農林水産省のBIM/CIMについて

農業農村整備における情報化施工および3次元データ(BIM/CIM)の活用

2023年3月に農林水産省がBIM/CIM活用ガイドラインを新規策定・公表していることはご存じでしょうか。その背景や農業農村整備事業における3次元データ活用の推進についてご紹介します。

弓場 洋子

大塚商会 CADソリューション戦略2課

背景

建設業界の人手不足と同じように、農業においても農業者の高齢化、担い手不足は深刻な問題です。食料の安定供給を図るため、農業の生産基盤の整備・保全や農村の活性化を目的として、農林水産省では、さまざまな施策を打ち出しています。その一つが「スマート農業」です。

スマート農業では、ICT、AI、IoT、ドローン、ロボットなどの先端技術を活用して、超省力化や高品質生産の実現が期待されています。スマート農業における先端技術の活用では、例えば、農地整備を行って大区画化する際にUAV(ドローン)やGNSS(衛星測位システム)を施工段階での測量や設計に活用したり、営農段階での資材散布に活用したり、建設機械や農業機械の制御に活用したりといったことが想定されています。

出典:「農業農村整備における情報化施工および3次元データ活用」(農林水産省)
(https://www.maff.go.jp/j/nousin/sekkei/attach/pdf/220812-13.pdf)

農業農村整備事業における情報化施工および3次元データの活用

このような背景のもと、農林水産省では農業農村整備事業の一連のプロセス全体におけるデジタル技術を活用した生産性向上やスマート農業の導入促進を目指して、「情報化施工」および「3次元データ(BIM/CIM)の活用」を推進しています。

下図は、「農業農村整備プロセス全体での3次元データ活用」の資料です。ほ場の大区画化、幅広の畦畔(けいはん)・のり面や進入口の整備など、スマート農業に対応するための農地整備を行うにあたって、調査設計段階から3次元データ(BIM/CIM)を活用することで効率化・高度化を図ることになります。

情報化施工では、施工段階において施工業者がICTを活用し、「3次元起工測量」「3次元設計データ作成」「ICT建設機械による施工」「3次元出来形管理などの施工管理」「3次元データの納品・検査」を行います。

また、事業の初期段階から営農段階での3次元データ利活用も検討され、次のようなケースが想定されています。

  • 設計段階で3次元データ上で自動走行農機のシミュレーションを行い、進入路の位置など走行の安全性を検証。
  • 農業水利施設のBIM/CIMモデルを作成し、点検・保全の記録を属性情報として更新し、維持管理で活用。
  • 情報化施工で得られたほ場などの詳細な座標データを基に自動運転地図を作成し、位置情報と組み合わせて自動走行農機の走行経路設定に利用。

出典:「農業農村整備における情報化施工および3次元データ活用」(農林水産省)
(https://www.maff.go.jp/j/nousin/sekkei/attach/pdf/220812-13.pdf)

農林水産省のサイトで詳細をチェック

出典:農林水産省Webサイト
(https://www.maff.go.jp/j/nousin/sekkei/220812.html)

農林水産省のWebサイトには、農林水産省のBIM/CIMや情報化施工の取り組みを紹介する動画、活用ガイドライン、活用事例などがまとめられています。

より詳しい情報は、農林水産省のサイトをご覧ください。

農業農村整備における情報化施工及び3次元データの活用(農林水産省)

農林水産省のBIM/CIM事例で利用されている製品

農林水産省のWebサイトの中でも、動画「農業農村整備事業におけるBIM/CIMの活用~ほ場整備の事例から~」では、実際の事例に基づいて、さまざまなフェーズにおけるBIM/CIMの活用方法やメリットが分かりやすく紹介されていてお勧めです。

この動画の中で、BIM/CIMソフトウェアの操作画面が紹介されていますが、これらはオートデスクのBIM/CIMソリューション「Autodesk Architecture, Engineering & Construction Collection」に含まれる製品です。AECコレクション内の主要製品の機能を動画でご確認ください。

弓場 洋子

大塚商会 CADソリューション戦略2課

CADのアプリケーションスペシャリストとして、3次元CAD製品の教育および販売支援業務を行っています。主に建設土木業向けのAutodesk製品を担当しています。