道路舗装工事企業が安全書類をはじめとする書類のペーパーレス化を進め、生産性向上と働き方改革を目指す
地崎道路株式会社
- 業種
- 道路舗装業
- 事業内容
- 道路・施設舗装工事、一般土木工事、生活関連工事、空港メンテナンス工事など
- 従業員数
- 151名(2021年4月現在)
- サイト
- https://www.chizakiroad.co.jp/
導入事例の概要
地崎道路株式会社は、手書きで作成している帳票類のペーパーレス化を推進するため、現場記録・報告・閲覧ソリューション「ConMas i-Reporter」を導入。紙の無駄が減っただけでなく、オフィスに戻ってからまとめていた安全書類が現場でも作成できるようになり、生産性向上や働き方改革の実現を一歩前進させた。
導入の狙い
- 安全書類の作成など、業務のペーパーレス化を推進する。
- 現場担当者の生産性を向上し、働き方改革を実現する。
導入したメリット
- オフィスに戻らなくても現場で安全書類が作成可能に。
- 現場帳票の電子化によってペーパーレス化が促進。
導入システム
滑走路の着陸拘束装置など、独自の技術に定評
地崎道路株式会社(以下、地崎道路)は、道路舗装工事に特化して事業を展開する土木工事会社だ。高速道路や一般道路のほか、空港や自衛隊基地の滑走路、道路のアスファルト舗装なども手掛ける。
「1968年の設立以来、50年以上に及ぶアスファルト舗装工事の技術とノウハウの蓄積があり、特に航空自衛隊基地の滑走路に設置する着陸拘束装置(バリア)の工事ができるのは、国内では数社しかいません」と語るのは、執行役員 本州統轄事業部長の八木正輝氏である。
地崎道路は全国の道路舗装工事を請け負っており、北海道を除く地域については本州統轄事業部が全ての営業と工事を統括している。一方、ほかの都府県よりもエリアの大きい北海道は札幌に北海道支店を設け、2拠点体制で全国を網羅している。
「北海道支店は、新千歳空港の維持工事を長年にわたって受注しており、除雪作業など、航空機の定時運行に欠かせない滑走路の維持を行っています。この業務は経験とノウハウが必要とされる作業であり、長年培った独自の技術やノウハウを幾つも持っていることが、当社の大きな強みです」と八木氏は語る。
手書きの報告書作成を合理化し、現場担当者の生産性向上を目指す
ほかの業界と同じく、同社が属する土木業界でも業務のICT化やDX(デジタルトランスフォーメーション)は進んでいる。GPS技術などを使って動作を自動制御するICT建機の普及が拡大しているのは、その一例だ。
ただし、「当社が手掛けるアスファルト舗装工事は、規格値がミリ単位と一般的な土木工事よりも要求される精度が細かいので、業界全体でもICT建機の導入は進んでいません。GPS技術がもっと進歩すれば、ICT化が本格化すると思うのですが」と八木氏は語る。
一方で、現場における各種情報の記録や整理といった、事務作業関連のICT化は着実に進んでいるようだ。これに対応して、地崎道路は数年前に「ICT推進課」を設置。業務の効率向上や生産性向上、働き方改革などを実現するためのICT活用を検討してきた。その一環として、2017年に大塚商会を通じて導入したのが現場記録・報告・閲覧ソリューション ConMas i-Reporterである。
タブレット端末から簡単に帳票作成ができる点を評価
八木氏はi-Reporterを導入した経緯についてこう語る。「当時、社内で業務のペーパーレス化を推進しようという動きが広がっていました。そこで、手書きで作成していた工事現場の安全書類をデジタル化できないか、と考えたのがきっかけです」
同社では以前は安全書類を紙ベースで運用していた。Excelで作成したフォーマットを印刷し、各担当者が毎日現場から戻った後に手書きで記入。その後、ある程度まとまったところでスキャニングしPDFデータにしたものを、CD-ROMなどの磁気メディアに焼き込んで保管していたという。
