Revitで作成したCADデータをFlowDesignerにインポートする方法

FlowDesignerでBIMデータをインポートする

BIMモデルには、壁、床、天井などの構造要素やドア、窓、家具などの設備要素の形状や配置が正確に反映されています。FlowDesignerでBIMモデルを活用することで、これらの要素を正確に反映した気流シミュレーションを実現することができます。

Autodesk RevitからFlowDesignerへのBIMデータのインポートの操作方法をご紹介します。今回は、図1の室内モデル(1フロア)を例にご説明します。

図1

FlowDesignerで読み込み可能なファイル形式

FlowDesignerに読み込み可能なファイル形式は次のとおりです。

  • Parasolid
  • STL
  • IFC
  • FBX
  • 3DS
  • STEP
  • SKP
  • gbXML

上記のうち、Revitからエクスポートできるファイル形式に「IFC」と「FBX」があります。どちらも3Dモデルを表現できますが、用途や対応する情報に違いがあります。

IFC

IFC(Industry Foundation Classes)は、建築、土木、インフラなど、さまざまな分野で利用されているオープンソースの標準規格です。オブジェクトの形状だけでなく、属性(床・壁・窓など)、プロパティなど、豊富な情報を含めることができるため、建築や土木などの分野において設計や施工、維持管理などのさまざまなプロセスで利用されています。IFCファイルを取り込んだ後、属性ごとに「分類」が与えられるため、編集を比較的容易に行えます。また、オブジェクトの色・透明度の情報も引き継がれるため、編集後の見た目も簡単に確認できます。

BIMナビ IFC

FBX

FBX(Filmbox)は、ゲームやアニメーション、VFXなど、さまざまな分野で利用されている3Dファイル形式です。FBXは、形状のみのデータであるため、属性情報やプロパティは含まれません。形状データは、CADソフトで定義されたオブジェクトごとに持っているため、オブジェクトごとに分割して取り込めます。オブジェクトの色・透明度も引き継がれますが、階層構造は引き継がれないため、再構築する必要があります。

FBXは、単位と向きが変わってしまう可能性があるので、インポートの際には注意が必要です。ちなみに、解析モデルとしてはインポートできませんが、テクスチャやアニメーションのデータを持てるという大きな特徴があります。

IFCとFBXの2種類のデータをFlowDesignerに読み込むことで、解析データとして使用する際の便利な点・不便な点について確認します。

FlowDesignerでIFCファイルをインポートする

FlowDesignerにIFCファイルをインポートしたときの解析画面が図2となります。モデル上の色情報もFlowDesigner上に引き継がれていることが特徴です。

また、オブジェクトエクスプローラーでIFCの属性ごとの読み込みができていることが確認できるため、属性単位・部品単位での編集やFlowDesigner内での解析対象外の設定、非表示の設定、ロック・アンロックの設定ができる点は便利です。

図2

一方、壁と窓の読み込みについては、壁の上に窓の情報が重なって表示されています。ブーリアン演算でくりぬかれているのではなく、窓の形状の外形線を基に作成されたオブジェクトにより、解析設定上「くりぬき」がされて読み込まれています。

図3

FlowDesignerの優先度パラメーターを用いた「くりぬき」モデル

FlowDesignerの直方体の形状モデルには、固体とみなしたり流体とみなしたりできる機能があります。また、優先度のパラメーターを所有しており、数字の大きい方の優先度を上げることができます。

例えば、壁の優先度を「20」、窓の優先度を「100」とします。壁は固体モデル、窓は流体のくりぬきモデルとして設定すると、数字の大きい窓のパラメーターが優先され、壁が窓の位置でくりぬかれているモデルとしてシミュレーションを実施します。

図4

類似モデルで検証

図4のモデルがどのような解析モデルになっているか、分かりやすくするために簡易モデルを作成します。壁の両側に上記と同様、窓のついた壁を設けます。壁の優先度:20、窓の優先度:100として窓は流体くりぬきモデルと設定し、外気風を条件として設定します。

図5

解析結果は図6のようになりました。くりぬきモデルとなっているため、風が右から室内を通過し左側に抜けている様子が確認できます。計算としては問題ないのですが、見た目は少し違和感があります。

図6

FlowDesignerでFBXファイルをインポートする

FlowDesignerにFBXファイルをインポートしたときの解析画面は図7・8となります。特徴は、モデル上の色情報はFlowDesigner上に引き継がれていません。

また、オブジェクトエクスプローラーでFBXの属性表示を行うと、一つのレイヤー内に全ての部品データが収められていることが分かります。属性単位・部品単位での編集は可能ですが、FlowDesigner内での解析対象外の設定、非表示設定、ロック・アンロックの設定はできません。

図7

図8

一方、壁と窓の読み込みについては、壁のくりぬき部に窓の情報が表示されています。ブーリアン演算でくりぬかれているので、窓の部品情報を削除すると、簡単にくりぬきモデルが作成できます。

図9

類似モデルで検証

図9のモデルと同様に、FlowDesignerでモデルの壁をブーリアン演算でくりぬいたモデルに外気風を条件として計算します。

図10

解析結果は図11のようになりました。ブーリアン演算モデルとなっているため、風が壁の穴から左側に抜けています。計算結果はくりぬきモデルと一緒ですが、見た目の違和感はありません。

図11

結論

どちらのモデルを使用しても同様の解析結果が得られますが、室内を解析する場合は、IFCファイルのインポートで色情報まで引き継ぎ、開口部のブーリアン演算を行うと、結果がきれいに表現されます。

また、室外部分もモデル化して換気シミュレーションを実施する際には、IFCモデルでも解析できますが、インポートしたままの壁のモデル表現がいまいちです。FBXファイルのインポートで部屋の内外の解析をする場合には、壁モデルについてのブーリアン演算が完了しているため、窓が開いているモデル表現が完成しています。建物内外を通過する気流問題についてはFBXモデルが適しています。

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