ArcGIS GeoBIM リンク機能の仕組み
ArcGIS GeoBIMとは
GISとBIM/CIMのデータを連携できるArcGIS GeoBIMというWebベースのアプリケーションはご存じでしょうか。以前のブログ「BIM/CIMとGISのクラウドコラボレーション」でも詳しくご紹介していますが、ArcGIS GeoBIMという製品は「AECプロジェクトと地理空間を結び付けて意思決定を支援する」というコンセプトのもと、日本国内向けには2022年5月にリリースしました。
ArcGIS Onlineに共有されているGISデータとAutodesk Construction Cloud(以下ACC)、またはBIM 360に共有されているBIM/CIMやドキュメントデータなどをGeoBIM上でリンクさせ、統合することができます。そこからGeoBIMアプリを作成することで、プロジェクトにおける関係者間のコミュニケーションや共同作業の効率化を実現できます。本記事ではそのGeoBIMの主要な機能の一つであるリンクの仕組みにフォーカスしてご紹介します。
中田 健介
ESRIジャパン株式会社 プラットフォームプロダクトクループ
ArcGIS GeoBIMのリンク機能
GeoBIMのリンクとは、ArcGIS OnlineとACC / BIM 360上にあるデータを結び付ける機能です。
例えば、ArcGIS Online側(がわ)にあるジオメトリの一つを選択すると、リンクされているACC / BIM 360上のデータが呼応して表示される仕組みとなっています。リンクはACC / BIM 360上に保存されているデータのURLを利用した機能で、BIM/CIMデータのほかに、指摘事項やPDFなどのデータに対してもリンクを追加することができます。手動でリンクを追加する方法もある一方で、BIMデータなど多数のジオメトリで構成されたデータに対しては、自動でリンクを追加する方法もあります。
データの準備
BIMデータに対して自動でリンクの追加を行うためには、データを準備する段階から行うべきフローがあります。RevitやIFC形式のデータをGeoBIMで扱うことを想定した場合のフローは次のようになります。
データのアップロード
ACCまたはBIM 360にRevit / IFCデータをアップロードするところから始まります。
BIMクラウドコネクションを介してArcGIS Proへ追加
ArcGIS Proの「BIMクラウドコネクション」というツールを使用し、ACC / BIM 360にアップロードしたRevit / IFCデータをArcGIS Proへ追加します(注1)。
ArcGIS Onlineへ共有
ArcGIS Proに追加したRevit / IFCのデータをArcGIS Onlineへ共有します。
- (注1)このツールを使用するには、BIMクラウドリポジトリを構成する必要があります。
この「BIMクラウドコネクション」を介したフローを行うことで、ACC / BIM 360上にあるデータのURLがSharedViewと呼ばれる属性として、ArcGIS ProとArcGIS Onlineに引き継がれます。この属性情報を基にACC / BIM 360とArcGIS Onlineに存在するデータに対して、GeoBIM上で自動にてリンクの追加ができるという仕組みとなっています。
GeoBIMアプリの活用
GeoBIMアプリの活用例としては、例えば、建設事業の設計業務においての使用が考えられます。発注者と受注者との打ち合わせの場や内部調整や関係者協議などの場面で、GISとBIM/CIMデータ、ドキュメントなどがリンクされているGeoBIMアプリを使用しながら設計方針といった説明や意見交換などを行えます。
GISやBIM/CIM関連の情報を集約したGeoBIMアプリを使用することで、事業の正当性や周辺環境への影響、メリットなどを視覚的に分かりやすく説明できるようになります。
本記事で紹介したリンク機能のほかにもGeoBIMにはさまざまなツールが実装されていますので、詳しくは次の参考情報も合わせてご確認ください。
ArcGIS
Autodesk製品とGIS連携が可能なArcGIS。デスクトップ製品とクラウドサービスがあります。
中田 健介
ESRIジャパン株式会社 プラットフォームプロダクトクループ
前職にてCAD / CG業務を経験し、ESRIジャパンではArcGIS製品のリリース作業を主に担当しています。