3D CADにおすすめのスペック ~CPU・GPU・ワークステーションの選び方を解説~

業務には適した性能を持つワークステーションを使おう

ビジネス・プライベートを問わず、今ではあらゆるシーンで使われているパソコン。特にビジネスシーンでは、これがないと仕事にならないほど重要なツールになっていますが、実際にパソコンを購入する際、皆様は利用目的に合わせて選定されていますか?

パソコンは、CPUやグラフィックボードといった多くのパーツで構成されていますが、それらが適した性能を持つものでなければ、思うようなパフォーマンスが得られない場合があります。特に3D CADの利用では、設計データを開けなかったり、動作が遅かったりなど、業務に支障をきたす事態を招きかねません。

確実な運用には、業務利用を想定して設計された「ワークステーション」が最適です。そこで今回はワークステーションを構成するパーツの最新情報と3D CADを利用するうえで重視すべき要素をご説明します。

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ハイスペックパソコンとワークステーションの違い

最近では高精細なCG映像を描画できるゲーミング用マシンなど、ハイスペックな性能を持つパソコンも多く存在します。ワークステーションも業務利用を想定した高い処理能力を搭載していますが、それだけではありません。

3D CADなどの業務用アプリケーションの利用に適したグラフィックボードの搭載や高負荷・長時間利用への耐久性・安定性に配慮した設計など、一般的なパソコンと異なる特長があります。

性能を左右するCPU

CPUは、モデリングの計算、アセンブリの構築、データ処理など、CAD全体の処理速度を左右する最重要パーツです。主要なメーカーとしてIntelとAMDがあります。

Intel製CPUでは、処理能力重視の「Pコア(Performance-core)」と、電力効率・バックグラウンド処理重視の「Eコア(Efficient-core)」を組み合わせたハイブリッド構造が完全に定着しました。

さらに最新の「Intel Core Ultra」やデスクトップ向けの最新世代(第14世代以降)では、AI処理に特化した「NPU(Neural Processing Unit)」も統合され、今後、CAD内のAI機能(自動モデリング補助や最適化計算)を劇的に加速させることが期待できます。

Intel Processor Nシリーズ
Intel 300シリーズなど
メール、簡単な事務作業、インターネット閲覧など
CoreシリーズミドルCore Ultra 5ビジネス向け環境に多く利用。動画編集、画像処理などの
業務にも利用可能
ハイエンドCore Ultra 7ゲームプレイや3D CG、3D CAD、高負荷の業務に対応
Core Ultra 9Coreシリーズの最上位モデル。高負荷な業務に対応
XeonシリーズAディープラーニング、画像映像編集イラスト作成、3D CAD、高度なシミュレーション、サーバー運用などの業務向け

インテル・スレッドディレクター

第12世代以降のIntel Coreシリーズ、および最新の「Intel Core Ultra」に搭載されている「インテル・スレッドディレクター」は、世代を重ねるごとに進化を遂げています。

パソコンの処理を引っ越しに例えると、これまでは「重い荷物は全て力持ちのスタッフ(Pコア)に任せ、軽い作業を一般スタッフ(Eコア)に回す」という仕組みでした。しかし、最新世代ではこの割り振りルールが一新され、「まずは手際がよくなった一般スタッフ(Eコア)が効率的に作業をこなし、それでは手に負えない重い荷物が出てきた瞬間に、力持ちのスタッフ(Pコア)へ爆速でバトンタッチする」という、よりスマートな連携に進化しています。

処理の割り振り自体はOSが行いますが、インテル・スレッドディレクターはハードウェア側からミリ秒単位で処理内容を監視し、AIベースの予測モデルも活用しながら「今、どのコアに仕事を振るのが最も効率的か」をOSに的確にアドバイスします。

なお、既にサポートが終了しているWindows 10ではこの最新の高度な連携に対応しきれないため、Windows 11環境で利用することで、初めてCPUの持つ本来の最高パフォーマンスを発揮できる仕様になっています。

3D CADによるマルチコア・シングルコアの処理

「コア数が多いほど速い」と思われがちですが、3D CAD(SOLIDWORKSなど)の基本操作における「形状の再構築(フィーチャーの計算)」や「モデリング操作」の多くは、今でも単一のコア(シングルコア)で計算されています。

処理の種類影響するCPUスペック有効な処理内容
シングルコア処理
(クロック周波数が最重要)
クロック数(GHz)の高さ部品のモデリング、フィーチャーの再構築、スケッチの拘束計算
マルチコア処理
(並列処理・コア数が有効)
コア数・スレッド数の多さ解析(Simulation)、レンダリング(Visualize)、図面オープン時のバックグラウンド陰線処理、アセンブリのインポート

