Vectorworksの使い方の一つとして「建築3DモデリングやBIM活用」が話題に上る機会が増えています。そこで、Vectorworks Architectによる実務で使えるBIM活用と共に、BIMに取り組む理由について解説します。
Vectorworks Architectでレンダリングしたサンプル画像
Vectorworks BIM設計 基礎講座2021年5月より開催!
フローワークス合同会社様では、これからBIM設計を取り入れたいと考えている設計者向けに、設計実務者が講師として作図方法の基礎からプレゼン提案ができるまでを丁寧に説明させていただきます。
講座会場は大塚商会中部支店のプレゼンルームを利用します。フィジカルディスタンスを確保し、参加人数を限定して開催します。是非、ご参加をご検討ください。
Vectorworks BIM基礎講座2021 5月よりスタートします。
2D+3D+BIM全てをこなすワンストップな設計ツール
Vectorworks強みは何といっても抜群のコストパフォーマンスです。そして、2Dから3D、BIM、チーム設計からプレゼンまで全てをこなすオールマイティーさも大きな魅力です。
- 強力な2D機能、柔軟な3D機能、多様なBIM機能これらがワンパッケージ化
- スタディーから詳細な設計、プレゼンまでVectorworksのみで取り組める
- 建築のみならず、インテリア、プロダクト関連業務などでも活用できる汎用性
- さまざまな情報を、連結させ、引き出し、可視化する多彩な情報処理機能を搭載
- 面積や仕上げ表など自動集計するワークシートを搭載
- クラウド経由のチーム設計を容易にするプロジェクト共有の標準搭載
- リソースを最大限活用するリソース管理機能
また、古くから意匠設計のVectorworksユーザーが多いことによる安心感、直観的に操作できる操作性、自由に使い方を選択できる機能面も合わせ持っています。
Vectorworks ArchitectでBIMに取り組んでみましょう
Vectorworksは分野ごとに豊富なラインアップを取りそろえています。中でも建築向け「Vectorworks Architect」は、BIM機能を含む建築設計やインテリア・ディスプレイデザインに適しています。
Vectorworks Architectの正しい利用方法を学べば、BIMに取り組み効果を上げられるでしょう。
そこでVectorworks 使い方講座を開講しているフローワークス合同会社様(名古屋市)の「設計者が考えた 実務で使えるBIM設計手法」を参考に、ポイントになる機能や注意点などをご紹介します。
VectorworksのBIM機能を業務に生かそう
VectorworksのBIM機能は設計初期のブロックプランからその効果を発揮します。例えばフローワークスが提供するテンプレートを使えば、ブロックプランを作るだけで面積表、採光換気表、仕上げ表、大概算などが自動で作られ、苦労することなくプロジェクト全体を俯瞰できます。そこからモデリング・作図へ進めば、手戻りも少なく無駄を大きく減らすことができます。設計図書の作成においても、ワークフローに添う形で必要なBIM機能とリソースを的確に組み合わせ活用することで設計効率が大きく改善されます。
日本仕様の木造専用プラグイン
エーアンドエー株式会社から無償提供されている木造建具ツールと木造BIMツールは、日本の木造設計者のためにカスタマイズされています。木造軸組の構造体を効率的にモデル化でき、構造体の美しい建築やリノベーションの検討などもしやすく、アイデア次第で大規模計画からインテリア計画まで柔軟に対応できます。
Vectorworksの特徴的な機能
1.設計を効率化するBIMオブジェクトツール群
Vectorworks ArchitectにはさまざまなBIMツールがあります。そのどれもが2Dを描くように簡単に3Dオブジェクトを作成することができ、これらを利用すると効率的な設計を実現できます。
敷地関連ツール群 | 簡単に敷地境界と敷地3Dモデルを作ることは可能な敷地関連ツール群。特に高低差がある敷地のモデリング機能は簡単かつ強力でほかの追随を許しません。手間なく実際の敷地高低差を確認しながら計画を進められます。敷地ツールと無償プラグインの木造BIMツールの組み合わせでは、敷地の三斜面積計算も一瞬で終わる便利さ |
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壁ツール | 平面的に線を引くだけで、立体モデリングも終わった状態で壁が作成されます。作られた壁はスタイルでコントロールするため、計画段階では単純な白い壁でも実施に入ったところで構成要素が設定された壁スタイルに置き換えるだけで、壁の詳細表記とモデリングが終了します。また、壁は自動で連結しているため、一つの壁の位置を動かせばそれに関係する壁もそれに追随して壁の長さが変わりいちいち修正をする必要がありません |
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建具ツール | 配置された建具はその種類を自由に変更でき、さらに建具一覧表に自動で書き出せます。建具ツールはオリジナルのものと日本の木造建具に特化した無料のプラグイン木造建具ツールがあります。木造建具ツールは日本の木造で使われる建具に特化したプラグインのため、非常に扱いやすいツールとなっています |
