Autodesk Inventor 2025でのCAD操作処理時間を計測

IntelかAMDか?

Autodesk Inventor 2025は、2024年4月のリリース以降、シートメタル設計から図面作成まで、幅広い設計業務の生産性と精度を飛躍的に向上させる新機能が搭載されました。オートデスクは、ユーザーの声を製品に反映することを重視し、大規模なアセンブリや複雑なモデルの処理性能向上に力を入れてきました。

この検証では、そんなInventor 2025と、高性能モバイルワークステーションとして知られるHP ZBook Power 16inch G11 Mobile Workstation(Intel、AMD両モデル)を使い、実際のCAD作業における処理速度を計測します。

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検証に使用したワークステーションのスペック

 

機種HP ZBook Power 16inch G11 IntelモデルHP ZBook Power 16inch G11 AMDモデル
CPUIntel Core Ultra 7 155H
Preformance-cores 6個(基本1.4GHz/最大4.8GHz)
Efficient-cores 8個(基本900MHz/最大3.8GHz)
低消費電力 Efficient-cores 2個(基本700MHz/最大2.5GHz)
16コア/スレッド数22
AMD Ryzen 7 PRO 8845HS
3.8GHz 最大5.1GHz(8コア)
HDDM.2 SSD
(PCIe-4x4 NVMe TLC)
M.2 SSD
(PCIe-4x4 NVMe TLC)
キャッシュメモリー24MB24MB
RAM32GB DDR532GB DDR5
最大仮想メモリー98,304MB98,304MB
グラフィックス
エンジン
NVIDIA RTX 1000 Ada Generation Laptop GPU
(6GB GDDR6)
NVIDIA RTX 1000 Ada Generation Laptop GPU
(6GB GDDR6)
グラフィックボード
ドライバーVer.
31.0.15.525531.0.15.5255
OSWindows 11 ProWindows 11 Pro
  • * 検証では、仮想メモリーの大きさをコンピューター上のメモリーの3倍の大きさにし、初期サイズと最大サイズは同じにする。
  • * グラフィックスカードはCAD推奨のドライバーを使用する。グラフィックスの基本設定を高パフォーマンスに設定。
  • * 設定―システム―電源モードを「最適なパフォーマンス」に設定(Windows 11のみ)。
  • * 各計測作業前には必ずシャットダウンし、再起動する。LANケーブルは接続せず、ウイルスソフトなどほかのアプリケーションが起動されていないことを確認する。

IntelモデルとAMDモデルの違い

HP ZBook Power 16inch G11 Mobile WorkstationのIntelモデルとAMDモデルは、それぞれ異なるCPUを採用しており、性能や特徴に違いがあります。

Intelモデル(Core Ultra 7 155H)の特徴

ハイブリッドコア

Performance-coresとEfficient-coresの2種類のCPUコアを搭載しています。

  • Performance-cores:高性能コア。複雑な計算や高負荷なタスクに強い。
  • Efficient-cores:低消費電力コア。バックグラウンド処理や軽負荷なタスクに適している。バッテリー駆動時間が長くなる傾向がある。

高いマルチコア性能

16コア/22スレッドの構成により、並列処理能力が高く、複数のアプリケーションを同時に実行したり、大規模なデータ処理を行ったりする場合に優れています。

AMDモデル(AMD Ryzen 7 PRO 885HS)の特徴

高クロック周波数

高いクロック周波数により、単一スレッド性能が高く、3Dレンダリングやゲームなど、高い処理能力を必要とするアプリケーションに適しています。

コストパフォーマンスに優れている

Intelモデルに比べて、価格が抑えられている傾向があります。

使用する部品

構成部品の合計数1,042
部品872
ユニークな部品55
サブアセンブリ170
ユニークなサブアセンブリ15

一連の操作時間比較 結果

一連操作の詳細(mm:ss)
 IntelモデルAMDモデル
ソフトウェア起動(1回目)0:080:09
ソフトウェア起動(2回目)0:070:07
アセンブリファイルを開く0:090:11
部品ファイルを選択0:010:01
部品ファイルを開く0:010:02
部品ファイルを編集0:070:07
フィーチャ再構築0:070:07
アセンブリファイル再構築0:010:02
アセンブリファイル保存0:050:05
干渉チェック1:331:48
アセンブリファイル保存0:010:01
標準三面図+等角投影図作成0:070:05
平面図削除0:010:01
作図スケール変更0:070:07
断面図作成0:080:07
アセンブリファイル編集0:010:01
図面ファイル更新0:050:05
図面ファイル保存0:020:02
アセンブリファイル保存0:010:01
すべてのファイルを閉じる0:020:03
ソフトウェア終了0:030:02
合計2:573:14

大規模アセンブリ一連操作時間比較 結果

一連操作の詳細(mm:ss)
 IntelモデルAMDモデル
ソフトウェア起動(1回目)0:080:09
ソフトウェア起動(2回目)0:070:07
アセンブリファイルを開く0:160:18
部品ファイルを選択0:010:01
部品ファイルを開く0:020:02
部品ファイルを編集0:070:08
フィーチャ再構築0:070:08
アセンブリファイル再構築0:080:13
アセンブリファイル保存0:250:29
干渉チェック1:351:49
アセンブリファイル保存0:010:01
標準三面図+等角投影図作成0:130:09
平面図削除0:010:01
作図スケール変更0:100:09
断面図作成0:190:21
アセンブリファイル編集0:010:01
図面ファイル更新0:110:12
図面ファイル保存0:050:05
アセンブリファイル保存0:010:01
すべてのファイルを閉じる0:070:07
ソフトウェア終了0:040:02
合計4:194:33

考察

どちらの検証においても、IntelモデルはAMDモデルと比較して、一連の操作をより迅速に処理できるという結果が得られた。

特に顕著な差が見られたのが「干渉チェック」だった。干渉チェックは、モデル内の要素同士の距離を計算し、干渉が発生していないか確認する複雑な作業で、要素数が増えるほど計算量は爆発的に増加するため、処理時間が大幅に長くなる。この点において、Intelモデルの高性能なコアが威力を発揮し、大幅な時間短縮できたと考えられる。

設計業務において、より迅速な作業を求めるのであれば、Intelモデルが最適な選択肢と言えるだろう。特に、複雑な形状を持つ製品の設計や、計算負荷の高い作業においてその性能を発揮する。

一方、動画編集や3Dレンダリングなど、複数のタスクを並行して処理するような場合には、AMDモデルのマルチコア性能が生かさせる場面も考えられる。

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主な内容

  • メモリー使用量結果
  • 個別機能計測
  • 大規模アセンブリ一連メモリー使用量結果

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