点群データ活用に必要なコンピューターはどれなのか? キーマンが解く、ワークステーション必須の理由とは

点群データの現在とそれを扱うのに必要なワークステーション

BIM/CIMに取り組む事業者が増えていく一方で、3次元データの活用も大きく拡大しています。いわゆる点群データという、大量の地点データを運用するために最も適したコンピューターはどのようなものかという問い合わせが急増中です。

一般的なCADを扱うパソコンとは何が違うのか。キーマンとなる3人に解説してもらいました。

点群データを扱ううえでのワークステーションパフォーマンス検証

前提として、大塚商会が採取したベンチマーク記事を公開中です。詳しい精査内容については次のリンクより、レポートをダウンロードのうえご確認ください。

キーマンが語る、点群データ活用におけるワークステーションの優位性

なぜ土木設計ソフトウェアとHPワークステーションの検証をしようとしたのですか?

竹島:私も営業時代はそうでしたが、お客様から本当によく質問を受けました。「Civil 3Dを使うのに推奨するPCを教えてください」あるいは「ドローンで取得したデータから点群にして作業をするのですが、推奨するPCを教えてください」といった内容のものです。

これは今でも変わらず、やはりよく聞かれます。その際に目安としてお客様や当社の営業に回答するのですが、おおよそではなくきちんと検証したうえで回答したいというのが今回のきっかけになります。

株式会社大塚商会 マーケティング本部 特定CADソフトプロモーション課 建設担当 主事 竹島真吾

現在のBIM/CIMソフトウェアの活用状況について教えてください。

竹島:土木業界に限って話をしますと、2019年に「国土交通省の直轄する全工事を2025年には全てBIM/CIM化する」と国土交通省が発表しました。それを翌年の2020年には2年前倒しにして、2023年に国土交通省の直轄工事全てをBIM/CIM化するとなった関係で、現在、急ピッチでBIM/CIMソフトの導入が進んでいます。

多くの企業が取り組みを始めていますが、実際には導入したのはよいが使いこなしているとはいえない企業が多いと感じています。

BIM/CIMとは

BIM/CIMを活用するにあたり、一般的な企業ではどのような点が課題になっているのでしょう?

竹島:特定の「Civil 3D」や「TREND-CORE」といった3Dモデルを作成するソフトウェアが必要となるのですが、ソフトウェアの価格の問題以上に、普段使っているコンピューターのスペックに問題があります。

経理などの業務ではExcelが動けばいいとよく言われますが、一般経理業務を想定したスペックでは、BIM/CIMソフトはほとんど動きません。点群データを扱うにも3Dモデルを作成する際に巨大なデータを扱いますし、パフォーマンスも必要です。それにはやはり高性能なコンピューターが必須になってきます。

また、機械環境的な面だけでなく、BIM/CIMでは特定のソフトウェアを利用しますので、使い方の教育やデータの扱いに慣れるまでに時間がかかります。きちんと使いこなしていくには日ごろから高性能なコンピューターに触れたり、分からない箇所がでてきたらすぐに聞けたりするようなバックアップ体制も必要でしょう。

余談ですが、私がCADに関わった30年以上前は、製図版からCADへ移行する時期でもあり、多くの人が「CADって何?」と言っていました。今やCADは当たり前の道具ですが、当時と同じことが建設業界全体で起きているのだと思います。

あと数年もすれば、BIM/CIMという言葉が普通に使われるようになるのだと思います。そこには投資も必要ですし、膨大な情報量の中から、どれが自社にとって正解なのかを選択することも必要です。私どもとしては、それを一緒に探すお手伝いをしたいと思っています。

多くの人が3Dで陰影のついたデータをBIM/CIMと勘違いしているケースもいまだに見られます。BIM/CIMの役目として計画段階から、3Dモデルを導入し、どのパーツがどこに収まり、いつ補修されたのかといったことまで把握できるようにする必要があります。

点群データにはどのような特徴があるのでしょう。また、点群データを採用するメリットを教えてください。

湯地:まず点群データは、あらゆる業界でとても期待されている技術の一つだと思います。データの取得方法もドローンを用いて空撮する、あるいは3Dレーザー機器を使うといった採取方法のほかに、最近ではiPhoneで撮った写真も点群に変換してくれます。以前と比較するとかなり敷居が下がってきたのが現状だと思います。

土木業界でいえば、一番分かりやすい事例は災害情報です。例えば河川にて災害があれば、 下流に向けてさまざまな土砂や樹木が流れ着きます。元のように復興するためには現況の把握が第一です。そこでドローンを飛ばしたり、レーザー装置を使ったりして計測すれば、おおまかな量の計算もできますし、災害前と災害後の比較検証もすぐできるようになります。それだけの作業なのに一人でも対応できるのがメリットです。

最近では歴史的にも貴重な建物や、彫刻などのアーカイブなどでも利用されるようになりました。今回、サンプルデータとして西日本鉄道株式会社より拝借した福岡県の「かしいかえん」になります。このデータはなくなってしまう遊園地をありのままデジタルデータとして残しておこうとする、点群データ活用の一例になります。

株式会社大塚商会 技術本部 CADソリューション推進課 アプリケーションエンジニア 湯地謙太郎

点群データを採用しながら課題を解決するにはどのような方法がありますか?

