製品設計部門で行う射出成形シミュレーション

樹脂流動解析の活用方法

射出成形シミュレーション(樹脂流動解析)のご紹介をすると「成形不良については金型・成形メーカーに対策を任せています」という声をよく耳にします。たしかに冷却管の配置、成形機側の条件設定などによって解決できる場合があることも事実です。
しかしながら「製品形状に起因する問題」については形状自体を修正するしか解決策がなく、コストのかかる下流工程での手戻りを発生させてしまいます。

今回は設計部門で樹脂流動解析ソフトを利用した活用例を、以下のモデルを題材にご紹介致します。

  • サンプルモデル(ブレーキランプの取付け台)

    サンプルモデル(ブレーキランプの取付け台)

1.厚みによる影響(薄肉部)

充填解析を行い、樹脂の流れを可視化することで、薄肉部のヘジテーションが確認できます。極端な薄肉はショートショットの原因となります。

2.厚みによる影響(厚肉部)

突出可能温度への到達時間を確認することで熱溜まり部位を確認できます。厚肉部に対し、肉抜きをすることでサイクルタイムの短縮を図れます。

厚みによる影響(厚肉部)

3.ウェルドラインのコントロール

ウェルドラインをなくすことは難しいですが、位置をコントロールすることは可能です。目立たない位置に移動させたり、弱い部分から外したり検討が可能です。

樹脂流動解析ソフトは樹脂の流れを予測し、充填状況や圧力、温度分布といった金型内部の状態を様々な形で出力できます。製品設計者がシミュレーションを活用することにより、開発の手戻りをなくし、短納期、低コスト、高品質化を実現することが可能になります。

金型・成形メーカーの方は一般的に製品形状の変更まではできません。形状起因の問題はいずれ設計変更として戻ってきますので、シミュレーションで事前対策を行っては如何でしょうか?

今回ご紹介したシミュレーションの計算時間は1ケース約15分です。解析ソフトの活用にご興味ご関心のある方はお気軽にお問合せください。