主な内容
- 公差設計で解決すべき問題
- コストと品質のバランスを公差で実現
- 公差解析ツール
その製品、どのように公差を設定していますか?
多くの設計者が重要性を認識している「公差」ですが、実際には有効な公差検討が行われていないという現場が多いのではないでしょうか? 不適切な公差は、製品の品質やコストに悪影響を及ぼしている可能性があります。
今回は、不適切な公差が製品や現場に与える影響と共に、公差の必要性をあらためてご説明します。
この記事を詳しく解説した資料があります
公差は、本来であれば形状や加工方法、組み付け時に関連する他部品など、さまざまな要素に配慮して値を検討する必要があります。
しかし、多くの現場では類似製品の過去図面の公差をそのまま適用していたり、簡易的な手計算だけで公差を決めていたりといったケースがほとんどです。中にはベテランが勘や経験で決めていたり、全て金型業者へ任せてしまっていたりなど、設計部門の中で公差を決めるルールや手段が明確になっていないこともあります。
公差は製品製造時に発生するバラつきに対して、許容される範囲を指定した値になり、公差範囲を超えるバラつきが生じた製品は「不良」として扱われます。そのため、公差設定が直接部品の不良率に直結します。
公差が厳しすぎるとバラつきの許容範囲が狭くなり、不良の増加につながりますが、不良率を減らそうと安易に公差を緩めると、今度はバラつきが大きく製品の品質が低下するため、製品を組み立てられないといった不良につながります。
単純に公差を厳しくする、緩めるだけでは部品や製品の不良増加につながる
不適切な公差で作成された製品は、関連する各部品の誤差が累積することで、組み立てられないほどのズレや干渉が発生する場合があります。そのような場合、現場の作業者が加工をするなど、調整しながら組み立てる必要があるため、組み立て作業に不要な工数が発生します。
そのため、通常の組み立て作業よりも多くの時間を必要とし、作業者の負担増加や納期遅延の要因になります。
ズレや干渉が発生し、加工を加えないと組み立てできない
ズレが生じている部品をくみたてるため、シム(部品の位置や傾きを調整する際に使用する詰め物)を入れて調整が必要
組み立て時の不良をなくすためには、出来上がる製品の品質を高めるために公差を厳しく設定する必要があります。
しかし、一定以上の精度で製造するには通常の加工方法では難しいことが多く、厳しい公差範囲に収めるためには高精度が出せる高コストな加工機械が必要になるため、加工コストや納期の増大にもつながります。
製品仕様として厳しい規定のクリアが求められる精密機器や部品点数の多い製品では、規定を満たした品質となるよう公差を設定する必要があります。部品同士のバラつきにより想定しない隙間や接触不良が生じた製品はガタツキや異音の原因なるため、品質不良の問題を招きます。
また、製品の外観で高い品質が求められる製品では、隙間が均一でないことで見栄えが悪くなり、外観不良になることがあります。
このようにさまざまなコストや品質、作業効率など、多種多様な問題に影響を与える公差ですが、製造現場で対応しきれない場合は設計への手戻りも発生し、さらに工数・工期の増大する恐れがあります。
こうした事態を避けるためにも、公差の検討は、製造や試作の前段階である設計段階で対処すべき問題になります。そして、設計で効率的な公差検討を行うには、設計ツールであるCAD上で利用できる公差解析ツールを利用するのが有効です。
公差解析では、製品上で評価すべき寸法を指定することで、関連する各部品の寸法公差から累積誤差を計算して発生し得る組み立て不良を予測できます。一般的な計算方法となる「ワーストケース」「二乗根和」といった計算結果から発生し得る最大/最小のバラつきを予測したり、寄与率から影響度の大きい公差を容易に把握できたりします。
解析結果を根拠に公差を検討することで、組み立て時の不良発生を許容できる程度に抑えながら公差を緩めて部品の不良も改善するといった、品質とコストのバランスに配慮した公差設計を行うことができます。
厳しめの公差設定:性能・品質重視
緩い公差設定:製造性重視
SOLIDWORKSでは、Professional以上に搭載される公差解析機能として「TolAnalyst」を利用できます。「ワーストケース」「二乗根和」によるバラつき計算に加え、関連寸法の寄与率から影響度の高い寸法を容易に把握できます。
拡張製品として販売している「TOLERANCE JAPAN(TOL J)」は別途購入が必要ではありますものの、比較的安価な価格帯でハイエンドの公差解析ツールと同等の計算機能を提供。係数を追加するなど、カスタマイズした計算方法により自社が持つ公差計算のノウハウを反映した公差評価や、目標範囲に収まるよう自動で公差を割り振る機能など、初心者の方でも簡単に効果的な公差検討ができる機能が搭載されています。
SOLIDWORKS Professional以上で利用できるTolAnalyst
ハイエンド並みの公差解析機能を安価に提供するTOL J
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設計における公差の必要性
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