座標系と測地系

BIM/CIMモデルを作成する際に、座標系や測地系といった基準について迷ったことはありませんか? ここでは、座標系と測地系についてポイントを押さえてご紹介します。

座標系について

座標系とは、平面や空間での点の位置を表すために、原点や座標軸など座標をどう定めるかの基準のことです。

2次元CADでは一般的に、XY座標系(数学座標系)が使われますが、地球上の特定の位置を示す座標系には「緯度経度座標系」や「平面直角座標系」があります。

緯度経度座標系

地球上の位置を緯度と経度で表現する座標系です。地理座標系とも呼ばれます。

緯度・経度は地球中心からの角度で示され、「○○度△△分××秒」と記載します。南北を表すのが「緯度(Latitude)」で赤道が基点(0°)となります。東西を表すのが「経度(Longitude)」でイギリスのグリニッジ天文台跡を通る子午線が基点(0°)となります。

地球は楕円体であるため、緯度経度の座標を平面の図面に表現した場合、距離や面積は正確ではありません。

緯度経度座標系(LL座標系)は、実際の地球を想定し、地球上の位置を緯度・経度・高さで指定

平面直角座標系

日本の公共測量で使用される座標系です。公共座標系とも呼ばれます。

平面直角座標系は、地球を2次元の平面上に投影して原点とそこからのXY座標で表現する投影座標系の一つで、狭い範囲を対象とした測量や大縮尺地図で使われます。

また、平面直角座標系である測量座標は、X軸を縦軸、Y軸を横軸で表し、地図の上側(北の方角)が「0度0分0秒」として右回り(時計回り)に角度を計測します。通常CADで扱う数学座標とは、X軸とY軸が逆になります。

国土地理院では、日本の公共測量で使用される平面直角座標系を19に分けて定めており、県ごとに系番号が決まっている。平面直角座標系の詳細は、国土地理院のサイトにてご確認ください。

わかりやすい平面直角座標系

測地系について

測地系とは、測量や地図作成などで使用される地球上で位置を図る(測量する)際のルールとそれに従って定められた基準のことです。

実際の地球は山があったりして凸凹していますが、測地系では地球を滑らかな楕円体モデル化して位置を表します。測地系の定義は国ごとに異なっており、日本でも時代とともに変わってきています。日本で利用される代表的な測地系を表にまとめています。現在は世界測地系2011が使われており、測地系が異なると同じ位置でも座標値が異なるため注意が必要です。

日本で利用される測地系
世界測地系2011現在、日本で使用されている一番新しい測地系。2011年の東北地方太平洋沖地震に伴う地殻変動を反映させるため、2012年10月以降はこの座標系が使われるようになった
世界測地系GPS(全地球測位システム)やGIS(地理情報システム)などの技術に対応でき、世界共通に使える測地座標系として、2002年4月以降使用。地球の重心と楕円体の中心が一致する方法をとっており、それ以前に使用されていた日本測地系に比べ、東京地区で約450mもずれている
日本測地系2002年3月まで使用。地球の表面と楕円体の表面を日本で一致させる方法をとっていた

BIM/CIMモデルには座標系・測地系の設定が必須

「BIM/CIMモデル等電子納品要領(案)及び同解説 令和4年3月」の「2.2 BIMCIM_MODEL」の中で、作成する3次元モデルについて次のように規定されています。

  • 測地系は世界測地系(測地成果2011)
  • 投影法は平面直角座標系
  • 基準水準面はT.P.を標準

BIM/CIMモデル等電子納品要領(案)及び同解説(PDF)

また、「3次元モデル成果物作成要領(案) 令和4年3月」においては、「BIM/CIMモデルの位置と向きを決める公共基準点の2点を基準点オブジェクトとして作成する」との規定が追加されました。

これらのことから、BIM/CIMモデル作成では座標系・測地系が設定できるCADを利用する必要があることが分かります。

Autodesk Civil 3DやAutodesk InfraWorksなどのBIM/CIM対応製品は、測地系や平面直角座標系を設定することができ、BIM/CIMモデリングに必要不可欠な機能を備えています。

Autodesk Civil 3D、AuoCADそれぞれの操作方法を確認したい方は、次の記事(動画)をご覧ください。