Inventor 2026×NPU搭載ワークステーション

NPU搭載プロセッサーを選ぶ時代へ

3D設計データはますます大規模化・複雑化する中、Autodesk Inventor 2026のリリースがリリースされました。これからの設計現場では、AI機能の活用も視野に入れた高性能なワークステーションが必要とされます。

本レポートでは、NPU(Neural Processing Unit)を搭載した最新の「AIワークステーション」であるHP ZBook 8 G1iおよびZBook Power 16 G11 Aと、従来モデル(ZBook Firefly G10)を含めた合計4機種を使用し、Inventor 2026でのパフォーマンスを比較しました。部品点数1,000点超のアセンブリデータを用い、一連の設計業務における実測時間を検証し、次世代ハードウェアがもたらす効率化の可能性を探ります。

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検証に使用したワークステーションのスペック

 

機種ZBook 8 G1i 16インチZBook Firefly 14インチ G10ZBook Power 16インチ G11ZBook Power 16インチ G11 A
CPUIntel Core Ultra 7 255H
2.0GHz 最大5.10GHz(注1)
Intel Core i7-1365U
1.8GHz 最大5.2GHz(注2)
Intel Core Ultra 7 155H
1.4GHz 最大4.8GHz(注3)
AMD Ryzen 7 PRO 8845HS
3.8GHz
最大5.1GHz(8コア)
ハードドライブM.2 SSD
(PCIe–4x4、NVMe、TLC)
M.2 SSD
(PCIe–4x4、NVMe、TLC)
M.2 SSD
(PCIe–4x4、NVMe、TLC)
M.2 SSD
(PCIe–4x4、NVMe、TLC)
キャッシュメモリー24MB12MB24MB24MB
RAM32GB DDR532GB DDR532GB DDR532GB DDR5
最大仮想メモリー98,304MB98,304MB98,304MB98,304MB
グラフィックス
エンジン
NVIDIA RTX 500 Ada Generation Laptop GPU(4GB GDDR6)NVIDIA RTX A500 Laptop GPU(4GB GDDR6)NVIDIA RTX 1000 Ada Generation Laptop GPU(6GB GDDR6)NVIDIA RTX 1000 Ada Generation Laptop GPU
グラフィックボード
ドライバーVer.
32.0.15.725831.0.15.662431.0.15.525531.0.15.5255
OSWindows 11 Pro 24H2Windows 11 Pro 24H2Windows 11 Pro 23H2Windows 11 Pro 23H2
  • (注1)Performance-cores6個(基本2.0GHz / 最大5.10GHz)、Efficient-cores8個、低消費電力 Efficient-core2個、(16コア / スレッド数16)
  • (注2)Performance-cores2個、Efficient-cores8個、(10コア / スレッド数12)
  • (注3)Performance-cores6個(基本1.4GHz / 最大4.8GHz)、Efficient-cores8個(基本900MHz / 最大3.8GHz)、低消費電力 Efficient-core2個(基本700MHz / 最大2.5GHz)16コア / スレッド数22
  • * 検証では、仮想メモリーの大きさをコンピューター上のメモリーの3倍の大きさにし、初期サイズと最大サイズは同じにする。
  • * グラフィックスの基本設定を高パフォーマンスに設定。設定―システム―電源モードを「最適なパフォーマンス」に設定。
  • * 各計測作業前には必ずシャットダウンし、再起動する。LANケーブルは接続せず、ウイルスソフトなどほかのアプリケーションが起動されていないことを確認する。

NPU搭載世代のプロセッサーは、基礎性能自体が高い?

近年登場したIntel Core UltraやAMD Ryzen AI シリーズなど、NPUを搭載したプロセッサーは、単にAI処理用の専用チップを追加しただけではありません。CPUコア自体の設計も刷新され、基礎性能が向上しています。

CPUアーキテクチャの進化

CPUメーカーは数年ごとに、プロセッサの「アーキテクチャ(基本設計)」を大幅に見直します。NPUを搭載した最新世代では、Pコア(高性能コア)やEコア(高効率コア)などの設計が新しくなり、処理効率が向上しています。

特に注目すべきは、IPC(Instructions Per Cycle)=1クロックあたりの命令実行数の向上したことで、同じ動作周波数(GHz)でもより多くの処理をこなせるようになりました。

3D CADに適したワークステーションとは?

