デジタルトランスフォーメーション時代の道路維持管理に向けて

アイサンテクノロジーの取り組み

アイサンテクノロジー株式会社(以下、アイサンテクノロジー)は、令和5年度のBIM/CIM原則適用を控え、令和4年度中にDX(デジタルトランスフォーメーション)データセンターへの3次元データ編集用ソフトウェアの搭載などを行うことを目標に、3次元データ利用環境の官民連携整備に向けた共同研究プロジェクトに参画しています。

近藤 豊

アイサンテクノロジー株式会社 営業企画部

DXデータセンターとは

DXデータセンターを構成する発注者側のサーバー構築と利用、受発注者双方あるいは関連会社側が共有して利用できるサーバー構築と利用によって、劇的な進化をもたらし、業務に関わる誰にとっても共有と利活用によるメリットを享受できるよう考案されています。

国土交通省発注の道路維持管理業務がDXデータセンターの運用によって効率化されること、点群データの利活用推進を目的としたソフトウェア技術で支援しています。

DXデータセンターによる業務や関連情報の一元管理とアクセスコントロールとデータ管理(作成を含む)、協議がクラウド上で可能となり、発注者・受注者・関連会社それぞれのセキュリティレベルに応じた横断的かつ循環式の活用が可能となります。

アクセスコントロール例

  • VDI機能(注1)を用いた遠隔からのモデル閲覧・修正
  • 3Dモデルを用いたWeb会議システム
  • 大容量ストレージ
  • 100Gbpsネットワーク(幹線部)による高速アクセス
  • DMZ領域(注2)においての内外からアクセスできる機能の強化
  • (注1)サーバーに用意した接続者向けのデスクトップ環境にリモートアクセスすることで、接続者のPC環境に依存しないPC作業を実現する仕組み。簡単に言うと、サーバーにインストールしたプログラムを画面キャプチャーの連続によってリモートからでも動かせる仕組み。
  • (注2)「DeMilitarized Zone」の略でネットワークシステムのセキュリティ手法。行政LAN上のDXデータセンターに受注企業がインターネットアクセスするための緩衝域を指す。

DXデータセンターから利用できる生産ツール「Wing Earth」

道路維持管理業務をテーマにした実証実験では、DXセンター内に次のデータをテスト用として格納し、国土交通省職員にも受注者にもそれぞれに必要な情報の閲覧、Web会議、作業領域を構築することができるよう考えられています。

  • MMS(モービルマッピングシステム:車載センシング装置)による道路計測データ
  • 河川3D管内図
  • CIM(モデリング+施設管理情報)データ など

また、アイサンテクノロジーの点群処理ソフト「Wing Earth」をクラウド環境(VDI)で動作するよう組み入れており、遠隔地から作業領域を使った編集や閲覧ができるよう構築しています。

Wing Earth 製品情報

Wing Earthの特長と評価

Wing Earthは主に次の項目で高い評価を受け、道路維持管理のベースとなる3次元道路台帳附図作成や点群処理に利用されます。

  • 大規模点群の高速表示技術
  • CAD・モデリングなどベクター要素などの重ね表示技術
  • CAD・点群などの高速編集技術
  • MMS計測との連携(注3)
  • 現場ごとのビューアー生成などの再配布性能

Wing Earth 点群分類と3次元CAD化・メッシュなどの重畳表示

イメージ図:モデリングと既存管理図との合成

Wing Earth BIM/CIMと3次元地形モデルの重ね合わせ

Wing Earth施設モデルと点検履歴とのリンク

イメージ:MMSと3次元道路台帳附図

  • (注3)アイサンテクノロジーは、三菱電機MMSの国内販売代理店を担い、「MMS研究会」などを通じて全国各地の各分野の導入ユーザーとともにMMSの精度検証・実証実験・ノウハウの共有や発展性の検討など、関連業界のイノベーションとなるべく取り組んできました。国土交通省地方整備局にも導入していただき、MMSによる計測データとその利活用について評価をいただいています。

DX時代の道路維持管理・3次元道路台帳附図

DXを活用した道路維持管理によって、まず業務のベースとなる3次元道路台帳附図の作成・管理そのものが効率的になります。作業環境による受発注者間の連携(関連会社や私どもソフトウェアベンダーとの連携)も一元化によって、よりシンプルに実現するものと考えられます。

また、DXと3次元道路台帳附図が持つデータ蓄積構造によって、関連した新たな業務が発生した場合にも、新たな事業者との間でパッケージ化した業務環境が素早く構築でき、「道路台帳と施設管理台帳を使いたい」「設計データや過去の施工データを抽出したい」「点検・パトロールデータを格納したい」といった資産としての活用ができるようになると期待されています。

近藤 豊

アイサンテクノロジー株式会社 営業企画部

アイサンテクノロジーは、営業・製品企画、販売支援業務などを担当し、各種セミナーやサイトの企画・運営を行っています。