3Dモデルの処理に必要なパソコンのスペックは?

三つの土木ソフトを使ってワークステーションを検証

3Dモデルを扱う三つの土木ソフトウェアを使って、モバイルワークステーションとタワー型ワークステーションの性能を比較してみました。

  • 土木インフラの設計とドキュメント作成に対応した「Civil 3D」
  • 道路・鉄道・区画整理・土地開発・都市計画などの3次元計画モデルを作成できるコンセプトデザインソフトウェア「InfraWorks」
  • さまざまなデータを一つの3Dプロジェクトデータとして共有やレビューできるビューアーソフトウェア「Navisworks」

3Dモデルのファイルは、データ量が軽いものもあれば、1GBを超えるような重いデータもあります。1GBを超えるようなデータは、一般的なパソコンのスペックで動かそうとしても、なかなか快適に作業を進められないという場合もあります。しかし、ワークステーションであれば、快適な作業環境を実現できます。しかもモバイルワークステーションなら携行でき、現場や出張先、自宅でも快適に作業ができるので利便性や作業効率が向上します。

「でもモバイルワークステーションの性能ってどうなの?」「タワーより性能は劣るんじゃないの?」といったお考えの方も多いのではないでしょうか。では実際、タワーとの性能の違いはどの程度あるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

モバイルとタワーのスペック

今回、比較する機種のスペックは下記のとおりになります。

 HP ZBook Fury 16inch G9

マシンA

HP Z2 Tower G9

マシンB

HP Z2 SFF G9

マシンC

CPUインテル Core i7-12850HXインテル Core i7-12700
(2.1GHz / 12コア / 25MB / 4800MHz)
インテル Core i9-12900
(2.4GHz / 16コア / 30MB / 4800MHz)
メモリー64GB32GB64GB
グラフィックボードNVIDIA RTX A3000
(12GB)
NVIDIA T1000
(8GB)
NVIDIA RTX A2000
(12GB)
ストレージ2TB M.2 SSD1TB HDD×1
1TB HP Z Turboドライブ G2
1TB HDD×1
1TB HP Z Turboドライブ G2
  • HP ZBook Fury 16inch G9 Mobile Workstation

  • HP Z2 Tower G9 Workstation

  • HP Z2 SFF G9 Workstation

土木設計プロジェクトの設計、作図、管理をサポートする「Civil 3D」

Civil 3Dは、CIM / i-Constructionのワークフローをサポートする土木設計、およびドキュメントソリューションです。Civil 3Dでは、ダイナミックモデルベース設計のため、設計と図面作図の動的な連携により多くのプロセスを自動化できます。入力した設計変更依頼は、設計図面およびレポートに自動的に反映されるため、時間とミスを削減できます。3D表示により分かりやすく設計者の思考が伝えられ、設計条件の確認や数値決定のスピード向上が図れるソフトウェアです。

検証結果

検証項目HP ZBook Fury
16inch G9

マシンA

HP Z2 Tower G9

マシンB

HP Z2 SFF G9

マシンC

起動(初回)20.9秒11.9秒15.3秒
起動(2回目)14.1秒9.3秒9.5秒
開く2.4秒4.8秒1.5秒
サーフェススタイル変更
境界のみ→TIN表示
2.8秒2.7秒3.5秒
ビューイング1
作成領域(平面図)でのズーム・画面移動
ラグなし
移動、拡大ラグなし

0.5ラグ、動きも鈍い
ビューイング2
オブジェクトビューアーでの3D回転

0.5秒ラグ

ラグなし

0.5秒ラグ、動きも鈍い
ビューイング3
作業領域でのビュー変更(南西アイソメ)
2.3秒2.0秒2.5秒
ビューイング4
作業領域での表示スタイルの変更(コンセプト)
3.8秒2.9秒3.2秒
コリドー再作成10.8秒10.0秒8.9秒

検証データ

  • 開く/サーフェススタイル変更/ビューイング1~4までに使用したデータ:16×9kmの範囲に、国土地理院の基盤地図情報10mメッシュ標高を利用した3D地形モデル(TINサーフェス)。
    TINサーフェスのポイント数:121万点 三角形の数:243万 サイズ:68MB

  • コリドー再作成に使用したデータ:3D地形モデルの上に作成された延長18kmの平面線形上に、3Dの道路・法面モデル(コリドー)を作成。
    サイズ:68MB

