「3DEXPERIENCE World 2021」 レポート2日目

ダッソー・システムズR&D開発部門からのメッセージ

「3DEXPERIENCE World 2021」の1日目では、「3DEXPERIENCEプラットフォーム」を活用した社内外のコミュニティー形成や3D設計、シミュレーションについての事例が紹介されました。2日目の基調講演でも、各国の先進的なユーザーの事例を交えて、ダッソー・システムズのR&D開発部門からのメッセージが発信されました。

基調講演「Power of Platform」

Executive Vice-President Research & Development, Florence Hu氏

ダッソー・システムズ Executive Vice-President Research & DevelopmentのFlorence Hu氏が登壇しました。

Florence Hu氏は、製品が物理的な「もの」を超えた「経験」を大切にする時代になるといいます。顧客とブランドの成功体験とは何か。顧客が商品やサービスを知り、最終的に購買するまでのカスタマージャーニーにおいて、ブランドは一貫した価値を提供し、その商品やサービスの利用を重ねる中で、時間の経過とともに顧客の感情が高まっていく。それが最高と思える「経験」を生み出すのです。

Executive Vice-President Research & Development
Florence Hu氏

ユニークで有意義な「経験」を顧客に提供するには、バーチャルツイン体験、つまり理論的かつ数学的、物理的にいかに現実のものに近づけて具現化していくかということが重要です。「3DEXPERIENCE」では、仮想モデルとシミュレーションを組み合わせて、科学的にバーチャルツインを実現することができます。コンセプトから製造、ユーザー経験まで、シミュレーションすることができます。仮想現実は現実世界から学ばなければなりません。そして、修正していくことで仮想現実と現実世界の距離を近づけることができるのです。近づくことで、実際での製造を再現でき、さまざまな製品を生み出すことができるのです。

Research & Development Vice President, Manish Kumar氏

ダッソー・システムズ・ソリッドワークス Research & Development Vice PresidentのManish Kumar氏が登壇。「3DEXPERIENCE」を活用した導入事例を紹介しました。Manish Kumar氏は2020年も登場したClip社の「自動芝刈り機」の事例を取り上げました。「3DEXPERIENCE」でプラットフォーム上に用意された、「ホワイトボート」にビジュアルを掲載して、アイデアを共有することができます。

Research & Development Vice President
Manish Kumar氏

そして、チームはそのホワイトボードを見ながらコミュニケーションを取ることができます。エンジニアは、いつでも、どこでも、デバイスを問わずアクセスすることができ、パラメトリックモデリング機能をもつ「3D Creator」を使用することができます。プラスチック部品のニーズがあれば、金型を成型する「3D Mold Creator」(注1)があります。

コンセプトデザインからデータ共有、モデル製作まで、「3DEXPERIENCE」で実現することができます。「3DEXPERIENCE」で製作したモデルはそのまま、プラットフォームに保管することができます。一貫して作業を行うことができるため、設計から生産へ移行する際のリスクを軽減することが可能です。Clip社はマーケティングにおいて、製品の第一印象が成功のカギだと考えていました。マーケティング部門は3Dデータを活用してレンダリングを行い、リアリティーある画像を用いた製品コンテンツを作成しました。製品コンテンツは顧客の購買意欲を向上させます。

Manish Kumar氏は、設計から生産へのスムーズな移行、そして、マーケティングにも活用できるのが「3DEXPERIENCE」であり、この一体となったソリューションは2021年、さらに強化される予定だと説明しました。

  • (注1)日本国内でのリリース・発売は未定

リモートワークを可能にするクラウド型ソリューション

貯蔵タンク内部を検査できる自律型ロボットの開発を行うSquare Robot社は、ローカルサーバーなしにビジネスを展開するために、クラウドでCADデータなどを保管・管理できるシステムが必要だったといいます。クラウドで運用することにより、オフィスがあるニューヨークから離れた場所でもリモートワークをすることが可能になりました。デザインチームのほとんどはボストンにいますが、どこからでもプラットフォームにアクセスでき、コロナ禍であってもチーム全体で効果的にプロジェクトを進めることができました。また、クラウド型であるため、ローカルサーバーのように容量が足りなくなるということもないので、その点の利便性も感じています。

ピックアップトラックの荷台に設置するテントを開発・販売するSKINNY GUY CAMPERS社は、従業員がさまざまな州にいることから、クラウド型「3DEXPERIENCE」はどこからでもアクセスでき、また必要なアプリケーションのダウンロードもできるため、共同作業を行う上で、利便性がよかったと話しました。

ビジネスの成長に合わせて拡張できる「3DEXPERIENCE」

あなたのビジネスの成長に合わせて、「3DEXPERIENCE」は拡張することができます。また、高度なセキュリティも確保しています。「3DEXPERIENCE」は人とデータを結び、コンセプト作成から生産、マーケティングまでのプロセスを効率的に合理化することが可能です。ダッソー・システムズは今後も業界をリードするソリューションとアプリケーションを提供していきます。

「3DEXPERIENCE World 2021」 レポート