土木インフラ公共工事におけるBIM/CIMとAR活用のポイントとは

ARを使って現場で実寸表示するポイント

BIM/CIM原則適用を受け、土木業界において3次元モデルの活用が進んでいます。「せっかくなら3次元モデルからARを使って現場で実寸表示させたい!」そのポイントをご紹介します。

令和3年のリクワイヤメントはBIM/CIM活用ガイドラインにヒントあり!

3次元モデルの活用とAR

土木インフラ公共工事におけるBIM/CIM原則適用の方針により3次元モデルを活用する現場が以前より増えています。3次元モデルを活用できるようになると、3次元モデルを現実空間に重ね合わせるAR(Augmented Reality、拡張現実) 技術を使う取り組みも増えています。

普段は3次元モデルをPC画面やモニターなどに投影して、その画角の中で操作を行いますが、ARを使うと目の前のリアルな現実空間に原寸大の3次元モデル配置できるようになります。3次元モデルをARに変換して施工の現場で配置することにより、完成イメージや施工の進捗の確認がしやすくなり、関係者間での合意形成に役立てたり発注者や近隣住民向けに分かりやすく説明したりすることができるようになります。

BIM/CIMをAR向けに変換するうえでの課題

ただし、BIM/CIMソフトでモデリングされ、エクスポートしたファイル形式の3次元モデルをそのままARグラスやタブレットなどの表示用デバイスでARとして表示することはできません。BIM/CIMモデルをポリゴンデータに変換して、さらにAR向けに最適化をして、モバイルデバイスのアプリケーションで動くようにする必要があります。

BIM/CIMモデルを全て手作業によってARで可視化できるようにするには、幾つかのDCGソフトなどを経由してファイル変換や最適化を行い、アプリケーションに実装するなどを行うことになりますが、そのためのノウハウや技術力が必要であり、作業にはかなりの工数も必要になります。

ARソリューション mixpaceの特長

「mixpace(ミクスペース)」を使うことにより、ファイル変換などに工数を割かずに誰でもすぐAR活用を始められます。最大19種の3次元モデルをシステムが自動変換し、シンプルな手順でAR可視化を実現するソリューションです。

mixpaceは、国土交通省が運営するNETIS(新技術情報提供システム)に登録されています(NETIS登録番号:KT-220166-A)。

土木、建設、建築、設備、製造業などで使われる頻度の高いBIM/CIM/3D CADモデルのうち19種類のファイル形式に対応し、数分でシステムが自動変換してARで活用できるようになります。変換できるファイルサイズは最大1.5GBまで対応できます(AR表示できるサイズ上限はモデルの形状やデバイスのスペックにより前後します)。

mixpaceの土木インフラ向け新機能

2023年5月23日にリリースされたmixpaceのiPad版アプリの最新バージョンで、仮想穴の設置により地下に埋設されている部分を 分かりやすく表示できる「埋設表現機能」と現実空間とARで表示したCGの前後関係が認識しやすくなる LiDARセンサー を利用した 「オクルージョン機能」の二つの新機能が追加されました。

埋設表現機能

現実空間にAR表示で仮想の穴を空け、その穴の中に3Dモデルの埋設部を配置できる機能です。この機能により、埋設部が地下にあることを認識しやすくなり、図面だけではイメージしづらかった埋設物がどのように設置されるかを把握しやすくなります。

図1は埋設表現機能を使っていないため、全ての3Dデータがむき出しになっています。図2は埋設表現機能を使っているので、「見て」埋まっていることがよく理解できます。

  • 図1:埋設表現機能を不使用

  • 図2:埋設表現機能を使用。3Dデータが埋まっていることが見て分かる

また別の例になりますが、距離や深さも表現可能ですので、「見る」ことで容易に確認ができます。

  • 距離や深さも表現できる

オクルージョン機能(β版)

AR表示した3Dモデルと現実空間にある物体が重なったとき、その前後関係をLiDARセンサーによって判断し、現実の物体の陰になる部分の3Dモデルを隠すことができる機能です。この機能により3Dモデルを表示したい場所の手前に柱やフェンスなどの遮蔽(しゃへい)物がある場合、遮蔽物の陰になる部分の3Dモデルが隠れ、遮蔽物より奥にあることを認識しやすくなります。

  • オクルージョン機能(β版)使用前

  • オクルージョン機能(β版)使用後

  • * 本機能はLiDARセンサー搭載型iPadのみご利用可能です。

ARを上手に活用するポイント

mixpaceを使うとシンプルな手順でBIM/CIMモデルを変換して、現場でAR実寸表示できるようになります。ARで表示できるようになると、実際にどういう用途や目的に使うのが効果的なのか考えることができます。計画時点で使うのか、設計段階なのか、施工なのか、見学会などのプレゼンテーションで使うのか、さまざまなアイデアに使えます。

mixpaceを既に導入されているユーザーの声の中から、ARならではの上手な使い方をされているポイントをご紹介します。

1.まだできていないもの、持ち運べないものを見る

施工前に完成イメージを表示、地鎮祭、施工方法・手順の確認など。

2.(物理的に)見えないはずのものを見る

天井裏の設備を表示、埋設物を可視化など。

3.現実とデータに対し、目線を変えずに確認する

施工確認、検査など。

mixpceユーザー活用事例集

ARを使ったデモやテストをしてみたい

mixpaceのARアプリはHoloLens 2とiPad向けに提供されていて、それぞれMicrosoft StoreとApple AppStoreから無料でダウンロード可能です。アプリにはログインなしに使えるデモモードがあり、7~8種類のサンプル3Dモデルが用意されています。サンプルモデルには前記でご紹介した「埋設表現機能」向けのものもあります。

ぜひ読者の方の現場でもAR活用にトライしてみてください。

「mixpaceについて詳しい説明を聞きたい」「自社のモデルでデモしてみたい」などありましたら、お気軽にお問い合わせください。

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