選定の目安

デザインやモデリングが中心の設計者であれば、コア数よりも「最大クロック数が高い(5.0GHz以上など)Intel Core 7 / Core 9、またはCore Ultra」が最もコストパフォーマンスが高くなります。一方、毎日複雑な構造・熱解析やレンダリングを回す場合は、「Xeonプロセッサー」などの多コア・高信頼性モデルが威力を発揮します。

6コア:12スレッド対応のCPUによるVisualizeによるレンダリング

6コア:12スレッドCPUによる部品の再構築

3Dモデルや映像の描画処理を行うグラフィックボード

グラフィックボードは画像・映像処理に特化したパーツになり、CGや3D CADソフトを使用する場合は必須の要素になります。グラフィックボードには「NVIDIA GeForce」シリーズに代表されるゲーミングパソコン向けと「NVIDIA RTX」シリーズなどの設計やデザインといったプロフェッショナル向けのものがあります。

単純な性能スコアだけを見ると、同じ価格帯ならGeForceシリーズの方が高いスペックのものがあります。しかし、GeForceシリーズはグラフィックスAPIに「DirectX」を使っており、3D CADなどの「OpenGL」を使っているアプリケーションには最適化されていません。一定以上の性能であれば起動はできるでしょうが、思うようなパフォーマンスが出せないなど、安定性に欠けます。

ワークステーションでは、ほとんどの製品でプロフェッショナル向けのグラフィックボードを搭載しています。

 コンシューマモデルプロフェッショナルモデル
主な用途ゲーミングパソコン3D CAD・クリエイティブ作業
シリーズ名NVIDIA GeForceシリーズNVIDIA RTX Adaシリーズ
NVIDIA RTX Aシリーズ
NVIDIA RTX PROシリーズ
NVIDIA Tシリーズ(旧NVIDIA Quadroシリーズ)
Radeon RXシリーズRadeon Proシリーズ
カラーRGB 各色10Bit 約1,677万色RGB 各色8Bit 約10億6,433万色
グラフィックスAPIDirectXOpenGL

CADによるGPUコンピューティングの使用

SOLIDWORKSでは、NVIDIA製のグラフィックボードに組み込まれている並列計算機能「CUDA」に対応しており、機能を有したグラフィックボードを使用することでより高いパフォーマンスを得られます。レンダリングツールSOLIDWORKS Visualizeでは、CPUとGPUを併用した処理を行うことができ、より速いレンダリング出力が可能です。

CAD画面では、グラフィックボードによる処理を行うオプション設定によりモデルの描写性能を向上できます。モデルの移動・回転させたときのフレームレート(1秒間で表示を更新する回数)を改善し、よりスムーズな画面操作ができるようになります。

スペック別ベンチマーク傾向と検証の教訓

かつて行ったSOLIDWORKS RXを用いたベンチマーク(ミドルタワー型Xeon機 vs 省スペース型Core i9機)の検証からは、現代にも通じる重要な教訓が得られます。

 

モデルHP Z2 SFF G9 WorkstationHP Z4 G5 Workstation
CPUIntel Core i9-12900Intel Xeon W3-2425
コア数16コア(Pコア8、Eコア8)6コア
クロック数Pコア:3.20~5.10GHz
Eコア:2.40~3.90GHz
3.00~4.40GHz
グラフィックボードNVIDIA RTX A2000NVIDIA RTX A4500(20GB)

検証結果

CPUクロック重視の「Core i9」搭載機

プロセッサー単体の計算速度や、シングルコア性能が響くモデリング再構築において圧倒的な速さを記録。

強力なグラボ(RTX A4500等)搭載の「Xeon」機

CPUの純粋な計算では一歩譲るものの、大型グラボのパワーにより、重いアセンブリの回転・拡大縮小、VisualizeによるGPUレンダリングにおいて大差をつけて勝利。

あなたの業務に合わせた最適な構成バランス

最適なワークステーション構成の目安は以下のとおりです。

一般設計・部品モデリング中心(エントリー~ミドル)

  • CPU:Intel Core Ultra 7またはCore Ultra 5(高クロックモデル)
  • GPU::NVIDIA RTX A1000 / RTX 2000 Ada Generation(16GB以上)
  • メモリー:32GB

大規模アセンブリ・日常的な解析・レンダリング(ハイエンド)

  • CPU:Intel Core Ultra 9またはIntel Xeon Wシリーズ
  • GPU:NVIDIA RTX 4000 Ada Generation / RTX 4500 Ada Generation以上
  • メモリー:64GB~128GB(ECCメモリ推奨)

ワークステーションは「高ければよい」わけではなく、「自分の行う作業(モデリングメインか、解析・レンダリングメインか)」に応じて、CPUのクロック数とGPUのグレードのバランスを最適化することが、最も投資対効果の高いインフラ整備につながります。

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業務で利用するワークステーション環境の解説

主な内容

  • 一般的なPCとワークステーションの違い
  • ワークステーションを構成するパーツCPU
  • 3D CADに適したワークステーション