クラウドソリューションの中には、ローカルPCにソフトウェアをインストールせずに利用できる製品やサービスがあります。Webブラウザーでクラウドの専用ページへアクセスすることで、そのままブラウザー内で機能を利用できます。事前に環境構築や準備などを行う必要がなく、デバイスを問わず利用できる点が大きなメリットです。
主な内容
- Autodesk Fusion
- SOLIDWORKS 3DEXPERIENCE platform
- Siemens Teamcenter Share
クラウドを介した情報共有
製品を3次元で表現した視覚化や3Dの特性を生かした検証・データ活用など、2D CADにはなかった特徴を持つ3D CAD。広く普及した今でも進化を続け、近年はトレンド機能の一つであるクラウドソリューションに多くのメーカーが注力しています。
今回は主要な3D CAD製品で利用できる、関係者間でリアルタイムな情報共有や共同作業を実現するクラウドソリューションをご紹介します。
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いまや、われわれの生活の中でもさまざまな分野でクラウドと連携した機能・サービスが普及していますが、製品設計においても3D CAD関連のさまざまな機能がクラウド上で提供されています。CAD機能自体をクラウド上で提供していたり、デスクトップ型のCAD環境からクラウドへ接続して機能を利用したりといったことができるようになっています。
中でもクラウドへの接続やクラウド上でデータを保存・共有するといった機能は、低価格または標準機能として提供しているCAD製品も存在します。
クラウドソリューションの中には、ローカルPCにソフトウェアをインストールせずに利用できる製品やサービスがあります。Webブラウザーでクラウドの専用ページへアクセスすることで、そのままブラウザー内で機能を利用できます。事前に環境構築や準備などを行う必要がなく、デバイスを問わず利用できる点が大きなメリットです。
CADと親和性の高い機能の一つにクラウドストレージを用いたデータの保存・共有があります。ローカルPCで管理していたデータをクラウドストレージにアップロードすれば、関係者も同一のクラウド領域へアクセスしてデータを利用できるようになります。誰もがアクセスできるクラウドへデータを集約することで、チームのメンバーや顧客・取引先など、さまざまなユーザー間で容易に情報共有ができるようになります。
クラウド上では共有したデータに対してコメントなどをやり取りする機能が利用できるため、インターネット環境があればどこからでも関連メンバーとコミュニケーションが可能です。外出先や別拠点であっても、任意のタイミングでクラウドへアクセスして情報を確認して意見や指示を共有できますので、対面式の会議を実施せずに議論を進め、設計における意思決定を加速します。
クラウドCAD製品であるAutodesk Fusionでは、クラウド上でデータを作成・保存します。また、Fusionと同じクラウド上のコラボレーションスペースでCADデータを保存・共有できるサービスがAutodesk Fusion Teamです。
Fusion利用者はもちろん、Fusion Team単体での利用もでき、同じクラウド環境へアクセスできるチームのメンバーや、外部のユーザーと容易にデータを共有する機能を提供します。Fusion以外のデスクトップCADのデータもアップロードして共有できます。
ブラウザーでクラウド上の3Dデータへアクセスすることで、データのダウンロードなどを行わずに、直接ブラウザー内でビューアー機能を用いて3Dデータを閲覧できます。3Dデータに対してコメントやマークアップを追加できるため、データを共有しているメンバー間でコミュニケーションを図れます。
デスクトップ型の3D CAD環境であるAutodesk InventorとFusion Teamを併用することで、クラウド上で保存、共有している設計データを直接取得して設計に利用できるため、遠く離れた別拠点の設計チームとも連携が可能です。
また、InventorはFusionやそのほか3D CADで作成されたCADデータを変換せずに利用できる「AnyCAD参照機能」を搭載しており、異なるCAD環境で作成されたCADデータであってもスムーズにデータを利用できる効率的な協調設計を実現できます。
SOLIDWORKSのサブスクリプション特典として利用できるCloud Servicesでは、ダッソーシステムズ社が提供するクラウド環境である3DEXPERIENCE Platformへ接続できる機能を提供しています。CAD画面から共有コマンドを実行することで、アクティブなモデルを共有用データに変換してクラウド領域にアップロードし、リンクを基に他のユーザーと共有できます。共有された側はブラウザーからリンク先へアクセスするだけで、そのまま3Dデータを閲覧し、標準的なビューアー機能やマークアップ機能を用いてレビューやコミュニケーションができます。
データ共有機能のほか、クラウドストレージを用いたデータ管理機能を提供しています。SOLIDWORKSデータをクラウドに保存し、同一クラウドへアクセスできるチームメンバーと共有しながら設計できます。他者からの上書きを防止する排他制御や版数管理、完成度管理に対応しており、特別なシステムを導入することなくチーム設計に必要なデータ管理を実施できます。
そのほか、チームで対応が必要なタスクを可視化して担当者と共有したタスク管理機能や、設計変更などに必要な情報や承認フローを管理する機能なども提供しています。
SaaS対応したクラウドベースの3D CADであるCreo+は、ローカルマシンにインストールが必要ですが、ライセンスをクラウドで識別するタイプのCADシステムです。クラウド上にコラボレーションセッションを生成して設計データをアップロードすることで、セッションに招待したメンバーと同時にアクセス・編集する共同作業が可能です。編集結果はリアルタイムに同期でき、常に最新の状態をメンバー全員で共有しながら作業できます。
セッション内で行ったスケッチやフィーチャーなどの編集作業は全て「コラボレーション履歴」として記録され、いつでも過去の状態を呼び出したり、一つのバージョンとして保存したりするなどの操作が可能です。また、担当者や用途ごとに複数のブランチを作成することで、他のブランチに影響を与えずに編集作業を進められます。編集終了後は各ブランチを「マージ」することで編集内容を統合して最終的な状態を生成できます。
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