SOLIDWORKS 2023でのCPU負荷と処理速度を検証

インテル スレッド・ディレクターを活用

Windows 11に最適化された「インテル スレッド・ディレクター」は、CPUのコアを効率的に管理し、最適なパフォーマンスを引き出せる機能です。SOLIDWORKSは、高度な3D設計を行うための専門ソフトです。高品質なグラフィックスや大規模アセンブリの処理、複雑な計算、シミュレーションなどによりCPUに負荷がかかります。

今回はSOLIDWORKS 2023とHP ZBook Power 15.6 inch G10 Mobile WorkstationのWindows 11および10を使って、常時CPU負荷をかけた状態で処理速度の違いを計測しました。

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検証に使用したワークステーションのスペック

 

機種HP ZBook Power 15.6 inch G10
Windows 11
HP ZBook Power 15.6 inch G10
Windows 10
CPUIntel Core i7-13800H 14コア
2.5 / 5.2GHz(6コア)
1.8 / 4.0GHz(8コア)
Intel Core i7-13800H 14コア
2.5 / 5.2GHz(6コア)
1.8 / 4.0GHz(8コア)
HDDM.2 SSD(PCIe-4×4、NVMe、TLC)M.2 SSD(PCIe-4×4、NVMe、TLC)
キャッシュメモリー24MB24MB
RAM32GB32GB
最大仮想メモリー98,304MB98,304MB
グラフィックス
エンジン
NVIDIA RTX 2000 Ada Generation Laptop GPUNVIDIA RTX 2000 Ada Generation Laptop GPU
グラフィックスボード
ドライバーVer.
31.0.15.289231.0.15.2892
OSWindows 11 Pro 22H2Windows 10 Pro 22H2
  • * 検証では、仮想メモリーの大きさをコンピューター上のメモリーの3倍の大きさにし、初期サイズと最大サイズは同じにする。RAM 32Gでは、初期サイズ・最大サイズともに98,304。
  • * グラフィックスカードはCAD推奨のドライバーを使用する。グラフィックスの基本設定を高パフォーマンスに設定。
  • * 設定―システム―電源モードを「最適なパフォーマンス」に設定(Windows 11のみ)。
  • * 各計測作業前には必ずシャットダウンし、再起動する。LANケーブルは接続せず、ウイルスソフトなどほかのアプリケーションが起動されていないことを確認する。

CPU負荷のかけ方

  • 計測を実施するCAD操作とは別に、レンダリングツール(SOLIDWORKS Visualize)のアニメーション出力を実行。
  • CPU負荷を制限するためCPU負荷を「10%」に設定し、CPU・GPUを使用するよう設定。
  • タスクマネージャー上では常時30%前後の使用率でCPUが稼働した状態で各種計測の手順を実施。

常時CPU負荷をかけた状態での計測 検証結果

大規模アセンブリ一連操作

 Windows 11Windows 10
ソフトウェア起動(1回目)0:040:04
ソフトウェア起動(2回目)0:030:03
アセンブリファイルを開く0:230:23
部品ファイルを選択0:010:01
部品ファイルを開く0:010:01
部品ファイルを編集0:030:04
フィーチャ再構築0:040:04
アセンブリファイル再構築0:030:03
アセンブリファイル保存0:040:04
干渉チェック1:361:36
アセンブリファイル保存0:030:04
標準三面図+等角投影図作成0:240:25
平面図削除0:010:01
作図スケール変更0:080:09
断面図作成0:060:18
アセンブリファイル編集0:010:01
図面ファイル更新0:450:48
図面ファイル保存0:130:13
アセンブリファイル保存0:030:03
全てのファイルを閉じる0:060:06
ソフトウェア終了0:010:01
合計4:134:32
平常時の計測タイム3:413:51
平常時とのタイム差00:3200:41
CPU不可による処理時間の増加率14.5%17.7%

ライトウェイトモードで大規模アセンブリを開く

 

Windows 11
(CPU負荷)
00:5300:1900:29
Windows 10
(CPU負荷)
01:0400:2400:30
Windows 11
(平常時)
00:4100:1700:25
Windows 10
(平常時)
00:4200:1700:26

ライトウェイト解除モードで大規模アセンブリを開く

 

Windows 11
(CPU負荷)
03:0300:4500:43
Windows 10
(CPU負荷)
03:0500:4800:43
Windows 11
(平常時)
02:2500:4000:34
Windows 10
(平常時)
02:2900:4100:35

大規模図面を開く

 ディテイリングモードライトウェイト解除済み
Windows 11(CPU負荷)00:0500:5401:14
Windows 10(CPU負荷)00:0500:5601:21
Windows 11(平常時)00:0500:4801:02
Windows 10(平常時)00:0500:4901:03

個別項目

 

計測項目表示方向変更影つき
エッジシェーディング表示で→キーを押し続けモデルを10回転
「指定保存」で全ての部品をファイルに保存SOLIDWORKS Simulationマクロを使用して拡大縮小→拡大→移動
Windows 11
(CPU負荷)
01:0200:5600:3000:53
Windows 10
(CPU負荷)
01:0200:5800:3000:57
Windows 11
(平常時)
00:5100:4600:2500:46
Windows 10
(平常時)
00:5400:4700:2600:49

考察

平常時での大規模アセンブリの一連操作計測結果では、Windows 11とWindows 10の環境間で大きな時間の違いは見られなかった。しかし、CPU負荷をかけた状態での計測結果では、いずれの操作においてもWindows 11が速い結果となった(注1)。

インテル スレッド・ディレクターにより、負荷の大きな処理をP-コアに、負荷の軽い処理をE-コアに自動で割り振られ、効果的に複数の処理が同時に実行され、高負荷な作業環境下でもスムーズな操作が可能になることが分かった。

CADソフトがバージョンアップすると、多くの機能やオプションを提供され、ユーザーニーズに応えることができるようになる反面、ハードウェアやネットワークにかかる負荷が増してしまう。インテル スレッド・ディレクターの全機能を活用できるWindows 11を選ぶのも解決策の一つになるだろう。

  • (注1)大規模図面を開く ディテイリングモードを除く。

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