樹脂流動解析ソフト4製品の特長を比較・解説 -製品設計者から成形技術者まで-

プラスチック部品の射出成形では、試作回数の削減、金型修正コストの抑制、成形不良の未然防止を目的に、樹脂流動解析ソフトを活用するケースが増えています。近年では、金型製作後に問題を確認するのではなく、設計段階から「樹脂の流れ」「保圧時の挙動」「冷却効率」「反り変形」などをシミュレーションし、事前に課題を把握する考え方が一般的になりつつあります。

一方で、樹脂流動解析ソフトには複数の製品があり、「どのソフトが自社の業務に合っているのか」「設計者向けなのか、解析専任者向けなのか」「充填解析だけで十分なのか、冷却・反り・特殊成形まで必要なのか」といった点で迷う方も少なくありません。

本記事では、代表的な樹脂流動解析ソフト4製品について、それぞれの特長を比較しながら解説します。単なる機能比較だけでなく、各ソフトがどのような思想で開発されているのか、どのような業務・部門・解析レベルに向いているのかという観点から、樹脂流動解析ソフト選定のポイントを分かりやすくご紹介します。

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樹脂流動解析ソフトでできること

多くの樹脂流動解析ソフトは、成形工程をシミュレーションし、成形不良の予測・原因分析・改善検討を行うことを目的としています。

主に、以下のような検討に活用されます。

充填解析金型内に樹脂がどのように流れるかを可視化し、ショートショット、ウェルドライン、エアトラップなどの発生リスクを確認します
保圧解析・反り解析充填後の保圧工程における樹脂の挙動や収縮、成形品の変形を予測し、ヒケや反りの改善に役立てます
金型冷却金型内の温度分布や冷却管レイアウトを検討し、冷却効率の向上、成形サイクル短縮、品質安定化を支援します
材料特性の考慮熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、繊維強化樹脂など、材料ごとの流動特性や収縮特性を考慮した解析が可能です
特殊成形インサート成形、圧縮成形、ガスアシスト成形など、一般的な射出成形以外の成形方法を検討できるソフトもあります

樹脂流動解析ソフトは目的・利用者・解析レベルで選ぶことが重要

樹脂流動解析ソフトを選定する際は、搭載機能の多さだけで判断するのではなく、「誰が」「どの工程で」「どのレベル」まで解析を行うのかを明確にすることが重要です。

例えば、設計者が初期検討で使う場合は、操作性が高く、短時間で解析結果を確認できるソフトが適しています。一方、解析専任者が詳細な成形条件や金型構造まで検討する場合は、高度なメッシュ作成機能や詳細解析機能、材料データベースの充実度が重要になります。

また、量産現場で成形不良の原因究明に活用する場合は、成形条件との連携や結果の見やすさ、改善案を立てやすい解析結果の出力機能も選定ポイントになります。

つまり、樹脂流動解析ソフトは「高機能なソフトを選べばよい」というものではなく、自社の業務フローや解析スキル、対象製品、成形方法に合わせて選ぶ必要があります。

SOLIDWORKS Plastics:製品設計の延長で使える樹脂流動解析

SOLIDWORKS Plasticsは、ダッソーシステムズが開発する3D CAD「SOLIDWORKS」に統合された樹脂流動解析ツールです。

最大の特長は、製品設計と解析による検証を分けずに進められる点にあります。設計中のモデルをそのまま使い、ゲート位置や肉厚を変えながら「成形できそうか」「問題が起こりそうか」を素早く確認する使い方が想定されています。

解析専用ツールのように複雑な初期設定は不要で、解析経験がない設計者でも短期間で使い始めやすい構成になっています。そのため、試作成形に入る前の段階でウェルドラインやショートショットなどの基本的な成形リスクを把握したい場合に適しています。

SOLIDWORKS Plastics 製品情報

Autodesk Moldflow:世界標準として使われてきた高精度解析

Moldflowは、Autodesk社が開発する樹脂流動解析分野で長年使われてきた実績のあるソフトです。多くの企業で採用されており、業界標準ツールとしての位置づけを持っています。

  • エントリー向けの「Moldflow Adviser」
  • 生産技術者向けの「Moldflow Insight」

というように、利用者の役割に応じた製品体系が用意されている点が特長です。特に上位のInsightでは、材料特性や成形条件を詳細に反映でき、金型設計や量産条件の検討まで踏み込んだ解析が可能です。

海外拠点やサプライヤーとのデータ共有が必要な企業では、共通言語としてMoldflowを使うメリットも大きくなります。

Autodesk Moldflow 製品情報

XTIMON:日本の成形現場で培われたノウハウを活かす国産ソフト

XTIMON(クロスタイモン)は、東レエンジニアリングDソリューションズ社が開発する国産の樹脂流動解析ソフトです。40年以上の開発実績を持つ3DTIMONから2025年にリニューアルされ、操作性や計算精度が向上しました。

XTIMONの特徴は、熟練技術者の解析条件や考え方を「テンプレート」として蓄積・再利用できる点です。これにより、経験の浅い担当者でも、一定レベルの解析を行えるよう設計されています。

また、日本の成形現場のニーズに応える開発を行っており、国内の金型メーカーや成形メーカーとの親和性の高さも評価されています。

XTIMON 製品情報

Moldex3D:完全3D解析で現象を忠実に再現するハイエンドツール

Moldex3Dは、CoreTech System社が射出成形専用の解析ソフトとして開発されてきました。

FVM(有限体積法)を用いた初めての完全3次元解析を特徴としており、複雑形状や多数個の大規模モデルでも樹脂の挙動を詳細に再現できます。冷却解析や繊維配向解析にも強く、金型冷却設計や反り対策を重視する場合に選択されることが多いソフトです。

解析結果を設計の改善だけでなく、量産条件の最適化やトラブル原因の解析にまで活用したい場合に適しています。

Moldex3D 製品情報

まとめ

樹脂流動解析ソフトは「高機能かどうか」ではなく、「どの段階で誰が使うか」が重要になります。自社の設計フローやご担当業務に合わせた解析ソフト選定にお役立てできれば幸いです。

ソフトの選定やご不明点について、大塚商会SEと相談をしながら検討も可能ですので、お気軽にお問い合わせください。

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樹脂流動解析ソフトの4製品の特長を解説
-製品設計者から成形技術者まで-

主な内容

  • 各ソフトの特長(SOLIDWORKS Plastics、Moldflow、XTIMON、Moldex3D)