しかし、記録し終えた紙は最終的に捨ててしまうため無駄が多く、PDF化された書類では文字データも流用しにくい。また、「安全書類は現場担当者が事務所に戻ってから作成するので、時間外労働が増える要因にもなっていました。現場にいる際のスキマ時間を使って作成すれば、無駄な労働時間が減って働き方改革にもつながります。そのためにも、場所を問わずに書類が作成できるi-Reporterに切り替えるのが合理的だと考えました」と八木氏は振り返る。同社はサーバーやソフトウェアの導入などで大塚商会と長年の取引があり、大塚商会の営業担当者に相談したところ紹介されたのがi-Reporterであった。
八木氏は、あらかじめ所定のフォーマットを作成しておけば、PCやタブレット端末を使って必要事項を入力するだけで簡単に報告書が作成できること、しかもExcelとほとんど同じ操作方法で使えることなどに魅力を感じた。「ほかにはない画期的な製品だったので、他社製品と比較検討することもなく、導入を決定しました」(八木氏)
ひとまず本州統轄事業本部のみで20ライセンスを導入し、効果が実感できてから北海道支店にも展開することにした。i-Reporterにはクラウド版とオンプレミス版の2種類があるが、費用対効果を考慮した結果、後者を選択。社員のPCやタブレット端末からはVPNで社内サーバーへ接続する構成にした。
執行役員 本州統轄事業部長 八木正輝氏
「以前から使用している帳票のExcelフォーマットをそのまま使えることも大きなメリットでした。さらに、各報告書に入力された数値データを統合・集計すれば、作業ごと、時系列などで実績をグラフ化できます。」
安全書類の作成に活用し、働き方改革を目指す
i-Reporterの導入により、紙で作成されることが多い現場帳票を、PCやタブレット端末などから直接入力・記録できる。これによってペーパーレス化が実現するだけでなく、いつ、どこにいても、端末さえあれば報告書の作成が可能になった。
また、以前から使用している帳票のExcelフォーマットをそのまま使えることも大きなメリットだ。さらに、各報告書に入力された数値データを統合・集計すれば、作業ごと、時系列などで実績をグラフ化できる。
八木氏は、ひとまず当初の目的であった安全書類の作成にi-Reporterを活用することにした。
しかし、導入の初期段階では苦労もあったようだ。Excelと使用感が似ているため、使い方についてはそれほど大きな課題はなかったが、「手持ちのタブレットやPCからまずサーバーに接続し、次にi-Reporterにログインするという2段階のアクセスが必要だったので、覚えるのにひと苦労する社員も多かったようです」と八木氏は語る。
活用を促すため、八木氏やICT推進課の担当者たちは、使い方について社員に根気強く指導を行った。
現場で報告書作成が可能になり、労働時間の短縮に貢献
苦労の甲斐があって、その後、少しずつi-Reporterの活用は広がっていった。八木氏は、「期待どおり『事務所に戻る前に報告書が作成できるようになって、業務時間が短縮された』という前向きな感想も耳に届くようになりました」と語る。
ただし、せっかく現場で安全報告が作成できるようになったのに、いまだに事務所に戻ってから作成する社員も少なくないという。「ICTをもっと使って、仕事を少しでもラクにしようという意識が社員一人一人に根付かないと、活用が定着しないのではないかと思っています。役員である私や、ICT推進課のスタッフたちがさらに積極的な働き掛けを行っていく必要があると感じています」と八木氏は今後について語る。
とはいえ、i-Reporterの導入によって、労働時間の短縮や生産性向上のための土台が整ったことは間違いない。「新たな道具の効果を実感する社員が増えれば、一歩ずつでも活用は広がるはずです」と八木氏は期待する。
安全書類以外でも利用を広げ、蓄積されたデータを活用
本州統轄事業本部で活用が定着したあかつきには、予定どおり北海道支店にもi-Reporterを導入する方針である。さらに、現在は安全書類の作成のみに使用しているが、今後は品質管理書類、出来形管理書類などの作成にもi-Reporterを活用することを検討している。
八木氏は、「現場だけでなく、総務や人事といった管理部門の帳票作成にも利用の幅を広げていきたいと考えています。当初はペーパーレス化が大きな目的でしたが、記録したデータを統合・集計できるメリットなどを考えると、もっと広範囲で利用しない手はありません。大塚商会さんには、活用例や最新バージョンの機能を含めて、今後も有益な情報を提供していただきたいですね」と語った。