ニューノーマルに向け、設計・開発部門でも進むワークスタイル変革

各社で進む、設計・開発部門における「働く場所を問わない」ワークスタイルの整備

感染症の世界的なパンデミックを契機に「ニューノーマル」に向け、社内のあらゆる部門でワークスタイル変革に取り組む企業が増えている。テレワークをはじめとする「働く場所を問わない」環境整備は企業の大きな課題の一つといえよう。

一方、製造業や建設業における設計、開発部門などの業務は「リモート環境では3D CADソフトや解析ツールの使用時のパフォーマンスが心配」「テレワーク時の機器持ち出しによる機密情報漏えいのリスク」などからこれまでテレワークに適していないとされてきた。

しかし、こうした状況にも変化が見られる。製造業のための製品・サービス情報サイト「TechFactory」が実施した「モノづくり設計者のワークスタイル」に関する調査(調査期間:2020年12月21日~2021年1月18日)によると、テレワークを実施している設計者の割合は67.8%にのぼることが分かった。

最近の取り組みでも、国内大手自動車メーカーで在宅勤務の必要性が高まったことを受け、設計・開発部門向けに3D CADソフトが動作する約1,000台分の仮想デスクトップ(VDI)環境を整備し、働き方改革を推進する事例がある。

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テレワーク環境整備の大きな課題となるのが「セキュリティ」

しかし、設計・開発部門におけるワークスタイル変革の必要性にもかかわらず、その実現には課題もある。その一つが「セキュリティ」だ。

独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)が2020年12月24日公開した「テレワークの実施における不安に関する調査結果(個人編 中間報告)」によれば、テレワークを実施している従業員の64.8%がセキュリティに不安を感じており、具体的には「端末の紛失」(30.1%)、「盗難」(29.5%)、「情報漏えい」(25.1%)が上位を占めている。

出典)独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)「テレワークにおける実施およびルール策定の状況、実施に伴う業務委託に関する不安に関する調査結果(個人編 中間報告)」(2020年12月)

さらに、自社のテレワークにおけるセキュリティ対策は、取引先をはじめとするサプライチェーンからも注視されている。上述の調査結果では、「取引先がテレワークを実施することに不安がある」と回答した人は51.0%にのぼることが分かった。取引先から不安視されないセキュリティ対策の実施は重要なポイントだ。

出典)独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)「テレワークにおける実施およびルール策定の状況、実施に伴う業務委託に関する不安に関する調査結果(個人編 中間報告)」(2020年12月)

こうした課題への解決策の一つが、端末にデータを残さないデスクトップ仮想化環境(VDI)だ。一般的に3D CADソフトが動作するクライアント端末は、ワークステーションなどのハイスペックな端末が必要だった。これをVDIに置き換えることによって、在宅勤務などのテレワークでも、社内と同じようなデスクトップ環境で仕事を行うことができる。

さらに、VDIであればデータはサーバー側で集中管理されるため、端末側に残らず、情報漏えいのリスクを心配する必要がない。ユーザーの利便性とセキュリティを両立した最適解がVDIであるといえるだろう。

VDIは情報システム部門にとっても端末管理の工数軽減に

VDIは安全なテレワーク・モバイルワーク環境を提供し、働き方改革の推進をすることに寄与するが、情報システム部門の働き方改革にも大きく寄与することになる。

  • 仮想端末を集中管理できるVDIであれば、故障やトラブル時にリモート対応が可能であり、迅速に復旧できる。
  • ヘルプデスクもリモートで対応できることが多いため、端末管理に関わる工数が大幅に削減でき、情報システム部門の業務効率化が進む。
  • 手間がかかりネットワークを圧迫するWindows 10の定期的なアップデート管理からも解放される。Windowsアップデートやセキュリティツールのアップデートも集中管理できるため、見落とされがちな脆弱性も排除でき、組織全体のセキュリティの向上につながるメリットが生まれる。毎年行う端末の資産管理にかかる作業工数も大幅に軽減されるだろう。

働き方改革関連法では有給休暇の取得も義務化されているため、情報システム部門も組織内で休暇をローテーションで取得しなくてはいけない。多くの手間と工数のかかる端末管理に関する業務が省力化・効率化できるVDI導入は情報システム部門にも大きなメリットをもたらすといえる。

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メリットの多いVDIはCADなど専門業務でも活用が進む

いまやVDIは通常業務だけではなく専門性の高い業務でも利用が進んでいる。製品開発や建設設計などで利用されるCADもVDIで利用するケースが増えている。CADなど専門性の高いVDIはエンジニアリング仮想デスクトップ環境(eVDI)と呼ばれる。

例えばプラント建設におけるプロジェクトではCADソフトを利用して3D CADデータまで扱うので、使用するクライアントマシンにはGPUを搭載したハイスペックなワークステーションが必要となる。すぐに利用したいプロジェクトメンバーからは2~3週間で数十台を用意してほしいというオーダーが来るケースもあるという。

しかしマシンの調達からセットアップ、現場への配布には時間が必要であり、コストもかかる。海外でのプロジェクトならマシンを現地で調達しなければならない場合もある。情報システム部門が現地へ飛んでセットアップを行うという手間も必要となるが、現実的にそうした要望に完全に対応することは非常に困難だ。しかし、eVDIで最初にベースとなる環境を作ってしまえば、1台1時間程度で仮想デスクトップを作ることができるようになる。

また海外プロジェクトの場合、インターネット経由でeVDI環境を利用できれば国内同様のスケジュールで利用開始できる。ビジネスが高速化する現在においては作業開始までのリードタイムをどれだけ短縮できるかがビジネスの成否を左右するため、迅速にワークステーションを利用開始できるeVDIは製造業や建設業にとって大いに役立つソリューションだろう。もちろんワークステーション保管費用や調達・セットアップなどの人件費を削減できることもメリットになる。

VDIの基盤として適しているHCIとは

ハイパーコンバージドインフラストラクチャ(HCI)は仮想サーバーやデスクトップ仮想環境に特化したサーバーである。

特徴としては、従来の3Tier型のシステムのような共有ストレージを使わず、各サーバーのローカルストレージを使う点が上げられる。Software Defined Storageテクノロジーにより、ローカルストレージをプール化し、スケールアウトストレージとして利用するのだ。そのためSANスイッチや共有ストレージが不要になるので筐体も大幅にコンパクト化できる。

HCIはあらかじめセットアップされたアプライアンス機器でありセットアップや検証は不要だ。梱包を開いて電源につなぎ、ネットワークケーブルをつなぐだけで利用できる。導入から利用可能までのリードタイムが圧倒的に短縮できると共に、情報システム部門の作業工数も圧倒的に削減できる。事業部門や利用者の要求に対して、迅速に仮想デスクトップ環境を提供できるところに最大のメリットがある。

次章では数多くあるHCI製品の選定のポイントについて解説する。

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