3次元都市モデルを作成するコンセプトデザインツール「InfraWorks」

InfraWorksは、インフラストラクチャーのためのコンセプトデザインソフトウェアです。3次元の都市モデルでの計画案の評価・検討や関係者間の合意形成の場面で活躍します。

検証結果

起動においては大きな差はなかったが、地形の読み込み2(ベクトルデータのLandXML<200MB>の 地形を読み込み。設定後、閉じて再表示)では、読み込み・再表示ともにマシンBが早い結果となった。

検証項目HP ZBook Fury
16inch G9

マシンA

HP Z2 Tower G9

マシンB

HP Z2 SFF G9

マシンC

起動(初回)14.8秒10.6秒10.7秒
起動(2回目)12.3秒8.6秒9.4秒
地形読み込み1
ラスターデータのGeoTIFE(24MB)の
地形を読み込み。設定後、閉じて再表示
○:読み込み
7.2秒:再表示
○:読み込み
6.4秒:再表示
○:読み込み
6.0秒:再表示
地形読み込み2
ベクトルデータのLandXML(200MB)の
地形を読み込み。設定後、閉じて再表示
3分2.4秒:読み込み
3分19.2秒:再表示
2分31.4秒:読み込み
3分5.7秒:再表示
2分42.3秒:読み込み
3分7.9秒:再表示
地形イメージ読み込み
衛星画像(500MB)を読み込み
設定後、閉じて再表示
○:読み込み
5.9秒:再表示
○:読み込み
5.7秒:再表示
○:読み込み
5.6秒:再表示
建物読み込み
SHP(2MB)を読み込み
設定後、閉じて再表示
○:読み込み
8.7秒:再表示
○:読み込み
6.8秒:再表示
○:読み込み
7.3秒:再表示
ビューイング
ズーム・画像移動・3D回転

検証データ

  • 地形読み込み1:ラスターの3D地形(GeoTIFE)。サイズ:24MB

  • 地形読み込み2:ベクトルの3D地形(LandXML)。サイズ:202MB

  • 地形イメージ読み込み:衛星画像。サイズ:593MB

  • 建物読み込み:建物モデルのシェープファイル。サイズ:2MB

  • ビューイング:地形読み込み2から建物読み込みを取り込んだデータ。サイズ:797MB

建設事業に関わるメンバー同士の連携を図るプロジェクトレビューソフトウェア「Navisworks」

Navisworksは、さまざまなデータを一つの3Dプロジェクトデータとして共有やレビューを支援するソフトウェアです。

建築、エンジニアリング、建設のプロフェッショナルがプロジェクト関係者とモデルやデータを総体的にレビューし、プロジェクトの成果を適切にコントロールできるようになります。統合、解析およびコミュニケーション用のツールにより、施工やリノベーションを開始する前に専門分野間の連携をとり、干渉を解消してプロジェクトのプランを円滑に進めることが可能になります。

検証結果

起動においてはマシンB・Cが速かった。開くに関しては、マシンCが速かった。

検証項目HP ZBook Fury 16inch G9

マシンA

HP Z2 Tower G9

マシンB

HP Z2 SFF G9

マシンC

起動(初回)14.7秒9.3秒9.2秒
起動(2回目)12.1秒6.9秒7.7秒
開く1分31.9秒1分18.3秒1分15.4秒
表示スタイル変更
グレーディング
ビューイング1
ズーム・画面移動
ビューイング2
3D回転

検証データ

  • 0531_araike統合モデルv2.3.zip、約1.6GB(https://www.ktr.mlit.go.jp/araike/torikumi/i_construction/bimcim.htm)

  •  

考察

全体的にマシンBとマシンCのタワー型ワークステーションが起動や動作は速いという結果になりました。ただ、モバイルワークステーションも極端に遅いというわけではないことも同時に分かりました。モバイルワークステーションでも十分に業務に対応できるといえるのではないでしょうか。

モバイルワークステーションの特長といえば、現場業務や出張先、自宅などにも携行できる柔軟性があります。タワー型のワークステーションが設置されたオフィスに行かなくても、モバイルワークステーションならどこでもオフィスにいるのと同じ環境で業務が可能になります。外出や出張が多い、テレワーク環境を充実させたいなどのご希望がありましたら、モバイルワークステーションの導入を検討されてみてはいかがでしょうか。

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