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自動設計ツールの導入により若手社員の戦力化が短期で実現。強みの「カスタマイズ力」はさらに強化

日本信号株式会社

日本信号株式会社

日本信号株式会社は、鉄道信号制御装置、自動改札機やホームドアなどの駅務機器、交通管制システム、駐車場管理システムやセキュリティゲートなどの情報システム機器を手掛ける。事業範囲は国内にとどまらず、台湾高速鉄道、中国・北京地下鉄15号線、UAE・ドバイモノレール、インド・デリーメトロなど海外にも幅広く展開している。

今回紹介する鉄道信号事業の機構設計では、自動列車制御装置、列車集中制御装置、連動装置など鉄道を安全かつ正確に運行させるための機器の設計を担当する。案件ごとの都度設計時間を削減するために、3D CADを活用した自動設計ツールを導入。効率的な設計を実現し、従来の属人性の高い設計体制からの脱却に成功した。

導入の狙い
  • 都度設計時間を短縮して作業を効率化
  • 属人性の高い設計体制からの脱却
  • 過去のノウハウや知見の継承
  • ベテランの定年を控え若手を戦力化
導入システム
  • SOLIDWORKS Professional
  • SOLIDWORKS PDM Professional
  • テンプレート設計ツール
導入効果
  • 標準化、コストダウンの実現
  • 経験の少ない若手社員でも設計が可能
  • 付加価値の高い業務に注力

日本信号株式会社について

業種 電気機器設計・製造
事業内容 鉄道信号制御装置、交通信号制御装置、駅務自動化装置、駐車場管理システム、
セキュリティゲート、空港顧客搭乗システムなどの製造および販売
従業員数 1,278名(2018年3月31日現在)
サイト http://www.signal.co.jp/

カスタマイズに強みを持つものの低コスト化や設計の効率化が必須

埼玉県久喜市にある日本信号株式会社(以下、日本信号)の久喜事業所では、主に鉄道信号に関連する製品の開発、製造を手がけている。鉄道信号分野では、国内に競合企業が複数存在するうえ、海外企業の日本への進出もある。競争が激しい中、日本信号の大きな強みは顧客が望むような製品を提供するカスタマイズ力だ。

「海外ベンダーは既製品のみでシステムを構成し、カスタマイズを受け入れない傾向があります。それに対して、当社はカスタマイズすることで、導入されるお客様の環境に合わせた製品を提供してきました。お客様の環境はさまざまで、その環境に合わせた筐体設計が必要になるからです」と石橋祐輔氏は話す。

同じ鉄道信号制御装置といっても、設置する場所によっては天井が低かったり、メンテナンススペースが前面しか確保できなかったりするケースがある。また、配線経路の違いやトンネル内設置のため防滴を求められるケースなど、環境に応じて異なる仕様の筐体が求められる。

それだけにカスタマイズ力を強みとする日本信号は、顧客から高い支持を受けてきた。しかし石橋氏は、カスタマイズ力だけに頼らず、より付加価値の高い製品を提供するための設計効率化が必要だと考えていた。

設計にかかる時間を短縮するために、規格・機能などを標準化した部品を組み合わせて設計を行う「モジュール設計」を推進し、効率化を実現した。モジュール設計の効果が出始めたころ石橋氏は次の施策を用意していた。

「今後もカスタマイズの強みを生かしながら、さらに競争が激しくなっていく状況でも品質の高い製品を提供するために、設計の自動化ツールを開発し、属人性をできるだけ低くし、若手社員であっても適切な設計を行えるシステム導入が必要だったのです」(石橋氏)

そして、自動設計ツールを開発するプロジェクトがスタートした。

石橋祐輔氏
「品質の高い製品を提供するために、設計の自動化ツールを開発し、属人性をできるだけ低くし、若手社員であっても適切な設計を行えるシステム導入が必要だったのです」