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スラブツール(床ツール) | 床や天井を作るときに使うスラブツール。設定さえしておけば、平面的な形状を作るだけでその構成要素まで含めたモデリングが完了します。変形、穴あけ、溝掘りなどさまざまな変さらにも簡単に対応。壁ツールと組み合わせることで、構成要素のかみ合わせまで自動で描画できます。スタイルでコントロールされるため床仕上げの変更も自在です |
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屋根ツール | 簡単に屋根を作成可能です。スタイルの設定さえしておけば、平面的な形状を作るだけでその構成要素まで含めたモデリングが完了。屋根種類の変さらにも簡単に対応できます。壁ツールと組み合わせることで、納まりまで自動で描画できます |
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2.BIM設計を加速するBIM機能群
Vectorworks ArchitectにはさまざまなBIM機能があります。そのどれもがBIM設計をより簡単にするためのものです。
高さを集中コントロールするストーリ
BIM設計では高さを常に考えて設計する必要があります。Vectorworks ArchitectでBIMモデルを作成する場合、高さ方向の寸法は「ストーリ」がまとめて管理します。そのため、壁や床などのオブジェクトはいちいち高さを指定する必要がなく、モデリングが正確かつ効率的に行えます。また、階高などの高さ変更が発生してもストーリ側で高さ設定を変更するだけで自動でモデルの修正が行えます。
建築情報を自在に付加するレコードフォーマット
BIM設計ではオブジェクトに建築情報が付加されており、その情報を引き出して利用する形となります。この情報の付加に便利なのがレコードフォーマット機能です。レコードフォーマットはさまざまな情報を簡単かつ自由に、そしてどんなオブジェクトにも連結できるため、思い通りの情報を付与したBIMモデルを素早く作れます。
建築情報を自由に吸い出し表示するデータタグ
情報が付与されたオブジェクトから情報をまるでハンコを押すように簡単に吸い出す機能がデータタグです。建具記号を例にすると、これまでいちいち書いていたものを平面図だろうが展開図だろうが見えている建具の上でクリックするだけで建具記号が図面に現れます。引き出す情報は設定次第で何でも可能です。建具記号の下に建具の種別やサイズを表示することも自在です。
建築情報を直感的に分かるように色付けするデータの視覚化
プランを設計しているとき「居室はどこか?」「面積区画はどうなっているのか?」「耐火の壁は?」さまざまな違いを一瞬で表示できるのが「データの視覚化」機能です。これは2Dであろうが立体オブジェクトであろうが設定一つで色分けして表示可能です。設計者はその建物の特徴を視覚的に確認しながら設計を進められるようになり、クライアントなどへの説明も色分けされた図面はとても分かりやすくなります。
情報を自動集計するワークシート
各部屋の面積を集計して面積表を作ったり、建具情報を集めて建具一覧にしたり、BIMモデルから引き出した情報を並べ整理・直して価値ある表にするのがワークシート機能です。論理式を使うことで複雑な情報処理も可能なため、設計している建物の持つさまざまな特徴を数値化できます。
3.設計を便利にする基本機能
Vectorworks ArchitectにはさまざまなBIMツールがあります。そのどれもが2Dを描くように簡単に3Dオブジェクトを作成することができ、これらを利用すると効率的な設計を実現できます。
各種素材情報や作図表現を一元管理するマテリアル
Vectorworks 2021から新たに加わったマテリアル機能。これまで一つの素材を表現しようとしたときクラスやテクスチャで線やハッチングなど2Dでの表示、テクスチャなどの3Dでの表現、性能などの素材の情報をいちいち個別に設定していました。これをマテリアル機能によって一元管理できるようになりました。一度マテリアルで素材を設定すればその後は悩まずに簡単にオブジェクトや構成要素に設定できます。
出力を容易にするシートレイヤー
VectorworksではBIMモデル作成などの(デザイン)作業をデザインレイヤーで行い、出力図面(シート)の作成をシートレイヤーで行います。設計者はデザインレイヤーで作成されたBIMモデルから図面をビューポート機能でシートレイヤーに切り出し、後は見た目を整えるだけで図面が完成します。シートレイヤー上でさまざまな図面が表現できるため図面ごとにファイルを保存することはありません。
また、図面は常に一つのモデルから切り出されるため、図面間の齟齬は発生しません。シートレイヤーは一括出力に対応しているため、図面全てを一気に出力したり、必要な部面のセットをPDFに変換したりがとても簡単にできます。
断面をいつでも確認できるクリップキューブ機能
3DのBIMモデルをいつでも自在に切り取って断面を確認できます。断面的な空間デザイン確認、天井内部や床下での構造や設備との整合性確認、いつでもどんな位置でも自在にBIMモデルをカットして確認できます。
設計を効率化するリソース管理機能
作業効率化に必要なシンボルやスタイルなどのリソース。案外散らばってしまってお困りではありませんか?
