3Dプリンターで失敗しない3DデータをSOLIDWORKSで作る

SOLIDWORKSに搭載された3Dプリンターで有効な機能

3Dプリンターで造形する見込みがある場合、モデリングのときから3Dプリンターで失敗しない3Dデータを作成する必要があります。失敗しない3Dデータとは、どのようなモデルなのでしょうか? SOLIDWORKSに搭載されている3Dプリント向け機能と共にご紹介します。

この記事を詳しく解説した資料があります

モデリング時の注意点

モデリングの際は、形状以外にもサポート材や積層方向、強度、造形コスト、ファイル出力など気をつける点が多岐にわたります。

造形時に問題となる形状の回避

  • 薄い部分を持つモデル形状を作成しない。
  • すき間の狭いモデル形状を作成しない。

出力に必要な形状の作成

  • テクスチャは3Dジオメトリとして作成する。
  • ねじ山は3Dジオメトリとして作成する。

3Dプリンターでの配置

  • サポート材を最小限に使用する。
  • 粗く造形される積層方向を考慮して配置する。

3Dプリントフォーマットファイルの出力

  • スライサーで使用するファイル形式に出力する。
  • 曲面はメッシュデータ出力を高解像度で設定する。

各項目を詳しく解説していきます。

造形時に問題となる形状の回避

薄い部分を持つモデル形状やすき間の狭いモデル形状を作成しない

3Dプリンターでは薄い形状は再現されにくいため、薄い部分を持つモデルの作成は回避する必要があります。また、すき間の狭いモデル形状も造形の誤差を考慮してモデリングする必要があります。

SOLIDWORKSには、薄い部分を持つモデルやすき間の狭いモデルに対して、厚みやすき間を分析し検出する機能が搭載されています。

  • SOLIDWORKSの厚み分析

  • SOLIDWORKS Print3Dの厚み/すき間分析

はめ込みの部品間にすき間のないモデル形状を作成しない

はめ込みの部品間に、造形の誤差を考慮したすき間を作成しておく必要があります。SOLIDWORKSでは、3Dプリンターによる造形前にほかの部品との干渉や組み付け不可などの基本的な問題をCAD上で確認することができます。

SOLIDWORKSによるアセンブリ時のクリアランス検出

微細な形状は作成しない

3Dプリンターでは微細な形状は再現されにくいため、小さい面取りやフィレットなどを作成しない、または抑制しておく必要があります。SOLIDWORKSでは「検索/変更フィーチャー」を使用すれば、指定のパラメーター条件を満たす、特定タイプの部品フィーチャーでの検索と変更を実行できます。

検索/変更フィーチャー

出力に必要な形状の作成

テクスチャは3Dジオメトリとして作成

テクスチャの詳細部分を3Dのボディ形状として作成し、メッシュデータとして出力できるようにする必要があります。

SOLIDWORKSでは3Dテクスチャを使用し、部品のテクスチャ外観をグラフィックボディとして3Dジオメトリに変換し、3Dプリンターで使用できるようにできます。

3Dテクスチャ

ねじ山は3Dジオメトリとして作成する

穴ウィザードで作成されたねじ穴は、ねじ山の形状として作成する必要があります。SOLIDWORKSではフィーチャーを使用してねじ山形状を作成できます。

ねじ山フィーチャー

3Dプリンターでの配置

サポート材を最小限に使用する

サポート材を最小限にするためには、次のような回避方法が挙げられます。

  • 造形方向を上下逆・斜めなどに変更する。
  • 造形モデル自体にサポート材がつかないように、オーバーハング部の角度を調整して形状変更。
  • モデルを二つに分割し、サポート材を必要としないモデルを作成。造形後に接合。

SOLIDWORKSではモデルを部品として分割・作成したり、Print3D機能のビルド分析を実行すると、3Dプリント中にサポートが必要な面を識別したりすることができます。

  • 部品分割機能による造形しやすい形状作成

  • Print3D機能によるサポート材を必要とする面の認識

粗く造形される積層方向を考慮して配置する

積層方向は形状が粗く造形されます。特に曲率の小さい(曲率半径の大きい)R部を横にした方向の再現に弱くなるので、曲面の多い形状で積層の段差が粗く造形される部分を考慮して配置方向を決定する必要があります。

SOLIDWORKSのPrint3D機能は、積層ラインを表示し、十分な造形解像度が設定されているかどうかをご確認いただけます。

Print3D機能による積層ラインの確認

このほかにも検討すべき項目を挙げます。

  • 造形時間や材料使用量を考慮し、一体構造にするか組立構造にするか。
  • テーブルからはがれないように配置。強度を必要とする場合は造形方向を考慮して配置するか。

3Dプリントフォーマットファイルの出力

3Dモデルを3Dプリンターで造形するには、スライサーに渡すためのメッシュデータを生成する必要があります。SOLIDWORKSからは部品やアセンブリを3Dプリントフォーマットの.stl、.3mf、.amfファイルに出力できます。

また、曲面はメッシュデータ出力の解像度を高く設定するとより滑らかに造形できます。SOLIDWORKSで出力する場合、オプション設定で解像度を調整できます。

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3Dプリンターの活用を考慮した3Dモデルの作成

主な内容

  • 3Dプリンター活用に求められる3D形状の作成
  • 3Dプリンターでの配置
  • 3Dプリンターの活用に役立つSOLIDWORKS機能