これから生き残っていく人材、企業になるために ~「3DEXPERIENCE Works」の機能性と将来性~

MONOistの人気コラムニストが新製品を使ってみた!

MONOistでおなじみの、テルえもんこと、いわてデジタルエンジニア育成センター センター長の小原照記さんが「3DEXPERIENCE(R) Works」を実際に利用してみた感想や製品の特徴についてのレポートをお届けします。

執筆:小原照記

「SOLIDWORKS」の新しい選択肢、「3DEXPERIENCE Works」の実力とは?

3DEXPERIENCE Worksと聞いて、皆さんは何を想像するでしょうか。筆者は、同じダッソー・システムズのSOLIDWORKSやCATIA V5のユーザーですが、使う前までは以下のようなイメージを持っていました。

  • CG感覚でデザイン形状が作れそう?
  • 構想設計に使えるツールがある?
  • データ管理がクラウドなの?
  • SOLIDWORKSの連携って、どうなの?
  • 興味はあってセミナーを聞いてみたりしたけど、なんかよく分からない。

これは2020年12月までの筆者です。そして2021年1月以降、実際に使用してみた感想が以下になります。

  • 操作性がよい。
  • CG感覚で形状ができて、ソリッドやサーフェスでは作成に時間がかかるものが簡単にできそう。
  • 3D CADが初めての人でも安心して使えそう。
  • データ管理がクラウドで便利。
  • アカウント管理のため複数のPCにインストールして、どこでも使用できる。

今回は、筆者が実際に3DEXPERIENCE Worksを使用してみての所感をご紹介していきたいと思います。

なお、詳しい製品紹介については、本サイトの製品紹介のページを見たり、問い合わせたりしてもらうとして、ここでは筆者のユーザー目線での説明を中心にしていきます。

3DEXPERIENCE Platformとは

自由曲面をCGライクで感覚的に作成できる-xShape

はじめに使用してみて驚いた機能として、3D Sculptorのアプリ「xShape」のサブディビジョンサーフェスによるモデリングです。

xShapeのサブディビジョンサーフェスによるモデリング操作画面例

直方体や円柱などの基本形状(プリミティブ)を作り、それを粘土のように引っ張ったり、押したりなど感覚的に面を動かして形を作成していくことができました。

機械設計で自由曲面を作成することは少ないかもしれませんが、人が握るグリップや人が座るシートなど、寸法だけでは表現しにくい形状を作りたい際には非常に便利な機能でした。

医療や介護分野など新しい業種への機器開発に挑戦も可能になるなど仕事の幅が広がるかもしれません。

サーフェスとの曲面作成の違いは、サーフェスは、線データ(スケッチやエッジ)で面を作成し、線データを修正することで面の形状をコントロールしますが、xShapeの場合には、3D形状の面を感覚的に動かして形状を作成していきます。デザインを探りながら形状を感覚的に素早く作り、修正が可能です。

アプリはWebブラウザー上で動かしますが、違和感はなく操作できました。ただし、ネット回線が不安定な場合、更新が遅れるなどレスポンスが悪くなりますので、十分なネット環境を整えておくことが必須条件になります。

操作を習得するのに時間がかかりそうと思われるかもしれませんが、半日から1日のトレーニングを受ければ、機能は学ぶことができると思います。公式の動画のチュートリアルなども用意されていますので、それを見ながら学べる環境も整えられていました。

筆者も動画を見て勉強しながら、自分でマウスや飛行機、フライパンなどを実際にモデリングしてみました。その様子を筆者のYouTubeチャンネルで公開していますので、参考にしてみてください。

ゆるっと「エクスペリエンス」実際の操作を見てみよう!

xShapeの詳しい機能を知りたい方は、こちらのページも参考にしてみてください。

工業デザインに特化したクラウドベースの3D CAD「3D Sculptor」とは

3D CAD初心者に使いやすそう-xDesign

筆者はこれまで10種類程度の3D CADを触ってきていますが、その中でも3D Creatorのアプリ「xDesign」は、操作性がよいものでした。

xDesignの操作画面例

一般的な3D CADは使用するコマンドのメニューが画面上にありますが、xShape / xDesignは下にあります。使う前は使いづらそうというイメージを持っていましたが、使ってみると何の違和感もなく、むしろ使いやすいと感じました。

