パソコンとワークステーションの違いとは?

三つのポイントで違いが分かる!

CAD、3D CAD、CG、メタバース開発などの業務では、当然コンピューターが使われます。比較的負荷が高くない作業にはパソコンも使われますが、複雑なデザインや立体的な設計をする際にはワークステーションが用いられます。

それぞれ、CPU、メモリー、グラフィックス、ストレージなど、基本的な仕様やスペックが似通っている場合も多いため、パソコンとワークステーションの違いがよく分からないというご意見をいただくことも少なくありません。

そこで今回はパソコンとワークステーションの違いについて、分かりやすく解説していきます。

この記事を詳しく解説した資料があります

HPはビジネスに Windows 11 Pro をお勧めします

Windows 11 Homeで利用できる機能は全てProでも利用できます。Windows 11 Proでは、Homeよりも厳重なセキュリティ機能や共有ネットワークに接続できる機能などが搭載されています。

三つのポイントで違いを確認!

パソコンとワークステーションの違いを簡単に説明すると、以下の3点に集約できます。

  • 搭載するグラフィックスカードの違い
  • 内蔵するパーツ類の種類
  • 長時間利用の際の安定性

では、それぞれの項目を詳しく見ていきましょう。

搭載するグラフィックスカードの違い

ワークステーションに搭載されるグラフィックスカード(画像はNVIDIA RTX A6000)

パソコンでも高性能グラフィックスカードを搭載したモデルはたくさんあります。例えば、最近eゲームの周知が高まると共に注目されている「ゲーミングPC」では、上位モデルほど高性能なグラフィックスカードが採用されることが多くなっています。

パソコンに使われるグラフィックスカードはコンシューマモデルの「NVIDIA GeForce RTX 3000シリーズ」または最新の「NVIDIA GeForce RTX 4000シリーズ」、あるいは「AMD Radeon RX6000シリーズ」などが採用されることがほとんどです。

これらのグラフィックスカードが得意とするのは3Dグラフィックスを多用するPCゲームの高品質描画です。ハイエンドモデルになるほど処理能力は高くなり、ゲームを有利に進めることができます。

一方、ワークステーションでは、最新の「NVIDIA RTX Adaシリーズ」や「NVIDIA RTX A(Ampere)シリーズ」、「NVIDIA Tシリーズ」などのプロフェッショナルモデルが使われます。大量に搭載されたCUDAコアをより効率良く使うことで、GPUコンピューティングにおける演算処理を効率的に実行させることができます。ハイエンドモデルはAIやXR、データサイエンスなどの最先端技術に用いられることが多く、ミドルクラスは3D CADやCADに向いたモデルとなっています。

ただし、最近の3D CADは高度化していることも多く、仮想空間を使った開発なども行われるため、その場合はハイエンドモデルが必要になることもあります。

いずれにしても、ワークステーションで使われているプロフェッショナルモデルのグラフィックスカードは、コンシューマモデルと比較するとスペック上の数値は肉薄しているもののGPUコンピューティングに向いており、研究開発などにも使われることからフル稼働を長時間続けても安定したパフォーマンスが発揮できるよう、より洗練された設計がされているといえます。

もちろん、「NVIDIA RTXシリーズ」の上位モデルであれば、3D CAD関連の作業に耐える製品もありますし、一部のアプリケーションではパフォーマンスが高くなるケースも出てきます。しかし、長時間の安定性という部分ではプロフェッショナルモデルに軍配が上がるので、そちらが選ばれるケースがほとんどです。

業務内容に適したグラフィックスを選択することが重要

内蔵するパーツの種類

ここでは、コンピューターを構成する基本的なパーツごとに説明していきましょう。

CPU(プロセッサー)

ゲーミングPCやデザイナーズPCなど比較的負荷の高い作業用のパソコンには、「インテル Core プロセッサー」や「AMD Ryzenプロセッサー」が選ばれます。これらのモデルは年々高性能化しており、いまやワークステーションに求められるデザイン、サイエンスといった領域の業務に用いても問題ないレベルの製品が増えています。

特に第12世代「インテル Core プロセッサー」からは、マルチタスク処理などで、より効率が良くなる「Eコア・Pコア」の2種類のコアを実装し、それぞれの得意分野で使い分けるシステムが採用されています。これにより、Windows 11以降の環境ではより高いパフォーマンスが期待できるのも特長です。

実際にインテルのワークステーション向けロードマップでも、第12世代「インテル Coreプロセッサー」はエントリーモデル向けに提供するとしているので、実際のワークステーション製品にも搭載されていることが確認できると思います。CAD、3D CADで使うのであれば、十分なパフォーマンスが得られるため、第12世代「インテル Core プロセッサー」は人気になっています。

第12世代インテル Core プロセッサー

ただし、よりコア数が必要なサイエンスやAIといった領域では、これまでと変わらず、よりスケーラビリティの高い「インテル Xeon プロセッサー」が用いられます。第12世代「インテル Core プロセッサー」との差別化のポイントとして、可用性の高さはもちろんのこと、プラットフォームとしてデュアルプロセッサー構成が選べるのはワークステーションのミドルクラス以上としているベンダーも多くあります。CPUパワーが必要な業種では、やはりサーバークラスの安定度とハイパフォーマンスが期待できる「インテル Xeon プロセッサー」シリーズが必要となります。