NPUによるAI処理の分担と快適な動作

NPUは、AI処理に特化した専用プロセッサーです。これまでCPUやGPUが担っていたAI関連の処理(画像認識、音声解析、自然言語処理など)を、NPUが効率的に肩代わりします。

その結果、CPUやGPUの負荷が軽減され、OSやアプリの動作がよりスムーズになり、AI機能が動作していても、PC全体のパフォーマンスが落ちにくくなります。

HPモバイルワークステーション、AI時代を拓く「インテル Core Ultra プロセッサー」搭載!

使用する部品

構成部品の合計数1,042
部品872
ユニークな部品55
サブアセンブリ170
ユニークなサブアセンブリ15

一連の操作時間比較 結果

mm:ss
 ZBook 8 G1i
16インチ
ZBook Firefly
14インチ G10
ZBook Power
16インチ G11
ZBook Power
16インチ G11 A
ソフトウェア起動(1回目)0:080:110:080:09
ソフトウェア起動(2回目)0:070:100:070:07
アセンブリファイルを開く0:090:100:090:11
部品ファイルを選択0:010:010:010:01
部品ファイルを開く0:010:020:010:02
部品ファイルを編集0:060:070:070:07
フィーチャ再構築0:050:070:070:07
アセンブリファイル再構築0:010:020:010:02
アセンブリファイル保存0:050:040:050:05
干渉チェック1:161:331:331:48
アセンブリファイル保存0:010:010:010:01
標準三面図+等角投影図作成0:050:060:070:05
平面図削除0:010:010:010:01
作図スケール変更0:060:070:070:07
断面図作成0:050:050:080:07
アセンブリファイル編集0:010:010:010:01
図面ファイル更新0:040:040:050:05
図面ファイル保存0:020:020:020:02
アセンブリファイル保存0:010:010:010:01
全てのファイルを閉じる0:020:020:020:03
ソフトウェア終了0:020:040:030:02
合計2:293:012:573:14

考察

今回の検証では、Intel Core Ultra 7 255H(最大5.10GHz)を搭載した「ZBook 8 G1i」が、合計2分29秒で最速の結果となった。最新世代のCore Ultra プロセッサーは、CPU性能が旧世代と比べて向上しており、ソフトウェア起動から干渉チェックまで、ほとんどの項目で時間が短縮された。

Inventorの特性とマルチコア性能の影響

Inventorは、設計やフィーチャ編集といった多くの基本操作で、主にシングルスレッドの性能に依存するアプリケーションだが、今回の検証で最も大きな差(最大32秒差)がついたのは「干渉チェック」だった。

これは、特定の操作(レンダリングやファイルの読み込み、ズーム・パン・回転などの表示変更)と同様に、マルチコアプロセッサを使用してパフォーマンスが向上する高負荷処理の一つと考えられる。

機種別パフォーマンス

  • 最速のZBook 8 G1i(Core Ultra 7 255H)は、六つの高性能P-core(最大5.10GHz)を備えている。
  • 一方、旧世代のFirefly G10(i7-1365U)はP-coreが二つ(最大5.2GHz)。
  • Power G11(Core Ultra 7 155H)もP-coreは六つだが、最大4.8GHzに抑えられている。

この結果から、干渉チェックのような処理においては、基本となるシングルスレッド性能に加え、処理を並列化できる高性能コア(P-core)の数が、実行時間に影響を与えていると考えられる。

しかし、AMD Ryzen 7 PRO 8845HS(8コア、最大5.1GHz)搭載機が、干渉チェックで最も時間を要した(1分48秒)点も踏まえると、Inventor 2026のパフォーマンスは、単純なコア数やクロック周波数だけでは決まらないことが示唆される。

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パフォーマンステスト ~Inventor 2026~

主な内容

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  • 個別機能計測
  • 大規模アセンブリ計測

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