FlowDesignerで行うビル風の解析(外気風設定方法)

室内と異なり、高さ方法に風速が異なる設定方法があります

FlowDesignerは、室内と室外の両方を解析できるCFDソフトウェアです。室内解析は、壁や天井などで囲まれた「閉空間」であるため、解析の対象は主に室内空気の流れや温度分布など、室内環境に限定されます。一方、外気風解析(室外解析)は、建物周辺の広範囲な空間を対象とするため、室内解析に比べて考慮すべき要素が大幅に増えます。

外気風解析(室外解析)で注意すること

外気風解析では対象となる建物だけでなく、その周辺の地形や建物群もある程度広くモデル化する必要があります。周辺環境が風速や風向に大きな影響を与えるためです。

また、地表面付近の風速が場所によって大きく異なるように設定する必要があります。建物が少なく地表面が平坦な平原地域は、風速は比較的均一ですが、高層建物が密集する都市部では、風速は場所によって大きく変動します。

FlowDesignerには、建物の周りの環境や設計基準に基づいた、風の高さ方向の変化を表現する関数が標準で装備されています。それでは、サンプルモデルを使って2種類の風の設定で、解析結果にどうのような違いがあるのかを比較してみます。

サンプルモデルを使って、2種類の風の設定で比較してみる

解析モデル

解析モデル対象建物を中央に配したBIMモデル(周囲の建物はますモデルで形状・高さのみ再現)
中央の建物はピロティを再現している
3Dモデル範囲幅:247m×奥行:202m×高さ:16m
解析領域幅:493m×奥行:403m×高さ:32m

解析条件

解析条件は、次の2条件で比較してみます。

条件1:風速3.5m / s、観測点高さ10m、対象区域:平原

風速3.5m / s
観測点高さ10m
対象区域平原

対象区域:平原の高さ方向の風の設定

条件2:風速3.5m / s、観測点高さ10m、対象区域:大都市中心部

風速3.5m / s
観測点高さ10m
対象区域大都市中心部

対象区域:大都市中心部の高さ方向の風の設定

比較箇所

結果は次の2断面での風速分布と風向ベクトルで比較します。

断面1:対象建物北側の道路中央

断面2:対象建物ピロティ部断面

解析結果の比較

外気風は解析領域の外(3Dモデル範囲の外)から流入してくるため、結果としては3Dモデル内での風の流れに大きな違いは見られなかった。

断面1:対象建物北側の道路中央

条件1:平原

条件2:大都市中心部

断面2:対象建物ピロティ部断面

条件1:平原

条件2:大都市中心部

まとめ

外気風解析では、解析領域を適切に設定することが、正確な解析結果を得るために不可欠です。3Dモデル範囲に対して十分な大きさの解析領域を確保し、適切な風速条件を与えることで、周囲の建物の影響を考慮した、より現実的な風環境を再現することができます。

大塚商会では、随時オンラインデモを開催しており、FlowDesignerの実際の画面をご確認いただけます。導入ご検討中の方、オプション追加などでお悩みの方はぜひご参加ください。

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