【レポート】PTC Forum Japan 2018

加速する産業イノベーションの最前線

2018年11月13日に、主に製造業向けにIoT、CAD、PLM、拡張現実(AR)分野で多数の製品群を持つPTCが、ヒルトン東京お台場で「PTC Forum Japan 2018」を開催しました。

本イベントでは、「加速する産業イノベーションの最前線」と題し、今まさに世界中で進んでいる製造業のデジタル変革について、さまざまな事例や最新ソリューションと共に、PTCが推進する産業イノベーションのあり方について紹介されました。

フィジカルとデジタルの融合

冒頭、米PTC アジア太平洋地域 統括責任者の桑原宏昭氏があいさつされました。

桑原氏は、デジタル変革とはフィジカルとデジタルをつないでイノベーションを起こすことであり、PLMのデジタル情報をフィジカルなIoTとARに連携させることで、競合他社にはないサービスを提供できるようになると説明しました。そして、PTCのIoTソリューションの導入は、ここ数年毎年倍増しているとし、IoTビジネスが加速していると強調しました。

米PTC アジア太平洋地域 統括責任者の桑原宏昭氏

コネクテッドエンタープライズの実現

次に、米PTCの製品担当 エグゼクティブ・バイスプレジデントのキャスリン・ミットフォード氏が登壇されました。

ミットフォード氏は、「コネクテッドエンタープライズ」の重要性を説きました。設計、製造、業務やサービスなどの各部門が持つデータを一元管理する環境を構築し、データを部署間で利用することで、生産性が向上し、製品・サービスをすばやく市場へ投入することが可能になると説明しています。

米PTC エグゼクティブ・バイスプレジデント キャスリン・ミットフォード氏

Creo Simulation Liveの紹介

次に、米PTC CADプロダクトマネジメント バイスプレジデントのポール・セイガー氏が登壇されました。
スノーモービルなどの車両メーカー Polaris社の事例を発表し、CADやBOMなどの情報を全て連携させて、コネクテッドエンタープライズの実現例を紹介したほか、PTCの新しい製品「Creo Simulation Live」について説明しました。

Creo Simulation Liveは、Ansys社の強力なシミュレーション機能をCreoに統合し、今までにない設計手法を実現するものだといいます。従来設計とシミュレーションのプロセスは別々に行われてきたため、設計に変更があるとシミュレーションプロセスを再度実行する必要があり、非効率な作業が発生していました。Creo Simulation Liveにより、シミュレーションと設計プロセスを統合することで、より効率よく製品設計を行うことができるようになると説明していました。

また、ミットフォード氏は、CADツールの機能強化による付加製造技術についても説明しました。ある無人航空機の開発で、この付加製造技術により部品数を大幅に減らすことに成功し、メンテナンスの回数が減ったという効果を得たそうです。このような例でも、CADツールの「Creo」とPTCのPLM「Windchill」の連携が重要だといいます。

Creo Simulation

スマートコネクテッドオペレーションとは

ミットフォード氏は、さらに、「スマートコネクテッドオペレーション」の重要性を説明しました。IIoT (インダストリアルIoT) の成功には、工場内の設備だけでなく、設計、カスタマーサービス、生産、物流ともつながっている包括的なプラットフォームが必要であり、スマートコネクテッドオペレーションを実現するために必要な全ての要素をカバーできるソリューションを提供できるのは、今のところPTCのみと、強調していました。

次に登壇した、スマートコネクテッドプロダクツ バイスプレジデント ケン・ローリングス氏は、IoTによって顧客サービスにも変革があると説明しました。スマートコネクテッド化によって、顧客の苦情からではなく、製品から直接データを収集し、分析が可能になります。また、遠隔からのサポートやメンテナンスが可能になり、コスト削減ができると説明しています。

ARの活用

次に、米PTC 拡張現実(AR)事業担当 エグゼクティブ・バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャー ヒラリー・アシュトン氏が登壇されました。

アシュトン氏は、イギリスの防衛・航空宇宙関連企業のBAE Systemsの事例を紹介しました。同社はアセンブリラインの作業にマイクロソフトのHoloLensとARの仕組みとして「Vuforia Studio」と「Creo」を取り入れたことで、作業効率を30%向上させたといいます。Vuforia Studioにより、CreoのデータをすぐにARに活用できるようになると説明しました。

また、顧客サポートの分野でのAR活用例として、ある企業では「Vuforia Chalk」を活用し、一つの工場内で遠隔サポートを増やし年間250万ドルの保守コストを節約したということです。

PTC ARソリューション

データ連携の重要性

次に登壇した米PTC PLMセグメント ディビジョナル・バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャー ケビン・レン氏は、Polaris社の事例で、PLMと基幹システムとの連携について紹介しました。製品ライフサイクルを各部門で共有しており、製品情報を「ThingWorx Navigate」ですばやく把握したり、設計部門がCRMやERPデータにアクセスできるようにしているといいます。

PTCのIoTビジネス戦略

最後に、ミットフォード氏は、幾つかのPTCのアライアンス戦略について紹介しました。

中でも、マイクロソフトとのアライアンスでは、「Azure IoT Hub」を推奨クラウドプラットフォームとし、またPTCのPLM、IoT、ARソリューションとマイクロソフトのAzure、HoloLens、Dynamics ERPなどの共同ソリューションビジネスを推進していくと説明していました。