クローラーの機構をアニメーションで事前検証し、大幅な作業量と時間の短縮を実現
株式会社CuboRex
- 業種
- ロボットメーカー
- 事業内容
- クローラーユニットの製造・販売、運搬機の製造・販売、ロボット開発プラットフォームの製造・販売、施設管理ロボットの製造・販売、プラント管理ロボットの製造・販売
- 従業員数
- 16名(2022年5月現在)
- サイト
- https://cuborex.com/
導入事例の概要
小型移動ロボットの開発製造・販売企業である株式会社CuboRex。社内で種類の異なるCADツールを使用していたことによるデータの互換性の課題を抱えていた同社は、CADツールを機械設計に特化した『SOLIDWORKS』に全社で統一し、データの互換性だけでなく、設計時の時間短縮や作業量削減を可能にした。
導入の狙い
- 設計規模の拡大など、今後の発展を見越してCADツールを統合したい。
- 複雑な図面を効率よく設計したい。
導入したメリット
- 設計の時短や緻密なシミュレーションが可能に。
- 図面変更も柔軟に対応。部品データ管理も改善。
導入システム
お客様の声を動画でご紹介
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「不整地のパイオニア」をビジョンに、カスタマイズ性の高いロボットを提供
株式会社CuboRex(以下、CuboRex)は、東京都葛飾区に本社を構える小型移動ロボットの開発製造・販売企業だ。代表の寺嶋瑞仁氏が長岡技術科学大学在学中の2016年に雪上モビリティ「CuBoard」を開発したことをきっかけに創業。現在同社は主にクローラーユニットの製造や販売などを通じて、不整地産業におけるさまざまな課題解決に取り組んでいる。クローラーとは「無限軌道」や「走行用ベルト」とも呼称され、車体の両側の動輪に帯状にかけわたした装置のことで、建設機械や雪上車などに車輪の代わりに付いている部分を指す。
同社の手掛ける製品のアドバンテージは、専門的な知識がないユーザーでも手軽に自力でロボットをカスタマイズできる点だ。不整地で使える「ガチなレゴ」としてロボットを製作し、「不整地産業において、欲しい者が欲しい物を作り利用できる社会」を目指している。そのため、2019年にはスピーディーに試作ロボットを制作できる業界初のテスト用電動クローラーユニット「CuGoシリーズ」の販売を開始し、2022年現在で累計販売台数500台を突破している。
企業との共同開発も積極的に推し進めており、直近では除草剤のリーディングカンパニーであるレインボー薬品株式会社と太陽光発電所向け除草剤散布機「ネコソギマクンダーZ」を開発した。同製品は2023年正式発表予定となっている。
今後の企業の発展を見越して、3D CADツールの統合が急務に
そんなCuboRexだが、かつては設計に使用する社内の3D CAD環境に大きな課題を抱えていたという。
寺嶋氏は「2019年ごろまでは、社内で使用するCADツールが担当者ごとにバラバラな状態でした。そのためデータに互換性がないことが多く、設計規模が大きくなった場合などに、さまざまな不都合が想定されました」と振り返る。例えば、複数の社員でプロジェクトを進める場合や、社内外でプロジェクトの引き渡しなどの際にトラブルが発生することもあり得たという。そこで、今後の発展を見越し、社内で利用するツールの統一が急務となった。
代表取締役 寺嶋瑞仁氏
「2019年ごろまでは、社内で使用するCADツールが担当者ごとにバラバラな状態でした。今後の発展を見越し、社内で利用するツールの統一が急務でした」
機械設計に特化した製品を選定。コストパフォーマンスのよさも後押し
3D CADツールを統一するにあたり、寺嶋氏の知人の経営者から推薦されたベンダーが大塚商会だった。「提案力の高い企業として実績があり、高い信頼感があることを教えてもらったのが決め手でした」(寺嶋氏)。実際に大塚商会と相談し、提案されたのが3D CAD・SOLIDWORKSである。