湯地:結論からいいますと課題解決するためには、今回の検証結果で分かったとおり高スペックのデスクトップタイプのワークステーションが必要であり、現状、導入せざるを得ないことと、また点群データを活用するためには、「TREND-POINT」が不可欠であるということがいえると思います。

私はモバイルワークステーションを使っていますが、メリットとして持ち運びが容易なため、発注者との協議や業者との打ち合わせの際とても便利です。一方で点群データを使用するにはスペック的にとても難しいとも感じました。今回の検証結果からも一般的なPCではなく、ディスクリートグラフィックスを搭載するハイスペックなワークステーションが必要不可欠であることが裏付けられたと思います。

しかし、モバイルワークステーションは現場へ持ち込み、取得した点群データを確認するのに使うといった用途には最適ですし、そういったシチュエーションはモバイルワークステーションでしか対応できません。データ処理から加工まではデスクトップタイプのワークステーション。機動力を生かし、現場やプレゼンテーション先で使用するにはモバイルワークステーションといった使い分けが大切だと考えます。

今回、検証で用いたソフトウェア「Recap」、「TREND-POINT」は、私も前職のBIM/CIM活用工事担当者として導入していました。主にAEC-Collectionをメインに使用していましたが、現況地形から数量計算を行うといった点群データを使用する工事に関しては、「TREND-POINT」を使用していました。「Recap」は点群データを読み込むソフトウェアですので、その分安価ではありますが、「Recap」から「Civil 3D」へファイルを読み込み操作するにあたって動きが鈍くなり、とても効率的に作業が行える状態ではありませんでした。

前者とは違い「TREND-POINT」は読み込みからTINサーフェスへの変換、土量計算までを一つのソフトウェアで行うことができ、操作性もよく、スムーズに動きます。しかし、高価なため、なるべく保有するライセンス数は抑えなければなりませんでした。ですが、こちらに関しても検証結果から現状は「TREND-POINT」を使用せざるを得ないと感じています。

TREND-POINT 製品情報

ワークステーションを勧める理由は何でしょうか。また具体的にどのような製品、またはサービスがありますか?

山田:前述のBIM/CIMや点群データなどの専門性の高いソフトウェアは、通常のパソコンでは対応できない高度な処理能力を動作要件としてハードウェアに求めます。ワークステーションであればその動作要件を満たすわけです。

ワークステーションは通常のPCと比較して、メモリーやHDDの拡張性が非常に高く、また3Dモデルを正確に描画するために欠かせないプロフェッショナルグラフィックスカードを搭載することができます。機種によってはインテルのCPUの中でもグレードの高いインテル Xeon プロセッサーを2基搭載することもできます。

通常のPCとは一線を画すこれらのハイグレードな仕様をもって、専門性の高いアプリケーションの快適な操作を実現させることができるのです。お客様の快適な業務を実現するためにワークステーションのご利用を強くお勧めします。

株式会社 日本HP エンタープライズ営業統括 第三営業本部 ワークステーション営業部 山田真也氏

当社のワークステーションでは、デスクトップタイプであればコストパフォーマンスの高い「HP Z2 G9 Workstation」シリーズから、1TB以上のメインメモリーやNVIDIA RTXのハイエンドグラフィックスの搭載可能なフラッグシップモデル「HP Z8 G4 Workstation」などがあります。他方、ノートPC型のモバイルワークステーションでもコンパクトなエントリーモデル「HP ZBook Firefly 14 inch G9 Mobile Workstation」から、薄型軽量で堅固な「HP ZBook Studio 16inch G9 Mobile Workstation」などの製品ポートフォリオを有しており、ZBook Studio G9ではハイエンドグラフィックスのNVIDIA RTX A5500搭載モデルもご用意がありますので、大容量の点群データの表示も可能です。多様なお客様のニーズにお応えすることができます。

ワークステーション ラインアップ

また快適なハイブリッドワークを実現することのできるリモートアクセスソフトウェア「HP Anyware」というサービスも2022年末から有償にてご提供を開始しています。こちらも併せて導入をご検討いただければと思います。

あなたにぴったりのワークステーションを見つけましょう

CADのスペックを満たしたHPワークステーションが簡単に見つかります。

ワークステーション検索

Z by HP

HPおよび大塚商会を選択するメリットを教えてください。

山田:日本HPは、デスクトップワークステーションに関してのみとはなりますが、東京都日野市に工場を構え、製品を生産してご提供しています。お客様の多様な製品スペックのカスタマイズ要望にお応えし、なおかつ高品質な製品を短納期でご提供できる体制を敷いてビジネスを展開しています。

また製品保証についても、休日修理付きのオンサイトサービスを標準保証としてご提供しており、アフターサービスも充実している点がHPワークステーションの強みといえると思います。

竹島:大塚商会はベンダーなので、基本的にソフトウェアあるいはハードを作ってはいません。ただし、ソフト・ハードいずれもその業界で一番売れているものを日本で、製品によっては世界で最も多く販売しています。そこから生まれるノウハウ、不具合に向けての対処、どの組み合わせがベターなのかをいつも模索しています。

当然、お客様ファーストなのでいつもより添えるように有償にはなりますが、ソフトウェア・ハードウェアともに「たよれーる」にてサポートしています。購入する前にさまざまなものの中から選択し、お客様に合った形で提案、また販売した後もサポートできるのが大塚商会の強みかと思いますし、ぜひ利用していただきたいです。

たよれーる

ワークステーションの導入を考えている企業にアドバイスをお願いします。

山田:BIM/CIMソフトウェアの導入については、多くのソフトウェアのノウハウがある大塚商会にぜひご相談いただければと思います。そして、そのソフトウェアを使用するためのワークステーションはHP製品を指定して大塚商会の営業担当者にご相談ください。数あるHPワークステーションのラインアップから、最適な製品をチョイスしてご提案いただけると思いますし、導入後の相談もワンストップで対応しています。大塚商会は調達力がとても高く、世界情勢が不安定な中でも、しっかりHPワークステーションを確保している実績もあります。この強みはお客様が必要な時に必要なだけ製品を供給できる力にもなりますので、その点も安心していただけるかと思います。大塚商会とHPの強固なパートナーシップで皆様の土木設計の業務を支援します。

ありがとうございました。

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