DirectX 11.0 以上)
推奨グラフィックボード
  • Geforce GTX 750
  • Quadro P2000
  • RADEON RX 460シリーズ以上
  • Geforce GTX 1080
  • Geforce RTX 2070以上
ビデオメモリー1GB以上(大規模モデル、複雑なモデルを扱う場合は 2.0GB以上を推奨)512MB以上(8GB以上推奨)
検証機種スペック
機種DAIV 6HDAIV 6P-RT
CPUCore i9-12900HCore i7-12700H
メモリー32GB16GB
GPUGeForce RTX 3070 Ti Laptop GPU GDDR6 8GBGeForce RTX 3050 Ti Laptop GPU GDDR6 4GB
解像度2,500×1,6002,500×1,600
OSWindows 10 Pro 64ビットWindows 10 Pro 64ビット

処理時間のグラフを見ると、V-styleを使った検証では、CPUだけでレンダリングを行う場合に比べてDirectXベースのGPUを使った場合は6倍近くも処理が高速であることが分かる。

検証に使用した木造高齢者福祉施設データ(図はレンダリング後の画像:GLOOBE V-style)

木造高齢者福祉施設データの処理時間

検証に使用したサービス付き高齢者向け住宅データ(図はレンダリング後の画像:GLOOBE V-style)

サービス付き高齢者向け住宅データの処理時間

青木氏:「比較条件を揃えるため、今回は建物の南面視点にて検証しています。視点やデータの違いなどによっても結果は変わってくるのですが、いずれのテストでもDAIV 6Hの方が高速でした。GPU性能がアプリケーションのパフォーマンスに影響することが分かるかと思います」

澤田氏:「もっともDAIV 6P-RTの方も一昔前に比べると非常に高速です。大規模モデルをV-styleでレンダリングするような場合はハイエンドモデルのDAIV 6Hの方がより快適ですが、DAIV 6P-RTでもGLOOBE自体はストレスなく使用していただけますよ」

実際、GLOOBEの3Dビュー表示のテスト結果を見ると、DAIV 6P-RTでも処理にほんの数秒しかかかっていない。

澤田氏:「少し前の世代のCPUやGPUに比べると格段の差があります。ボタンをクリックして5秒もあれば建物の外観を立体で確認できるので、現場でも施工業者の方などとイメージを共有しやすいですし、業務効率は大きく向上すると思います」

このほか、RTX 30シリーズを搭載した両モデルは速度だけでなく品質の高さも魅力的だとのこと。

青木氏:「V-styleのGPUレンダリング画像を見ると、CPUで時間をかけて処理したものと比べてもほとんど差がありません。細かい部分を比較すると質感などに若干の違いはありますが実用上気にならないレベル。それよりもレンダリング時間が大幅に短縮されるメリットの方が大きいですね」

建設現場の生産性向上に役立つ「DAIV 6H」と「DAIV 6P-RT」

BIM/CIMなどを導入して建築DXを推進するにあたっては、PCの性能が大きな課題となる。建物が大規模・複雑になり、パーツが増えれば増えるほどマシンパワーも必要になるからだ。しかし今回の検証で分かったように高性能なDirectX対応グラフィックカードを搭載した「DAIV 6H」や「DAIV 6P-RT」であれば、GLOOBEなどのBIMシステムを問題なく活用することができる。

澤田氏:「設計規模によっては性能が高ければ高いに越したことはないのですが、建設現場の方々が使用することを想定すると、持ち運びできるようなコンパクトさやリーズナブルさなども求められます。DAIV 6HやDAIV 6P-RTは16インチの大型ディスプレイを搭載しながら1.65kgほどと軽く、価格も20〜30万円台で購入できます。性能の高さを考えるとコストパフォーマンスも良好だと言えるのではないでしょうか」

今後はこうした高性能なノートPCを中心にフローを考えることで業務のあり方も変わっていくのではないかと澤田さんは予想する。

澤田氏:「一昔前なら気軽に持ち運べるノートPCは現場でデータを開いて確認するくらいしかできませんでした。DirectXベースの高性能なグラフィックボードが手軽に使えるようになったことで、現場でのPC活用のハードルが下がってきているのを感じます。DAIV 6HやDAIV 6P-RTのようなノートPCを導入することで生産性も大きく上げていけるのでは」

青木氏:「今回の検証を通じて、DAIV 6HやDAIV 6P-RTが昔のPCに比べて性能がかなり向上していることを実感しました。特にGLOOBEの3Dビュー表示が速かったのが印象的です。3Dだと平面では視覚的に気づきにくい間違いなども探しやすくなるので、施工現場でのデータ活用シーンが今まで以上に広がっていくことを期待できます」

建設現場にも持ち運んで使用できる薄型軽量ボディに、GLOOBEなどのDirectX対応ソフトが快適に動作する性能を搭載したマウスコンピューターの「DAIV 6H」と「DAIV 6P-RT」。そのモバイル性やパフォーマンスの高さは、建築DXに取り組む企業の力強い支えとなってくれるに違いない。

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