NVIDIAグラフィックス搭載モデルとAMDCPUのみモデル、レンダリング性能の違いを比較

SOLIDWORKS Visualize 2024のレンダリング処理速度を比較

レンダリングは、3Dモデルやシーンを最終的な画像や動画に変換するプロセスです。レンダリングには、さまざまな方法がありますが、光線をシーンに射出し、反射や屈折などの現象を計算して画像を生成する「レイトレーシング」を使用するシーンが多いのではないでしょうか。

レイトレーシングには複雑な計算が必要になるため、CPUやGPUなどの高速な処理装置が必要です。CPUは、汎用的な処理装置であり、さまざまな処理を実行することができます。一方、GPUは、画像の描画に特化した処理装置であり、複雑な画像処理に適しています。

今回は、SOLIDWORKS Visualize 2024とモバイルワークステーション5機種を使って、レンダリング処理にかかる時間を比較しました。NVIDIA RTXとAMD Radeon PROを違いが明確に出る結果となりました。

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検証に使用したワークステーションのスペック

 

機種機種A
HP ZBook Power 15.6inch G10 A スタンダードモデル
機種B
HP ZBook Power 15.6inch G10 パフォーマンスモデル
機種C
Lenovo ThinkPad P14s Gen 2a
機種D
Lenovo ThinkPad P16s Gen 1
機種E
HP ZBook Power 15.6 inch G9 パフォーマンスモデル
CPUAMD Ryzen 7 PRO 7840HS w / Radeon 780M Graphics 3.80GHz 最大5.1GHz(8コア)Intel Core i7-13800H 14コア2.5 / 5.2GHz(6コア)1.8 / 4.0GHz(8コア)AMD Ryzen 7 PRO 5850U with Radeon Graphics 1.9GHz 最大 4.4GHz(8コア)AMD Ryzen 5 PRO 6650U with Radeon Graphics 2.90GHz 最大4.5GHz(6コア)Intel Core i7-12800H 14コア2.4 / 4.8GHz(6コア)1.8 / 3.7GHz(8コア)
HDDSSD(M.2 PCIe-4x4,NVMe,SED OPAL2,TLC)SSD(M.2 PCIe-4x4,NVMe,TLC)SSD(M.2 PCIe NVMe SSD)SSD(M.2 PCIe NVMe TLC OPAL2)SSD(M.2 PCIe,NVMe,TLC)
キャッシュ
メモリー
24MB24MB16MB16MB24MB
RAM16GB32GB32GB16GB32GB
最大仮想
メモリー
49,152MB98,304MB98,304MB49,152MB98,304MB
グラフィック
ボード
NVIDIA RTX A1000 6GB Laptop GPUNVIDIA RTX 2000 Ada Generation Laptop GPUAMD Radeon GraphicsAMD Radeon GraphicsNVIDIA RTX A2000 8GB Laptop
グラフィック
ボード
ドライバーVer.
31.0.15.458431.0.15.289231.0.12026.331.0.12028.231.0.15.1694
OSWindows 11 Pro 23H2Windows 11 Pro 22H2Windows 11 Home 22H2Windows11 Pro 22H2Windows10 Pro 21H2
  • * 検証では、仮想メモリーの大きさをコンピューター上のメモリーの3倍の大きさにし、初期サイズと最大サイズは同じにする。
  • * グラフィックスカードはCAD推奨のドライバーを使用する。グラフィックスの基本設定を高パフォーマンスに設定。
  • * 設定―システム―電源モードを「最適なパフォーマンス」に設定(Windows 11のみ)。
  • * 各計測作業前には必ずシャットダウンし、再起動する。LANケーブルは接続せず、ウイルスソフトなどほかのアプリケーションが起動されていないことを確認する。

レンダリングの種類

SOLIDWORKS Visualizeには、CPUのみとGPUのみ、または両者を使用するハイブリッドとレンダリングの方法があります。

CPUレンダリングは、名前のとおり、CPUの演算能力を活用してレンダリングを行う方法です。CPUは汎用的な処理装置であるため、さまざまな処理を実行できますが、GPUと比較すると画像処理の性能は劣ります。複雑なレンダリング処理には、時間がかかり、解像度やポリゴン数などのレンダリング設定を高くするとさらに時間がかかります。

一方GPUは、画像の描画に特化した処理装置であるため、レイトレーシングなどの画像処理に適しています。CPUレンダリングと比較すると、レンダリング速度が大幅に向上します。また、解像度やポリゴン数などのレンダリング設定を高くしてもレンダリング速度の低下は抑えられます。ただし、GPUレンダリングは、CPUのみのレンダリングでできる複雑なレンダリング設定を実行できない場合があります。

ハイブリッドレンダリングは、CPUとGPUの両方の処理能力を組み合わせることで、レンダリング速度を向上させながら複雑なレンダリング設定も実行できるようにします。

SOLIDWORKS Visualizeでのレンダリング設定

SOLIDWORKS Visualizeで同じレンダリング設定を行い、レンダリングを実行し、処理にかかった時間を計測する。キューの処理では、GPUとCPUの両方を使用して計算したハイブリッド、GPUのみ、CPUのみを使用して計算した。

レンダリング検証 結果

レンダリング処理比較の詳細(mm:ss)
 機種A機種B機種C機種D機種E
起動1:080:080:100:110:11
開く0:080:050:080:070:05
ハイブリッド0:210:186:464:500:28
GPU0:210:176:514:430:28
CPU1:122:4017:1116:372:46

考察

グラフィックスエンジンにNVIDIA RTXシリーズを搭載している機種A・B・EとAMD Radeon PROモデルを搭載している機種C・Dとで、大きく差が開いた結果となった。

SOLIDWORKS Visualize 2020より、「NVIDIA RTXテクノロジー」がフル活用できるようになったことで、レンダリング速度が大幅に向上した点が影響したと考えられる。

処理速度だけでなく、SOLIDWORKS Visualizeは、NVIDIA RTX GPUのTensorコアとRTコアを活用して、光の反射や屈折、陰影などの表現がよりリアルになり(準リアルタイムレイトレーシング)、AIノイズ除去機能により、ノイズの少ない滑らかな画像を生成できるようになった。

CADは、3Dモデルの作成や編集、レンダリングなど、負荷のかかる作業を行うソフトウェアのため、使用するCADの推奨スペック情報を確認することで、快適で安定した作業環境を整えることができるとあらためて感じた。

資料では、レンダリング処理速度比較以外にも大規模アセンブリ操作時間やメモリー使用量の比較結果を調べています。ぜひお気軽にお申し込みください。

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