CuboRexが3D CADツールを選定する際には、機械設計に特化した機能の有無を重視したという。「現在、業界ではさまざまな3D CADツールが使われています。中にはデザイン面の機能に優れたものも存在しますが、当社は産業機器メーカーとして成長することを目標としているため、あくまでも機械設計に特化したツールを選定しました」(寺嶋氏)
また、寺嶋氏はSOLIDWORKSのユーザー数が多いことも導入理由の一つだと語る。「SOLIDWORKSは産業用3D CADツールの利用者数が多く、Twitterのアンケート結果からもユーザー数が多いことがうかがえていました。今後の事業展開を考え、社外ともデータのやり取りができるデファクトスタンダードの製品を選ぶことが重要と考えました」(寺嶋氏)
さらに、複数製品を検討した中で5~10年単位で考えたときのコストパフォーマンスが最も高かったこともSOLIDWORKS選定の後押しになったという。
多くの社員が違和感なくツール移行を完了
CuboRexでは、2021年5月にSOLIDWORKS Premiumを1ライセンス導入。当初は新しいツールに社員がスムーズに移行できるか不安視する声もあったものの、結果、その心配は杞憂(きゆう)に終わった。「これまで社内で使用していた3D CADツールと基本的な設計画面の構造が共通していたため、比較的違和感なく移行することができました。当社は若い社員が多いということもあり、新しい技術に柔軟なことも影響したかもしれません」(寺嶋氏)
その後、同社では2021年12月にSOLIDWORKS Standardを3ライセンス、2022年3月にSOLIDWORKS Professional4ライセンスを増設し、3D CADツールの統一化を完了した。
チェーンリンク機能で大幅に時短。独自の機能活用で図面変更も
SOLIDWORKSを導入したことで、データの互換が容易になっただけではなく、機能面でも生産性の向上に大きく貢献している。寺嶋氏が特に好感触を抱いているのが「チェーンリンク」という機能だ。
「3D CAD上で連結チェーンを設計する場合、通常であれば一つ一つの部品を手動で作成する必要があるため、非常に時間がかかります。しかし、SOLIDWORKSのチェーンリンク機能を使うと、構成部品を一つ作成してしまえば、指定したパス上にパターンを自動配置でき、大幅な作業量と時間の短縮が可能です」(寺嶋氏)
さらに、CAD上で実際の動きなどを部分的にシミュレーションができる点も魅力だという。寺嶋氏はその効果について、「SOLIDWORKSの導入以前は、生産する全ての部品をCAD上で作成することを諦め、簡易的なモデルで再現することにとどめていました。しかし、今では全部品を作成してシミュレートできます」と語る。クローラーの設計をメインとするCuboRexにとってチェーンリンクは絶対に必要な機能であり、「もう、この機能なしで働くことは考えられません」と寺嶋氏は語る。
同様に、コンフィギュレーション機能も業務において有効に機能している。これは、部品やアセンブリーの形状が異なるバリエーションを効率よく作成する機能で、CuboRexではトップダウン設計の際に独自の方法で活用している。「当社での活用法は少し特殊で、設計図面を一つの部品データとして作成し、細かな部品をコンフィギュレーションとして指定しています。こうすると図面変更があったときにデータが書き換えやすく、部品のデータを管理しやすいというメリットがあります。技術的には難しいアプローチなのですが、このような使い方にも対応できる柔軟さがうれしいですね」(寺嶋氏)
業界への情報共有にも大塚商会のノウハウを活用したい
CuboRexは今後の展望として、BOM(部品表)やPDMでのデータ管理にも着手していくという。また、寺嶋氏は、「今後はCADに関わらず、大塚商会さんの提供するサービスをもっと取り入れていきたいです。また、現在他社を交えたSOLIDWORKSの勉強会を開くことを検討しています。その際はセミナー分野で豊富なノウハウを持つ大塚商会にも協力してもらいたいです」と展望を語った。