2D設計の問題点を実感していたが3Dへの移行は進んでいなかった

実は今回の自動設計ツールの導入前に、それまで使っていた2D CADを3D CADに移行する作業が進められていた。

「私が係長になった時に、我々の部署には中堅社員がおらず、ベテラン社員は定年間近の人が多かったので、若手社員に即戦力になってもらう必要がありました。そのためには知識がなくても形状が分かる3D化が必要だと考えました」(石橋氏)

石橋氏は日本信号には中途入社で、以前の職場では3D CADを使って設計を行っていた。日本信号に入社して2D設計を行うようになったことから、2D設計の問題点を実感していた。

2D図面では形状を認識するのに経験が必要になる。そのため、ほかの部署やパートナー企業が2D図面を見てすぐに作業を行うことは難しく、時間がかかる。パートナー企業でも人手不足であることが多くなっているだけに、簡単に形状を認識しやすく、加工や組み立てに利用できる3Dデータが求められるようになっていた。

「日本では一般的に検査を行う際に寸法などが記載された紙図面が必要になります。そのため、CADで設計し、紙図面として出図後、加工はCADを基に行い、検査は紙を見て行うといったCADと紙を行き来する工程になっています。しかし、中国企業などは2D図面を作らず、3Dデータのみで製造しています。日本も将来はその方向に進むのではないでしょうか」(石橋氏)

3Dモデルは、組み立ての際にも大きな効果を生む。3Dデータを見ると完成形状や詳細・断面形状が容易に理解できるからだ。

かつては組み立てに関わるパートナー企業もベテランの作業者が多かったため、部品表を渡すだけで組み立てができた。しかし、そういったパートナー企業でも高齢化が進み、ベテランの作業者がいない現場もある。また、海外のパートナー企業では、国内で通用する図面でも組み立てができないことがある。そんな状況から、若手社員に仕事を覚えてもらう際は、2D CADを習得した後に3D CADを教えるよりも、最初から3D CADに取り組んでもらう方が適切だと石橋氏は判断した。

ところが、会社の方針として2006年に3D CADへの切り替えをすべく導入したものの、社内には根付かないままになっていたという経緯がある。その状況を打破すべく、2011年になって石橋氏主導で大塚商会とより強固な推進体制を構築し、3D CAD「SOLIDWORKS」への本格的な移行がスタートした。

自動設計ツールを導入するために「標準」のルールを決めてしまう

3D CADへの移行をする中でスタートしたのが、テンプレート設計ツールを使った自動化だ。ベテラン社員と若手社員しかいない職場で、ベテラン社員の定年退職が迫っていたため、ベテラン社員のノウハウを取り入れながら、効率的に設計を行う環境を作っていくことが必要であった。そこで、若手社員を自動設計ツール開発・運用の専任主担当者とし、環境構築の早期化を図った。

自動設計ツールに関しては複数ベンダーからの提案を比較した結果、大塚商会を採用した。使い慣れたExcelがベースとなっていたこと、PDMとの連携が可能であること、導入コストが安く済むこと、カスタマイズが容易であることなどが選定理由となった。

日本信号に導入された自動設計ツールはSOLIDWORKSとExcelを連携した「組み合わせ設計ツール」と「テンプレート設計ツール」だ。「組み合わせ設計ツール」は、あらかじめ用意された筐体サイズや配線方法などの仕様を入力し、モジュールを選択、配置することで3Dモデル・図面・E-BOMが自動で作成できる。「テンプレート設計ツール」は、マスターモデルの寸法やオプションの有無などの変動要素を入力することで、形状のストレッチや取り付け穴の異なる新規3Dモデル・図面・E-BOMが自動で作成できる。

2015年にプロジェクトがスタートし、喜多慧亮氏が主担当となった。
「案件業務から隔離して専任担当となり、隔離部屋で開発を開始しました。苦労した点は数百項目に及ぶ入出力仕様表の作成、誰でも使えるような画面や選択肢の工夫、さまざまな条件で仕様どおりに動くことの検証作業でした」(喜多氏)