インテル Xeon プロセッサー

メインメモリー

ワークステーションには、パソコンには設定されない「ECC対応メモリー」が搭載できます。メモリーも高速化しているので、ベンチマークなどではワークステーションを凌駕するメモリー性能を発揮するパソコンもありますが、ECC対応メモリーはパフォーマンスだけではない安定性に大きく貢献できる機能が付与されるのが特長です。

ECCは「error checking and correction」の略で、メモリーに発生するシングルビットエラーをリアルタイムに補正することができます。メモリーエラーによるリスクは、連続稼働が前提のワークステーションではより深刻な影響を及ぼす危険性があります。そのため、メモリー運用に高い信頼性が必要なコンピューターには必須の機能といえます。

ECC対応メモリーにはもう一つ特長があり、搭載されるレジスターチップにより、一つのメモリーモジュールに多くのメモリーチップが搭載できるようになります。大容量メモリーが必要になることもあるワークステーションに向いているもう一つの理由でもあります。

電源ユニット

コンピューターを動作させるうえで最も大切なパーツといえば「電源ユニット」です。電源ユニットの品質が悪ければ、電源供給が安定せずにコンピューターを構成する各パーツがエラーを起こしやすくなったり、思ったようなパフォーマンスが出せなかったりすることもあるほどです。

最近流行しているパソコンの購入方法にBTOあるいはCTOというものがありますが、電源ユニットの多くにはシルバー、ゴールド、プラチナといったグレードが付けられ、それを目安に自分で選択することも可能です。上位グレードほど安定稼働が期待できますが、コストは上がっていきます。本来は最も予算をかけるべきパーツですが、容量やグレードに妥協してしまうことも少なくないはずです。

ワークステーションの場合、ほとんどの製品で最高品質クラスの電源ユニットをベンダー自らが調達しています。また、マザーボードなども同時に開発されるので、初期のテスト段階から電源ユニットの安定性は繰り返しテストされています。そのため、電源ユニットについては信頼できるのも魅力です。

アプリケーションベンダー(ISV)認定モデルも

ここまで代表的な三つのパーツで比較しましたが、ワークステーションはより信頼度の高いソリューションが採用されているのが特長といえます。

プロフェッショナル専用のアプリケーションを使う可能性の高いワークステーションには「アプリケーションベンダー(ISV)認証モデル」が用意されている製品もあります。ワークステーションの設計・開発段階から、特定のアプリケーションの動作確認や検証がされており、より適切な業務運用を実現します。

長時間利用の際の安定性

ここまでの説明でもワークステーションが安全で信頼性の高いコンピューター運用を考えているジャンルの製品であることは理解できたと思います。作業中はもちろん、作業を終えた後に行うレンダリングを始めとするファイル変換などの長時間稼働させ続けるような業務のときでも、信頼性を損なわないようにする工夫にもその特長があります。

分かりやすい部分でいうと、ケース内のエアフロー、すなわち排熱処理にもその違いがあります。CPU、グラフィックスボード、メモリー、そして電源ユニットなど、コンピューターの内部は発熱量の大きなパーツの組み合わせで構成されます。それらが温めた周囲の空気をそのままにしていれば、やがて各パーツは活動限界を迎え、動作が不安定になる「熱暴走」に至ります。これを回避するため、ケース内の空気がよどむことなく、スムーズに抜けていくデザインがワークステーションのケースには採用されています。

例えば「HP Z8 G4 Workstation」では、冷却効率に優れたパーツレイアウトを実施。これにより、デュアルCPU、デュアルグラフィックスなど、ハイエンドクラスのパーツ構成時でも安定した整流効果を持たせ、最大効率の排熱処理が行えるように設計されています。

HP Z8 G4 Workstationの排熱処理イメージ

その思想はミニマムクラスのワークステーション「HP Z2 Mini G9 Workstation」においても同様で、相変化型CPUクーリング機能などはもちろん、各所にその工夫がなされており、ワークステーションを常にベストコンディションで運用できるようにしてあります。

まとめ

安心安全なコンピューター運用とハイパフォーマンスを長時間維持できる信頼性の高さが、ワークステーションの特長です。また、保守対応の幅広さなど、メーカーによるサポート力も業界トップクラスのものが適用できるのもワークステーションの魅力でしょう。

もちろん、スペックだけで比較すればコストに差はありますが、費用対効果やトラブル対策を考えれば、むしろメリットの方が高くなる可能性もあります。ビジネス継続性や業務効率化、生産性向上などを考えれば、ワークステーションを採用した方がよい作業は多いと考えます。より適切なモデルのご提案も可能ですので、気になる方はぜひお気軽にご相談ください。

さらに詳しく知りたい方へ無料資料請求

本トピックスでご紹介しきれなかった内容を資料にまとめています。もちろん無料!ぜひお役立てください。

パソコンとワークステーションの違いとは?

主な内容

  • グラフィックスカードは大きく分けて2種類存在する?
  • CPUコアは多いと何が良いの?
  • ワークステーションの大事なポイント

あなたにぴったりのワークステーションを見つけましょう

CADのスペックを満たしたHPワークステーションが簡単に見つかります。

ワークステーション検索