2016年11月にベールを脱いだAdobe Sensei
Adobe Senseiとは、人工知能(AI)とマシンラーニング(機械学習)を駆使し、隠れたビジネスチャンスの発見や単調で時間のかかる作業の高速化を支援し、一人一人に適切な顧客体験を提供する仕組みです。Adobe Senseiはアドビ製品に組み込まれており、既にアドビ製品・サービスの50種類以上の機能が強化され、今後も革新が続いています。
Adobe Senseiでどんなことができるのか?
Adobe Senseiによってできる具体例は、クリエイティブだけでなくデジタル文書やマーケティングの領域にまで及んでいます。
- ディープラーニングを使った画像検索やタグ付け
- 顔認識を活用した加工(画像から人の眉、口、目などの位置を把握し、表情を変化させる)
- 画像領域で建物などのラベル付け
- 自然言語処理(デジタル文書のテキスト認識、トピックのモデリング、センチメント分析) など
仕事のスピードアップという永遠のテーマに対して、Adobe Senseiの活用はデザイナーの生産性向上に大きく貢献するはずです。
【動画】Adobe Sensei 人工知能(AI)が中枢を担う優れた顧客体験を構築
Adobe Senseiの使い方で気を付けておくこと
反面、Adobe Senseiの使い方を誤ると表現の画一化やクリエイティブの低下を招く恐れがあります。仕事のスピードアップとして物理的な時間制限をするのであれば、それと同時に仕事の中身も最適化しなければなりません。
当たり前の話ですが働く時間を短くするのであれば、その時間内に行う業務も相応の調整が必要です。Adobe Senseiのコンセプトや使いどころを参考に「労働時間を短縮させながら制作物のクオリティも上がった!」といえるように取り組む必要があります。
Adobe Senseiでデザインの常識を変えよう(Photoshopで塗りつぶし処理)
Adobe Senseiの特長は「デザインの意味を理解していること」です。例としてAdobe Blogで紹介されている機能による画像の塗りつぶしとAdobe Senseiとの違いを比べてみましょう。
次の図の左側は元の画像で、男性の鼻の上にばんそうこうが張られています。これを「コンテンツに応じた塗り」の機能を使って修正したのが中央の画像、そして右側は「Adobe Senseiの助けを借りた塗り」です。
このケースでは「コンテンツに応じた塗り」は明らかにうまく機能していません。「コンテンツに応じた塗り」は画像内のパターン認識に頼っていることから、塗りつぶす領域を「目のようなパターンが繰り替えされる場所」と判断したようです。
一方、Adobe Senseiは対象が人物の画像であること、塗る位置にあるものが鼻であることを理解しています。さらにこの画像内には含まれていなくても、ほかの画像で鼻がどのように描かれているかを知っています。そのため、鼻らしい塗りになるのです。
デザイナーがレタッチするのなら当たり前のことでしょう。そのデザイナーにとっては当たり前の作業の意味を理解できるSenseiは、これまでならアシスタントにお願いしなければならなかったような人並みの作業をこなす能力を有しています。
出展:Adobe Blog
Adobe Senseiでデザインの常識を変えよう(Adobe Dimensionで画像配置)
もう一つ、Adobe Blogからご紹介しましょう。Adobe Senseiは人工知能ですから、演算処理なら人間よりもずっと高速です。新しいアドビの3DデザインツールAdobe Dimensionは、Adobe Senseiの力を借りることで、本来は手間のかかる作業を簡単な操作で対応できてしまします。
次の図は3Dモデルの表面にIllustratorで作成したグラフィックを配置しているところです。ドラッグするとグラフィックは3Dサーフェスに沿って移動するため配置の検討が容易です。
3Dモデルの後ろに背景画像を配置すると、Adobe Senseiは背景画像の撮影時のカメラの位置や光源を計算します。そして、それに合わせてモデルの配置やライティングを調整します。これにより背景画像と一緒にモデルを撮影したかのような自然な構図が簡単に作れます。3Dの専門家であっても即座にできる作業ではないでしょう。
どちらがAdobe Senseiによる調整後かは明白ですね。調整後の画像には、後方の窓から差す光に対応した影もできています。自動調整の結果をさらに調整して、3Dモデルの正面を明るくするといった作業もAdobe Senseiの助けを借りれば簡単に行えます。
Adobe Senseiの魅力を無料で体感(Adobe Scanスキャナーアプリ)
Adobe Scanスキャナーアプリはフォーム、メモ、複数ページのレポートを簡単にキャプチャーします。文書のスキャンだけでなくレシートや名刺、ホワイトボードに書かれた会議の内容もスキャンできます。Adobe Senseiの機能により、Adobe Scanでは自動的に境界線の検出や影の除去を行い、文字を認識しデジタルデータへ変換します。
Adobe Scanは単なるスキャンアプリではなくPDF作成ツールですので、スマートフォンやタブレットを使って画像をスキャンし、汎用性の高いPDFに変換して作業時間を短縮させましょう。
さらに詳しく知りたい方へ - 無料資料ダウンロード
同じテーマの記事を読む