「3DEXPERIENCE WORLD 2025」1日目レポート

30年目を迎えるSOLIDWORKSの年次イベント 1日目

2025年2月23日から26日にかけて、アメリカのテキサス州ヒューストンで、3D CAD「SOLIDWORKS」とクラウドプラットフォーム「3DEXPERIENCE Works」の年次ユーザーイベント「3DEXPERIENCE WORLD 2025」が開催されました。

現在、YouTubeのSOLIDWORKSチャンネルでは、基調講演をはじめとするイベントの様子がライブ映像として配信されています。

1日目から3日目までの基調講演で発表されたSOLIDWORKSや3DEXPERIENCE Worksに関する新情報を中心としたレポートをご紹介します。

新しい時代のSOLIDWORKSへ

1日目の基調講演では、ダッソー・システムズ 3DEXPERIENCE Works&CRE:ジャン・パオロ・バッシ氏の登場でスタート。Boston Dynamics社の4足歩行ロボット「Spot」と共に登場し、石油採掘装置の検査やハリケーンが襲ったプエルトリコでの救援活動、古代遺跡の検査業務などに役立ったロボットとして紹介された。

ダッソー・システムズ 3DEXPERIENCE Works&CRE:ジャン・パオロ・バッシ氏、「Spot」と共に登場

バッシ氏は、1990年代の設計現場を振り返り「当時はほとんどの企業にとって設計精度がボトルネックになっており、試作やテストといったプロセスに非常に多くの時間と資源を消費していた」と説明。

そのうえで、SOLIDWORKSでは、設計から製造まで全てのソリューションを提供していることに加え、「統一されたプラットフォーム上でいつでも最新情報やソリューションへアクセスできる環境を提供し、より良い製品を安く作成し、より迅速なつながりと持続可能な体験を可能にできるよう取り組んできた」と語った。

生成経済に向けた3D UNIV+RSES

次にダッソー・システムズ CEO:パスカル・ダロズ氏が登壇。「私たちは今、デジタル技術とAIを活用して新たな価値を創造する『生成経済(ジェネレーティブエコノミー)』に段階にいる」とし、生成経済の実現に向けた新たなマイルストーンとなるIPライフサイクル管理機能「POWER'by」の中核に、複数の生成AIを組み込んだ新サービス「3D UNIV+RSES」を提供すると紹介。

3Dのコンテンツをはじめ、バーチャルツインを活用するためのデジタル環境を提供し、特に生成AIの技術はあらゆる素晴らしい複雑な技術が利用可能になると説明した。

イノベーションの第7世代として3D UNIV+RSESを紹介するダッソー・システムズ CEOのパスカル・ダロズ氏

3DEXPERIENCE Worksでは、AIの力を最大限に活用する生成的なサービスを提供する新たなカテゴリーとして「Generative Experiences」と、AIアシスタントとしてスキルを向上やワークフローの支援サービスを提供する「Virtual Companions」を紹介した。

後に紹介される「AURA」をはじめとするAIサービスを提供

壇上では、「Virtual Companions」のイメージとして、対話しながら製品を構成する個々のパーツ、ユニットを表示して製品を自動で組み立てたり、スケッチに対して自動で寸法定義を行ったり、また、対話形式でタスクや条件を指示することでNCマシンの加工パスを自動生成していく様子など、アシスタント機能の一端が映像で紹介された。

アセンブリ構築などの操作を対話形式でAIに指示し、実行している様子を紹介

バーチャルツインの未来を語るバッシ氏

ダロズ氏の後、再びバッシ氏がステージに登場。「今日、必要なのは3Dモデルよりもコンテキストが必要になる。物事がどのように作用するか理解するため、実物そっくりのレプリカを作るバーチャルツインの構築を支援する」と話した。

テクノロジーが実現する未来として、体内の心臓を仮想環境で実物そっくりに再現するバーチャルツインの例を紹介。医療処置のシミュレートや治療のカスタマイズを検討できるとしたが、こうした利用も仮想環境の活用の始まりに過ぎないとしており、バーチャルツインのイノベーションは新しいレベルへ進んでいくと新技術の未来について語った。

利用処置や治療方法のシミュレーションなど、新たなレベルへの活用が期待されるバーチャルツイン

産業分野においてもIT技術による改革が進められたインダストリー4.0から、持続可能性(サステナビリティ)や人間中心(ヒューマンセントリック)、回復力(レジリエンス)が盛り込まれた新たなインダストリー5.0時代へと進んでいく中、自然の自己再生能力からインスピレーションを得た事例として、クレムソン大学の研究者が研究開発した自己修復できる素材について触れた。

新しい時代(NEW ERA)を実現する機能

次にSOLIDWORKS CEO マニッシュ・クマー氏が登場。

架空の会社を例に設計生産、サプライチェーンまで、SOLIDWORKSを超えてプラットフォーム上でのデータを中心とした業務の実現、会話形式の生成AI機能によるプロトタイプの作成、バーチャルツインを用いたシミュレーション、独自のニーズに合わせた視覚的な提案、没入体験型のレビュー、AIによる自動生成、設計の適正を確認するためのシミュレーションなど、SOLIDWORKS製品や関連ソリューションと共にAI技術で3Dデータを活用した、第7世代と呼ばれる新しい時代の製造業について説明した。

また、「新しい時代」を実現する機能として、プラットフォーム上に組み込まれたVirtual Companions「AURA(オーラ)」が発表した。AURAはどこからでも、どのデバイスからでも機能へアクセスでき、SOLIDWORKS上では、タスクパネル「3DEXPERIENCE」タブ内からアクセスできる。ユーザーがタスクを実行するための機能や情報を提供するものであり、対話形式で機能や使い方などについて質問することで機能に関する解説やヘルプなどの情報が提供される。

AURAは現在ベータ版であり、2025年7月の正式公開を予定

さらにもう一つ、2025年リリースを予定している製品構成、価格設定、見積りソリューション「SOLIDWORKS CPQ(CONFIGURE、PRICE、QUOTE)」を発表した。

プロダクトマネージャーが初期要件を完了するシーンから設計者が製品をカスタマイズして設計し、セールスエンジニアがユーザー要件を作成して顧客向けに最終見積りを作成するまでを支援するとしている。

最終見積りの作成まで支援するSOLIDWORKS CPQ(CONFIGURE、PRICE、QUOTE)

3DEXPERIENCE WORLD 2025

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