この担当者にインタビューしました
大塚商会 CADプロモーション部 建設プロモーション課
青山宏
設備担当になり6年。それ以前は、建設業向けCADシステム販売の営業マネージャーを20年弱経験しました。
BIM、東京五輪……大きく変わる建設業と密接なつながりがある設備業界の動向とは
建設業界では、BIMによるワークフローの変革や東京五輪に向けての建設ラッシュと目まぐるしく環境が変化しています。今回は建設と密接なつながりにある設備業界の動向を大塚商会の担当者にインタビューしました。
この担当者にインタビューしました
大塚商会 CADプロモーション部 建設プロモーション課
青山宏
設備担当になり6年。それ以前は、建設業向けCADシステム販売の営業マネージャーを20年弱経験しました。
BIM元年といわれた2009年から8年が過ぎ、設計事務所やゼネコンでBIMが定着してきました。最近になり設備業界でも定着しつつあると感じています。
その理由は建築設備CADの移り変わりから感じられます。「D社製CADが圧倒的なシェアを持つ」と言われるほど、D社の建築設備CADが使われていました。
しかし、2007年に3次元エンジンをベースに開発されたRebroがBIMの追い風を受け、建築設備CADでもシェアを伸ばしつつあります。今までの建築設備CADでもレビューはCG機能を使って3次元で見せることはできますが、完全にBIMには対応できないというウィークポイントがあります。BIMではファシリティマネジメント(ビル維持管理)も含みますので、データも完全3次元で管理するRebroが選ばれているわけです。実際に、ゼネコンの発注も「Rebroを使用すること」と指定するケースも増えてきています。
施工図作成が主流だった建築設備CADにBIMソフトが切り込んできていると。
とはいえども「うちは3次元はいらない。2次元レベルで十分」とおっしゃる方もいらっしゃいます。CAD使用者からは「作るものは2次元でもできるのに、なぜ3次元で作らないといけないのか」「新しい操作を覚えるのが大変」「給料に反映されないのに……」という声を聞きます。作るものが同じであれば、慣れ親しんだソフトと操作を新たに覚える必要のあるソフト、当然、前者を使って仕事をしたいと思いますよね。
しかし、ゼネコンから「BIMでやってほしい、そのためにBIM対応CADを使ってほしい」という要請があれば、サブコンや設計事務所はBIMでやらざるを得ない実情があります。トップダウンでBIMの必要性を迫られるため、BIM対応CADが伸びてきた、そして今後も伸びると考えています。2020年の東京五輪に向けて建設ラッシュが続きますし、スーパーゼネコン含めて全ての案件をBIMでやっていこうという宣言がされているからです。
経営者の方はBIMの波をどのように考えているのでしょうか?
ゼネコンからの要請がなければ、現状のまま2次元(汎用CAD)でいこうと考える方が大半です。急なBIMへのシフトは現場も困惑しますし、もったいないですから。
しかし、今年に入り潮目が変わってきたと感じます。安倍内閣が提唱している「働き方改革」に敏感になっている経営者が増えているからです。建設・設備業界はバブル以降人手不足が大きな課題となっており、経営者の目線で考えると人材を失いたくない。そのためには、IT投資をして業務効率化に取り組んだり、従業員の残業を減らしてワークライフバランスを実現しようと動かれるようです。
実際に、BIMにご興味がなく全く話題にしなかったお客様から、ITツール投資を考えているため、BIM対応ソフトのデモをしてくれというご依頼がきたこともあります。受け身でBIM化していた設備関連会社が、働き方改革をキーワードに能動的にシフトしようと切り替わってきなと感じます。
Rebroに切り替えたユーザー事例を教えてください。
はい、成功事例をご紹介します。
日本を代表するスーパーゼネコンである株式会社竹中工務店様です。2次元CADを使用してきた同社の設備設計者にとって、3次元CADはあまりなじみがなく、使い方が分かりやすく、すぐに活用できるソフトであることは導入の必須条件でした。「3次元CADの操作に手間取って納まり検討に時間を取られると、システム設計の時間が削られてしまいますから、使いやすさを最優先に考えてRebroを選んだ」との声を頂きました。
経営層の方から「残業代よりも時間を大事にする社員が増えてきた」という話を聞きました。「企業戦士」「モーレツ社員」という言葉が生まれた高度経済成長期からおよそ50年。時がたてば考え方がこんなにも大きく変わるんだなと感じています。
動き始めは鈍いが方向性が定まれば一気に進むといわれている日本企業。今後も働き方改革を注視しつつ、設備関連企業の方々に役立つ提案をしていきたいです。