リレー、スイッチ、コネクタ、センサなど、電子部品の金型を設計・製作しているのが、滋賀県草津市にあるオムロンの精密加工技術センタ・金型グループである。同グループが製造する金型は、オムロングループ各社へ納品され、制御機器などを作るときに用いられる。
同グル-プが作っているのは、量産用の総焼き入れ金型であり、研削、手作業を伴う研磨、放電加工などを複雑に組み合わせて製作する。
「従来はリレーやスイッチの金型が中心でしたが、2004年ごろから、より精密な狭ピッチFPCコネクタの仕事が増えてきました。従来に比べて、5~10倍の精度が求められるようになったため、リードタイムも増大。リレー金型のリードタイムは8~10週間でしたが、狭ピッチFPCコネクタでは16~25週間かかっていました」と、精密加工技術センタのセンタ長である岡本恭一氏は説明する。
リードタイムの肥大は、精密加工技術センタにとっても、その金型を使うオムロングループにとっても大問題だ。そこで2005年、金型のリードタイムを大幅に短縮するためのプロジェクトが発足した。
「どうせ変革するなら、業界最先端の『2週間』を達成しよう、20週間のリードタイムを10分の1に短縮しようというのがプロジェクトの目標でした」と岡本氏は言う。