SOLIDWORKSなどほかのミッドレンジクラスの3D CADと比べれば、板金や金型に特化した機能がないなど機能性として低い面もありますが、一般的なモデリング機能、アセンブリ機能は搭載されていて、操作性がよいので、これから3D CADをはじめようとしている方や専門的なコアな設計まではしない方にはオススメできる3D CADでした。

機能性が低いと書きましたが、最新の機能も搭載されています。デザインガイダンスという機能です。構造最適化ともよばれるもので、形状範囲と拘束、荷重などを定義すると、コンピューターが最適な形状を提案してくれます。これにより、軽量化を実現しつつ最も高い剛性のものを設計検討していくことができます。

xDesignは、最新のテクノロジーも搭載されているほか、今後、板金や金型などの専門的な設計を行うことができる機能も搭載されるなど、よりよい機能が追加されていく予定のようです。今から導入して操作を覚えて慣れていき、ソフトの進化と共に自分も機能を覚えて成長していくのもよいのではないでしょうか。

xDesignの詳しい機能を知りたい方は、こちらのページも参考にしてみてください。

ダッソー・システムズが展開する3D Creatorとは

xShapeとxDesignの連携について

xShapeとxDesignは、作業中にシームレスに切り替えることができます。操作画面は大きく変わらず下のメニューだけが変わるだけなので、違うアプリを使用しているという感覚ではなく、機能を切り替えているという感覚で使用できます。

自由曲面はxShapeで作成して、機械部品のような寸法定義を求められる設計場面では、xDesignを使用するような使い分けをするとよいでしょう。

例えば、デザイナーはxShape、エンジニアはxDesignを使用して製品開発を進めていくことで、別々なアプリを使い、紙やメールなどでやりとりするよりもスムーズにデータが連携でき、お互いの認識の違いを起こさずにコミュニケーションをとりながら作業を進めることができます。

デザイナーとエンジニアとのスムーズなデータ連携によるコミュニケーション向上

そして、さらにコアな設計をしたい場合には、3DEXPERIENCE SOLIDWORKSを使用します。

設計の根幹を担う-3DEXPERIENCE SOLIDWORKS(SOLIDWORKS Connected)

3DEXPERIENCEとつながることを前提としたSOLIDWORKSを3DEXPERIENCE SOLIDWORKSまたはSOLIDWORKS Connected(コネクテッド版)とよんでいます。

従来のSOLIDWORKSは、デスクトップ版として区別されています。コネクテッド版はWebブラウザー上で動かすのではなく、デスクトップ版と同様にパソコンにインストールして使用する仕様となっています。

3DEXPERIENCE SOLIDWORKS(SOLIDWORKS Connected)の操作画面

操作画面はデスクトップ版と同じなので、これまでSOLIDWORKSを使用してきているユーザーは何も違和感なく使うことができるでしょう。大きく違うところはデータがクラウドに保存されるということです。

クラウドにデータが保存されるため、先ほど紹介したxShape、xDesignなどの3DEXPERIENCEの機能とのデータ連携がしやすくなっています。

xShape、xDesignには、2次元図面作成機能が搭載されていないので、図面を作成したい場合には、SOLIDWORKS Connectedを使用します。そのほかにもSOLIDWORKSには、板金やモールドなど、コアな設計を行えるツールが搭載されていますので、全ての機械設計エンジニアの根幹を担うことができます。

一つ注意点として、デスクトップ版と機能を比較した際にコネクテッド版には搭載されていない機能・モジュール・アドインもあるので、そこは注意が必要です。例えば、タスクスケジューラー、Xpress製品、SOLIDWORKS CAM、eDrawingsなどは搭載されていません。

詳しくは、こちらのページを参考にしてください。

3DEXPERIENCE SOLIDWORKS 従来型との比較

現在、機能が徐々に追加搭載されてきていますので、最新の情報を知りたい場合には営業担当の方やWebなどからお問い合わせしていただくのがよいかと思います。

クラウドでのデータ管理について

3DEXPERIENCE Worksは、データがクラウドに保存されます。クラウドは危ないといって使うのを拒む人がいるのも分からなくはないですが、使うと便利で手放せないです。自分のパソコンが壊れてもデータはクラウドにあるという安心感がありますし、ほかの社内のチームの人とデータを共有するのも簡単に行えます。サーバーを自社で用意する必要がないのも利点です。

製品開発スピードが求められる時代の中で、クラウドの利用は必須であり、当たり前のようにクラウドを活用している海外企業と戦っていくには、日本の企業もクラウド技術を信頼し活用を進めていくことが求められています。