約1年かけて「組み合わせ設計ツール」を開発後、喜多氏が部署を異動したことで、武井翔氏が後を引き継いだ。

喜多氏は2D CAD、3D CADでの設計も経験した後、自動設計ツールを開発したが、武井氏は2D CADを経験せずに、3D CADと自動設計ツールを利用することになった。
「武井はそれまで設計経験がありませんでしたが、自動設計ツールを利用することですぐに十分な戦力となって設計できるようになりました」(喜多氏)

主担当の喜多氏がプロジェクトから離れることで、暗雲が立ち込めたかに思われたが、武井氏へプロジェクトが引き継がれたことで、自動設計ツールによる技術継承と若手の早期戦力化の有効性が証明された。

自動設計ツールを利用すると、最低限の内容を理解すれば図面作成ができ、設計の根拠がツールに残るため、検証が容易になる。そのような環境を実現するには、標準的な仕様や設計、図面とそのロジックを明らかにして、データ化することが必要だった。

「ベテラン設計者は各製品に一人付いて担当していたので、引き継ぎは長い間行われず、まさに“職人”といえる業務形態が続いていたため、体系化された設計ノウハウがありませんでした。また、弊社が納めている筐体は一度納入すると20年、30年と長く使用されるものが多く、互換性を考慮すると、既設計品から標準の設計データを整備していく作業は容易に進みませんでした」(喜多氏)

「設計を自動化するためには、設計の決まりごとをルール化していくことが必要でした。担当者がそれぞれに行っていた作業を『見える化』することから始めました」(喜多氏)

武井氏は「既設計品がどうしてそのような設計となったのか、明確に理由がある場合だけでなく、根拠が不明確な設計となっているものがあることが分かりました」と話す。

「設計者は、それぞれの装置の事情があるため、自分の手法を他人の手法に合わせることを嫌がります。しかし、自動設計ツールを導入するためには、標準的な手法が必要です。複数の手法がある場合には、QCDで星取り表を作り、星が多かったものを標準とするなどして選択・ルール化していきました」(武井氏)

過去には同じ仕様の筐体を別々に作っていることもあった。“職人気質”のベテラン設計者が自分の仕事を横展開できなかったためだと考えられる。自動設計ツールは入力・選択した仕様が残るため、そういった状況は改善された。

カスタマイズの部分を生かす設計を行うための自動化

営業やSEからは、自動設計ツール導入に対して「これまでのようなカスタマイズは行ってもらえなくなるのではないか」と不安の声も上がったという。それに対して石橋氏は「全く逆」だと説明する。

「これまで時間がなくて妥協してもらうこともありました。自動化ツールによって、時間をかける必要がない部分は自動設計で短時間に行い、詳細を協議する部分は時間をかけて行えるようになります。当社の強みであるカスタマイズの部分を生かした設計を行うための自動化なのです」(石橋氏)

日本信号では自動化による工数を測ったところ、従来に比べて50%の工数削減ができていることが明らかになった。
「板金加工や、組み立ての3Dデータ活用を進めることで、ものづくりを含めたさらなる効率化を実現することが可能です」と現在ものづくり部門で製造改革を主導する喜多氏は話す。

また、現段階では自動化、3D化が同社の全製品に適応されているわけではない。これも課題として残っている。

「さらなる3D化と自動化ツール導入が進めば、我々設計部門だけでなく、営業やSEなど他部署のスタッフにもプラス効果が出ると思います。将来的には営業担当者が客先で数値を入力するだけで図面が作成される自動設計ツールが目標です。そういった世界になることを想定しながら、今後も3D化、自動化ツールの導入を進めていきたいと思います」(武井氏)

同社の自動化への流れは今度も止まることなく進行していくことになりそうだ。

喜多慧亮氏
「設計を自動化するためには、設計の決まりごとを『見える化』し、それをルール化していくことが必要でした」

武井翔氏
「将来的には営業担当者が客先で数値を入力するだけで図面が作成される自動設計ツールが目標です」

主担当の喜多氏(右)がプロジェクトから離れることで、暗雲が立ち込めたかに思われたが、武井氏(左)へプロジェクトが引き継がれたことで、自動設計ツールによる技術継承と若手の早期戦力化の有効性が証明された。

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