ここが違うCADとBIM ~Revitの作法~

線や円などの図形と文字で図面を作るのが二次元のCADです。これに対してBIMでは、モデリングという建築要素を組み合わせてコンピューターの中に建物を作るという方法を使います。Revitでは「ファミリ」という部品を組み合わせていくことで建物を作ります。そんなファミリを中心としたRevitの作法を解説します。

監修・執筆:鈴木 裕二

1.壁、床、屋根、柱、梁、階段を作る

二次元の図面では、線を使って壁や建具を表現しました。4層構成の壁なら5本の線を引いて平面図の壁を表現します。

BIMのMはモデリングの頭文字のMです。つまりモデルを作ることがBIMです。線を引くのではなく、「壁」を作ります。それがBIMアプリケーションであるRevitの作法です。例えば4層の壁なら、各層の材質や厚さと壁全体の高さを最初に決めておいてから、次に壁の始まりの点と終点を指示して壁を作成します。

Revit壁の構成

壁、床、屋根、柱、梁、階段など建築要素は全てモデルとして作ります。平面図で二次元の図面に線図形だけで壁を表現してしまうと、その材質も詳細な高さ寸法もわからない単なる「壁のような」図形になってしまいます。BIMでは同じように見える図形でも選択するとその壁の詳細な情報を得ることができます。BIMでは三次元表示にするとその壁の高さを確認できます。筆者の属している設計事務所BIM LABOでは、二次元の書き込み図形で図面を作っていると「BIMじゃない」と仲間からクレームが入ります。「BIMじゃない」は、いっとき所内の流行語になっていました。

モノを作るという発想でコンピューターに向かうことはRevitを使う基本姿勢の作法です。

2.たくさんのファミリ

Revitで使う壁、床、屋根、柱、梁、階段などの建築要素の部品のことを「ファミリ」といいます。「ファミリ」は耳慣れない用語ですが、要するに部品です。どんなファミリが用意されているのかRevit 2021で「建築テンプレート」を開いて、見てみましょう。

35種類のファミリが用意されています。形のある建築要素ばかりでなく、注釈記号として通芯記号や図面枠なども用意されています。

Revitに用意されたファミリの例

キャンプ用のテントであっても、最高の木造建築である法隆寺でも、オリンピックで使われる国立競技場でも、ファミリという部品を組み合わせてコンピューターの中に実現することができます。もちろんその手間は、どこまで詳細にモデリングするかによって違ってきますが、ファミリを組み合わせて建築を表現できることに変わりありません。Revitでは建築を設計するということは、ファミリを使うこと組み合わせることです。だから最近の建築はそれもこれもプラモデルみたいになる、というクレームはここでは聞き捨てておきましょう。

たくさんあるファミリを使いこなすことがRevitの作法です。

3.ファミリを使う

窓のファミリの一つ「引き違い腰窓_2枚」を使ってみましょう。

1.窓ですから壁のないところには置けません。平面図に壁を配置して、「窓」のアイコンをクリック「引き違い腰窓_2枚」の「w0800h0800」タイプを「プロパティ」パレットから選んで配置します。

壁に窓を配置

2.表示がシンプルすぎますね。「簡略」から「詳細」に切り替えると、こんな風に詳細な窓の平面表現に切り替わります。

「簡略」から「詳細」に表現を変更

3.3D表示に切り替えます。窓の高さは床から窓下端まで1200mmとなっています。もう少し低くしたいですか?その場合は「プロパティ」パレットにある「下枠高さ」の数値を変えましょう。ここでは「1000」としました。

窓の「下枠高さ」を「1200」から「1000」に変更

4.この窓の幅は800mmです。もう少し広げます。「プロパティ」パレットに「窓幅」らしき設定項目はありません。[タイプ編集]というボタンをクリックして、新しい900mm幅の「タイプ」を作ることから始めます。まずは「w0900h0800」という名前を作ります。

窓のタイプ名を「w0900h0800」に変更

5.新しく作った「w0900h0800」のタイププロパティ「幅」を「900」に変更します。これで新しい900x800の窓ができあがり、[適用]ボタンで画面の窓も新しいものに置き換わります。

幅が変更された窓

窓を取り付ける高さは「プロパティ」パレットで変更しました。窓の大きさを変えるときは新しい「タイプ」を作りました。全ての窓のファミリが、この仕組みになっているわけではありませんが、「プロパティ」か「タイプ プロパティ」で大抵の変更はできます。

使いたい要素に似たファミリを探す→まず置いてみる→「タイプ」を変える→「プロパティ」か「タイプ プロパティ」を変更して目的のモデルにする、これがRevitファミリの使いこなし作法です。