事務所内でチーム内で、だれもが簡単にリソースを利用するための機能がリソースマネージャーです。リソースマネージャーは該当ファイル内のリソースだけではなく、クラウド上のリソースファイルを共有設定できるため、だれもがどこにいても簡単に同じリソースを活用できます。
設計を効率化するプロジェクト共有機能
チーム設計を強力に支援するのが標準で搭載されているプロジェクト共有機能です。これまで図面データは一人が一つのデータを開いて作業し、だれかが同時に同じデータを触ることはできませんでした。ほんの数クリックで開始できるプロジェクト共有機能を使えば、一つのファイルで同時に複数の設計者が作業を行えます。
また、Vectorworksのプロジェクト共有は事務所内サーバーだけでなく、クラウドストレージに標準で対応しているため、場所を問わないチーム設計が可能になります。まさにテレワークなどに非常に向いた機能です。
高品質なCGレンダリング、そしてAR、VR、リアルタイムレンダリングなどの最新機能
Vectorworksの標準のレンダリングエンジンで高品質なCGを静止画、動画どちらも作れます。また、360度見渡せるVR用画像もワンクリック。簡単なモデルであれば、模型的にモデルを机の上に配置したりAR書き出しにも対応しています。また、別アプリですが簡単にデータを変換できるTwinmotonに持ち込めばリアルタイムレンダリングを行ってプレゼンも可能です。
BIMで競争力のアップを目指すために必要なこと
Vectorworks ArchitectでのBIM設計をマスターすると仕事の効率化・プレゼン表現の強化といった、仕事の質と競争力のアップを目指せるようになります。そのためには、まずはVectorworksの機能を覚える必要がありますが、非常に多数の機能が搭載されているため、覚えるのも一苦労です。闇雲に覚えていては逆に効率が落ちてしまいます。
また、Vectorworksは汎用性が高いため、自由度が高いのは良いのですが、そのせいで作図方法に迷ってしまうことも。悩んだ末に、2Dのみの利用やBIMの機能を活用できないまま作図している方も多いと思います。
「Vectorworks Architectを業務効率化や品質向上を目指して導入しても、なぜか使いこなせない」BIMによる効率化は理解していても、実践するのはなかなか難しいのはそのような理由があるからです。
まずは必要な機能に絞り、効率的に設計を進めるにはどうしたらいいのか。そのためにはまず、BIMに適したワークフローを知ることが必要になります。仕事の進め方が分かれば、必機能も絞れますし、迷うこともなくなります。それが競争力アップへの最短の道です。
設計者が考えた「実務で使えるVectorworksの活用手法」を学ぶには
せっかくBIMに興味を持ち、BIM活用を考えてVectorworks Architectの導入を検討するのであれば、設計者が考えたような実務で使えるVectorworksの活用手法を学ぶことが、一番の近道となるのではないでしょうか。
大塚商会のお客様で2019年1月よりVectorworks 使い方講座を開講しているフローワークス合同会社様(名古屋市)の「設計者が考えた 実務で使えるBIMのやり方」には、参考になるヒントが含まれています。ぜひ、合わせてご覧ください。
フローワークス Vectorworks使い方講習