プロセッサー性能に着目してAutodesk Inventor 2024の操作スピードを比較

コア数とスレッド数

ワークステーションに搭載されているプロセッサーは、近年急速に進化しています。その中で注目されているのが、コア数とスレッド数の向上です。従来のワークステーションに搭載されていたプロセッサーは、一般的に、コア数が4~6個、スレッド数が4~8個程度でしたが、近年では、コア数とスレッド数が10個を超えるプロセッサーが登場しています。

CADの操作では、部品ファイルの開きや編集、干渉チェック、レンダリングなど、複数の処理を同時に行うことがあるため、プロセッサーのマルチタスク性能が向上することで、CADの操作をよりスムーズに行うことができます。

今回は、近年にリリースされたプロセッサーを搭載したワークステーション5機種を用いて、Autodesk Inventor Professional 2024の一連の操作にかかる時間を比較しました。

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検証に使用したワークステーションのスペック

 

機種機種A
HP ZBook Power 15.6inch G10 A スタンダードモデル
機種B
HP ZBook Power 15.6inch G10 パフォーマンスモデル
機種C
Lenovo ThinkPad P14s Gen 2a
機種D
Lenovo ThinkPad P16s Gen 1
機種E
HP ZBook Power 15.6 inch G9 パフォーマンスモデル
CPUAMD Ryzen 7 PRO 7840HS w / Radeon 780M Graphics 3.80GHz 最大5.1GHz(8コア)Intel Core i7-13800H 14コア2.5 / 5.2GHz(6コア)1.8 / 4.0GHz(8コア)AMD Ryzen 7 PRO 5850U with Radeon Graphics 1.9GHz 最大 4.4GHz(8コア)AMD Ryzen 5 PRO 6650U with Radeon Graphics 2.90GHz 最大4.5GHz(6コア)Intel Core i7-12800H 14コア2.4 / 4.8GHz(6コア)1.8 / 3.7GHz(8コア)
HDDSSD(M.2 PCIe-4x4,NVMe,SED OPAL2,TLC)SSD(M.2 PCIe-4x4,NVMe,TLC)SSD(M.2 PCIe NVMe SSD)SSD(M.2 PCIe NVMe TLC OPAL2)SSD(M.2 PCIe,NVMe,TLC)
キャッシュ
メモリー
24MB24MB16MB16MB24MB
RAM16GB32GB32GB16GB32GB
最大仮想
メモリー
49,152MB98,304MB98,304MB49,152MB98,304MB
グラフィック
ボード
NVIDIA RTX A1000 6GB Laptop GPUNVIDIA RTX 2000 Ada Generation Laptop GPUAMD Radeon GraphicsAMD Radeon GraphicsNVIDIA RTX A2000 8GB Laptop
グラフィック
ボード
ドライバーVer.
31.0.15.458431.0.15.289231.0.12026.331.0.12028.231.0.15.1694
OSWindows 11 Pro 23H2Windows 11 Pro 22H2Windows 11 Home 22H2Windows11 Pro 22H2Windows10 Pro 21H2
  • * 検証では、仮想メモリーの大きさをコンピューター上のメモリーの3倍の大きさにし、初期サイズと最大サイズは同じにする。
  • * グラフィックスカードはCAD推奨のドライバーを使用する。グラフィックスの基本設定を高パフォーマンスに設定。
  • * 設定―システム―電源モードを「最適なパフォーマンス」に設定(Windows 11のみ)。
  • * 各計測作業前には必ずシャットダウンし、再起動する。LANケーブルは接続せず、ウイルスソフトなどほかのアプリケーションが起動されていないことを確認する。

コア数とスレッド数とは

コア数とスレッド数を厨房に例えると、シェフの数がコア数、コンロの数がスレッド数に相当します。シェフ(コア)の数が多いほど、また一人が使えるコンロの数が多ければ、同時に多くの料理を作ることができます。

ちなみにインテルでは、メインシェフ(P-core)とアシスタントシェフ(E-core)に分け、それぞれに適した仕事を処理できるよう「インテル スレッド・ディレクター」が実装されています。

HP ワークステーションに採用された第12世代インテル Core プロセッサーの真実

各機種のコア数とスレッド数だけピックアップしてみておきましょう。

 

機種機種A機種B機種C機種D機種E
CPUAMD Ryzen 7 PRO 7840HS wIntel Core i7-13800HAMD Ryzen 7 PRO 5850UAMD Ryzen 5 PRO 6650UIntel Core i7-12800H
コア数814
P-core:6
E-core:8
8614
P-core:6
E-core:8
スレッド数1620161220

使用する部品

構成部品の合計数1,042
部品872
ユニークな部品55
サブアセンブリ170
ユニークなサブアセンブリ15

一連の操作時間比較 結果

一連操作の詳細(mm:ss)
 機種A機種B機種C機種D機種E
ソフトウェア起動(1回目)0:100:070:140:120:17
ソフトウェア起動(2回目)0:060:060:100:100:10
アセンブリファイルを開く0:110:080:080:100:10
部品ファイルを選択0:010:010:010:010:01
部品ファイルを開く0:010:010:020:010:01
部品ファイルを編集0:080:060:090:090:06
フィーチャ再構築0:070:060:090:090:06
アセンブリファイル再構築0:020:020:020:030:02
アセンブリファイル保存0:080:060:070:060:06
干渉チェック1:501:172:092:161:20
アセンブリファイル保存0:010:010:010:010:01
標準三面図+等角投影図作成0:060:060:090:100:06
平面図削除0:010:010:010:010:01
作図スケール変更0:070:060:070:070:07
断面図作成0:060:060:110:100:07
アセンブリファイル編集0:010:010:010:010:01
図面ファイル更新0:050:040:080:070:04
図面ファイル保存0:030:020:030:040:02
アセンブリファイル保存0:010:010:010:010:01
すべてのファイルを閉じる0:020:020:020:020:02
ソフトウェア終了0:020:020:040:030:02
合計3:192:323:594:042:53

考察

Autodesk Inventor Professionalの処理速度に影響するのは、CPU以外にもメモリーやグラフィックボード、ハードディスク/SSDが影響し、今回の検証では、一律ではないため難しいところではあるが、上位モデルの機種B(Intel Core i7-13800H)、次いで機種E(Intel Core i7-12800H)の順で処理速度が速い結果となった。

アセンブリモデルの表示、部品の配置、図面の描画などの作業は、複雑な計算や処理を必要とするものではないため、シングルコアのCPU性能(クロック数)が大きく影響したと考えられる。

機種A(AMD Ryzen 7 PRO 7840HS w)と機種Bの時間差が約40秒ではあるが、機種Aがお手頃な340,000円(税別)、機種Bが541,000円(税別)とコストパフォーマンスの点から考えると、機種Aも魅力的な一台といえる。処理速度を重視するかコスパを重視するか、購入時に再度、使用用途や予算、メモリやストレージの拡張性の有無を確認してから選びたい。

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