4.Revitファミリをダウンロードする

ファミリにはファイルに書き出せるファミリと、プロジェクト内に保存されファイルには書き出すことのできないシステムファミリと呼ばれるファミリがあります。壁、床などは後者の書き出せないシステムファミリです。柱や梁、階段、建具はファイルに書き出せるファミリです。ファイルとして書き出せるのでメーカーのホームページなどからダウンロードして使うことができます。自分で作ったファミリを仲間に渡して使ってもらうことができます。ファイルの拡張子はrfaです。

建築関連メーカーは自社サイトから製品のrfaファイルをダウンロードできるようにしています。次の図はLIXILのトイレのBIMデータダウンロードページの例です。余談ですが、Revitで使えるトイレの多くは単なる三次元の形状データではありません。電気や給排水をどうつなぐかの情報も持っています。便器をクリックして便器に情報として書き込まれたサイズの給排水管を、決められた位置につなぐというインテリジェントな情報を持っています。

LIXILのトイレのBIMデータダウンロードページ

LIXILのトイレのBIMデータダウンロードページ

Revitで配管情報の入ったLIXILのトイレを使う

複数のメーカーの製品を検索してダウンロードできるサイトもあります。次の図はBIMobjectというサイトの例です。図ではRevitで使える「窓」を検索して表示しています。

BIMobject

BIMobject

大塚商会版BIMobject(Revitユーザー向けファミリ提供サイト)をオープン

BIMobjectに登録されているコンテンツの中から、Revitファミリ(Revitプロジェクトで利用できるファイル拡張含む)を集めた特設サイトを公開しました。

BIMobject×大塚商会 Revitファミリ特設サイト

Revitのライブラリにも、インターネット上にもどこにも自分の欲しいファミリがない!Revitを使っていてイライラするときです。この境地?に至ったということはRevit使いとして一人前になってきたということです。探してなければ作るしかありません。

簡単なファミリなら自分で作ることもできます。ここではその方法について解説しませんが、かんたんな家具などを作ってみることから挑戦してみてはどうでしょう。

使うファミリを手間をかけずに手に入れるというRevitファミリ作法です。

5.テンプレートが大事

ファミリを組み合わせれば、コンピューターの中に建物ができあがります。では、できるだけたくさんのファミリを使えるように、あらかじめプロジェクトのスタート時に読み込んでおけばいいのでしょうか?

ファミリを使って建築を組み立てるといっても、たくさんのファミリを白紙の状態から使えるように持っておくと、ファイルサイズの大きい、重いファイルになってしまいます。鉄筋コンクリート造の建物をモデリングしているのに、使わない鉄骨造用の建具がたくさんあってもややこしいだけです。間違って鉄筋コンクリート造では使えない鉄骨造用の建具を無理に配置したら、それは設計ミスになってしまいます。

Revit 2021の日本語版では最初からいくつかのテンプレートが用意されていて、それぞれのテンプレートに必要なファミリがあらかじめ用意されています。

Revitに用意されたテンプレート

筆者のおすすめは、慣れてきたらこれらのテンプレートを充実させて構造と用途別に分けて保存することです。鉄筋コンクリート造の教育施設設計を一つ終えたら、そのプロジェクトをベースに「RC造-教育施設」というテンプレートとして保存しておきましょう。それが大きな財産になります。Revitファミリ作法の応用編です。

6.使えるツール紹介

Revitユーザー向けのファミリ関連便利ツールを紹介します。BindSharedParamというツールです。有償(10米ドル)で英語のツールで、ハードルはちょっと高いのですが、優れたツールです。BindSharedParamはオートデスク社のAutodesk App Storeというサイトからダウンロードできます。

Autodesk App Storeに表示されたBindSharedParam

例えばRevitを設備管理に使っていて、衛生設備に「修理・交換」データを記録したいとします。「プロパティ」には「修理・交換」という項目はありません。もちろん個々のファミリの操作で追加することもできるのですが、プロジェクトで使っているたくさんのファミリにその操作を行うのは大変です。このBindSharedParamを使えば目的の複数のファミリに新しいパラメーターを一気に割り当てることができます。図はRevit 2021の「サンプル意匠」でBindSharedParamを使って全ての衛生設備に「修理・交換日」と「修理・交換内容」のパラメーターを追加しています。

BindSharedParamで衛生設備に「修理・交換内容」「修理・交換日」のパラメーターを追加

監修・執筆:鈴木 裕二

1954年 大阪生まれ。アド設計代表、2011年 BIM LABOを設立する。主な著書に『徹底解説AutoCAD LT』シリーズ、『AutoCAD神テク105』(いずれもエクスナレッジ)、『ARCHICADでつくるBIM施工図入門』(鹿島出版会)など。

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