こちらのページも参考にしてみてください。

3DEXPERIENCE Platformで外部企業と協業する方法

そのほかの機能-3DEXPERIENCE Works

今回は主にxShape、xDesign、SOLIDWORKS Connectedについてご紹介しましたが、そのほかにもデータを共有してコミュケーションがとれるビューイングアプリ「3D Play」やマークアップできるアプリ「3D Markup」などがあります。

筆者が初めて3DEXPERIENCEを起動して使用してみた感触として、操作画面が分かりやすく構成されているので、感覚的にメニューのボタンを押しながら作業を進めていくことができました。またメニューを自分の使いやすいようにカスタマイズできるので、自分がよく使用するツールをトップの画面に持って来たり、進捗管理が行えたりするアプリやチャット機能などもあるので製品開発業務を3DEXPERIENCE Platformという一つの共有ツールを利用することで可能になると感じました。

プラットフォームとは、一般的にサービスやシステム、ソフトウェアを提供・カスタマイズ・運営するために必要な「共通の土台(基盤)となる環境」のことです。3DEXPERIENCE Platformは、設計から製造、サービス、マーケティングにいたる製品開発プロセス全体に必要なアプリを提供する土台(基盤)であることを実際に触ってみて、ようやく筆者は実感できたのです。

これから生き残っていく人材、企業になるには

今後、生き残っていける会社は、間違いなく変化に対応できる会社でしょう。そのためには、時代の変化に適応するために最新の機器を使用する必要があります。

古い道具を使っていては戦えません。戦国時代でいえば、鉄砲で戦う時代の中、いつまでも刀や槍で戦っていても勝つことはできませんよね。

ものづくり製造業における設計で使用されるCADやCAEソフトウェアなども日々進化しています。10年20年前とでは、世の中の状況も違います。クラウドやVR、AIなどが注目されていない時代に作られたソフトウェアを使っていては、時代から取り残されていってしまいます。

ましてや今回のような予想もできない新型コロナウイルス感染症の世界的流行による経済、生活の変化に対応していくためには、ものづくりの未来を見据えて開発されている新しいソフトウェアが必要不可欠です。そして、進化を続ける開発メーカーや商社と付き合う必要性が高まっています。

今回、ご紹介した「3DEXPERIENCE Works」は、進化を続けている最新のツールです。

企業として、まずは社員に十分な環境を整えてあげることが大事です。在宅勤務の環境であったり、製品開発を行える環境であったり、より高度な製品をつくれる環境であったりなど、環境を整えてあげることで社員のモチベーション向上や安心につながったり、会社としての現場力の向上へとつながっていきます。

強い現場とは、社員メンバー全員がやる気と主体性を持っていきいきと活動・挑戦し、各自の個性と能力が十分に発揮され、同じ方向に向かって団結・前進し成果を上げ続ける現場です。

これまで2Dで設計や加工をしている企業には、ぜひ、今後3Dでの設計や加工にチャレンジしてほしいです。3Dで設計することで3Dプリンターを活用しての試作づくりや製品化も可能になりますし、設計者だけではなく、だれでも形状を認識することができ、社内や外部の人からの意見をもらいやすくなり、よりよい製品を作ることができます。

これらを可能にしてくれるのが、今回ご紹介した「3DEXPERIENCE Works」です。ぜひ、一度導入の検討をしてみてください。この記事が少しでも皆さんの今後の業務のお役に立ててもらえたら幸いです。

最後に繰り返しのご案内となりますが、今回ご紹介した、xShape、xDesign、3DEXPERIENCE SOLIDWORKSを実際に使用している動画をYouTubeにアップしていますので、導入検討や使い方を学ぶ参考にしてください。

YouTubeチャンネル-テルえもんCADルーム

執筆:小原照記

3D CAD / CAM / CAEコンサルタント。自動車内装部品の設計会社を退職後、岩手県北上市にある「いわてデジタルエンジニア育成センター」でハイエンドCADであるCATIAをはじめ、ミッドレンジCADのSOLIDWORKSなど数種類のCAD講師を担当。センター長としてCAEやCAM、3Dプリンター、3Dスキャナーなど3次元全般に関する講師および企業の相談に対応し、3次元デジタルものづくりエンジニアの育成と企業の支援に励む。CATIA認定技術者Expert、SOLIDWORKS認定資格である最高峰のCSWEを保有。

小原照記氏による記事