BIM/CIMソフトを使って、レンダリング処理速度を比較

GPU性能の違いに注目

国土交通省は、2023年までに小規模を除く全ての公共事業にBIM/CIMを原則適用することを決定しました。国土交通省の取り組みにより、BIM/CIMの普及と活用は着実に進んでいます。

BIM/CIMとは

BIM/CIMは、3Dモデルを活用した技術ですので、高い計算能力とグラフィック処理能力を搭載したマシンを必要とします。今回は、HPワークステーションのデスクトップモデル2機種を用いて、BIM/CIMに必要なソフトを使ったレンダリング処理速度を比較します。

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検証に使用したワークステーションのスペック

 

機種HP Z2 Tower G9 WorkstationHP Z2 SFF G9 Workstation
CPU13th Gen Intel Core i7-1370013th Gen Intel Core i5-13500
メモリー32GB32GB
グラフィックボードIntel UHD Graphics(内蔵)
NVIDIA RTX A2000 12GB
Intel UHD Graphics 770(内蔵)
NVIDIA T1000 8GB
ストレージSSD:952GB(優先)
HDD:931GB
SSD:952GB(優先)
HDD:931GB

レンダリングの重要性

BIM/CIMにおけるレンダリングは、設計や施工、維持管理の各段階で活用されており、BIM/CIMの導入効果を高めるうえで欠かせない技術です。

設計の検証や評価を容易にする

レンダリングを用いることで、設計した建物の外観や内部を実際に完成した状態に近い形で確認できます。これにより、設計の不具合や問題点を早期に発見し、修正できます。また、設計した建物が周辺環境と調和しているか、建物内の採光や通風は適切かなどを、より具体的に検証できます。

顧客へのプレゼンテーションを効果的に行う

レンダリングを用いることで、顧客に建物の完成イメージをより鮮明に伝えることができます。顧客の理解や納得を得やすくなり、契約の獲得につながり、顧客の要望や意見をより反映した設計にすることもできます。

施工の効率化や品質向上を図る

レンダリングを用いることで、施工前の段階で建物の構造や施工方法を検討できます。施工のミスを減らし、工期やコストを削減することができ、施工後の建物の品質を向上させることにもつながります。

Revit 2023でのレンダリング検証結果

Revit 2023でレンダリングを行った場合、HP Z2 Towerの方が約19秒速い結果となった。

HP Z2 Tower G9 WorkstationHP Z2 SFF G9 Workstation
52.07秒71.6秒

使用データ
ボックスカルバート(配筋入り)3Dモデル
サイズ:8.43MB 全長約30m
鉄筋本数:3,234本
レンダリング設定:品質 高、幅 1,135px、高さ 614px、照明 太陽光のみ、天空 少し曇り

InfraWorks 2023での再表示検証結果

InfraWorks 2023でレンダリングを行った場合、HP Z2 Towerの方が約1秒速い結果となった。

HP Z2 Tower G9 WorkstationHP Z2 SFF G9 Workstation
1.9秒2.98秒

使用データ
LandXML地形、地理院地図の衛星画像、建物SHP、水灌線SHP
データサイズ:167.42MB
表示スタイル:エンジニアリングビュー
解像度:2,000×1,500px

Civil 3D 2023でのレンダリング検証結果

Civil 3D 2023でレンダリングを行った場合、HP Z2 Towerの方が41秒速い結果となった。

HP Z2 Tower G9 WorkstationHP Z2 SFF G9 Workstation
384秒425秒

使用データ
等高線から作成した3D地形サーフェス
サイズ:2.65MB 約600×450m
TINサーフェスのポイント数:14,147
三角形の数:28,140
表示スタイル:リアリスティック

考察

レンダリングにおいては、3種類のソフト全てにおいてHP Z2 Towerの方が速く処理できた。

CPUとGPUは、レンダリングにおいて重要な役割を果たします。レンダリングには多くのデータが必要で、CPUの性能が高ければ高いほど、そのデータを速く処理できます。

CPUの性能は、コア数とクロック数で判断できます。コア数とは、CPUが同時に処理できるデータの単位です。コア数が多いほど、多くのデータを一度に処理できます。クロック数とは、CPUが1秒間に行える計算処理の回数です。クロック数が高いほど、計算処理が速くなります。

一方、GPUはレンダリングの最終段階である描画を担当します。描画とは、3Dモデルの表面や色、光源の位置などを考慮して画像として表示することです。GPUの性能が高ければ高いほど、より滑らかで美しい画像を作り出せます。従って、レンダリング速度を向上させるには、CPUとGPUの両方の性能を高めることが必要です。

TowerとSFFのグラフィックボードに搭載されたGPU性能の比較は、次のグラフのとおり。

 NVIDIA RTX A2000(HP Z2 Tower)NVIDIA T1000(HP Z2 SFF G9)
アーキテクチャAmpereTuring
プロセス8nm12nm
CUDAコア3,328896
RTコア3220
メモリー容量12GB GDDR64GB GDDR6
メモリー帯域幅288GB / s160GB / s
消費電力70W50W

後継モデルのNVIDIA RTX A2000は、新世代のAmpereアーキテクチャを採用していることもあり、CUDAコアやRTコアの数がT1000よりも多く、性能が向上しています。12GBのGDDR6メモリーを搭載し、大規模な3Dモデルや高解像度の画像を扱いながらも、8nmプロセスを採用することで消費電力を抑えることができます。

資料では、これらの作業以外の項目でも検証を行っていますので、ぜひ資料請求のうえ、ご確認ください。

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HP Z2G9シリーズ 建設系ソフトベンチマーク結果

主な内容

  • Revit 2023
  • InfraWorks 2023
  • Civil 3D 2023

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