株式会社プレテック
株式会社プレテックは中央ネームプレートのグループ企業です。中央ネームプレートは昭和36年に北海道札幌市に創業した企業で、名札などの各種プレートや電子機器を自社内で設計から加工・組み立てまで仕上げており、道内では独自の地位を築いています。20年ほど前、国内で電子機器の需要が高まりプリント基板設計の必要性が増してきたことがありました。そこで、それまで外注に頼っていた設計を内製化するため道内の技術者を集め、グループ企業として設立されたのが当社プレテックです。現在では基板の販売電子機器設計制作のほか、板金・筐体設計、オゾン発生装置開発製造まで行っています。オゾン発生装ではオゾンジェネレーター、車載用オゾン発生機、アセスマンロッカーなどを製品化しています。
北海道札幌市に拠点を置くプレテックは筐体設計用のCADをSolidWorksに変更することで、設計ミスの削減に成功しています。今回はSolidWorks導入の経緯や各種効果を、同社 取締役技術部長 篠原徹氏と亀井泰文氏にお伺いしました。
筐体の設計に2次元CADを採用
設計の電子化の経緯をお聞かせください。
15年ほど前のことですが、お客様から「筐体の設計もできないか」と打診されました。プリント基板を設計しているのだから、その入れ物の筐体もできるだろうというのです。技術的には全く問題ありません。引き受けて求められる仕様の筐体の設計をしていたのですが、ほどなく設計をCADでやってくれないか要求してきます。
設計の電子化の話は前から聞いていました。これも時代の流れかもしれないと導入することにしました。幸い社員の一人がCADの経験者でしたので、ほかの社員も学んで社内に浸透していきました。
入れてみると確かに生産性をアップすることができます。作成した図面の修正も楽にできますし、図面の管理も効率化できます。何よりもお客様とデータでやり取りすることで工期を短縮できたと思います。
篠原徹氏
「SolidWorksは全国区で戦うための武器となります。」
外部とのデータ交換を考慮してSolidWorksを採用
SolidWorksの採用の経緯をお話しください。
しばらくは2次元CADを使っていたのですが、次第に2次元では描けない駆動部分などの設計が増えてきました。ギアが入ったりすると3次元でなければ表現が困難です。2次元CADを入れて成功していますので、そろそろ3次元CADを考えるべきと導入を検討することにしました。
3次元CADを調べてみた中で注目したのがSolidWorksでした。ポイントは二つあります。一つはお客様もSolidWorksを使っていたことです。お客様とSolidWorksのデータでじかにやり取りできるのは大きな魅力でした。もう一つはグループ企業である中央ネームプレートが使用している板金工作機がSolidWorksに対応していたことです。
設計の電子化の大きな導入効果の一つに、外部とのデータ共有があると思います。その能力が、SolidWorksは卓越していたと思います。
大塚商会からSolidWorksを購入していますが、なぜでしょうか。
早くから当社グループに出入りしていたからです。当社はコンピュータやネットワーク機器などを大塚商会から購入し、システムインテグレーションもお願いしていました。そこで、SolidWorksの見積りをお願いし、提案されたSolidWorks Professionalを導入することにしました。当時、道内でSolidWorksの販売とサポートを提供しているのは大塚商会だけだったのも理由の一つです。
亀井泰文氏
「単純な設計ミスがなくなりました。お客様との完成イメージの共有もスピーディにできます。」
些細な設計ミスを撲滅
使ってみた印象をお聞かせください。
はじめは2次元と3次元の設計概念の違いに戸惑いました。2次元は面で考えて線で描いていきます。しかし、3次元ははじめから立体形状で考えます。慣れてくると頭の中にだけあった完成イメージを最初から形にすることができるようになります。
このことはお客様満足度の向上にもつながりました。お客様に製品の仕上がりをプレゼンテーションしますが、3次元で作成していますので完成イメージを共有しやすく誤解がありません。
設計中のデータのやり取りや修正対応もSolidWorksで行いますからお客様の確認も効率的になります。結果、スピーディで間違いのない設計を実現できました。
SolidWorksによる3次元設計データ
SolidWorksを導入してどのような効果が得られましたか?
それまで無理して2次元CADで設計していたものを3次元CADですることにより、設計工程の効率化が図れました。
例えば、2次元CADで元図を描いてそれを加工図に展開して描き直していくわけですが、元図を描いた人間でなければ分からない箇所が往々にしてあります。しかし、SolidWorksでは加工図への展開を自動的に行えますから間違いがありません。
設計後の修正ミスもなくすことができます。例えば筐体サイズを変更する場合、人間ではどうしても見落としてしまう箇所が出てきます。できあがってからねじ穴の位置が移動されていなかったなどです。これは10製品仕上げると一つはこのような単純ミスがあり完成してから設計変更するなどしていました。
しかし、SolidWorksでは設計の妥当性をすぐに検証することができるので、このような単純ミスがなくなります。設計のミスをなくすという点では他部品と仮想的に組み合わせることができるのも大きなメリットです。完成したプリント基板を筐体に組み込む前にSolidWorks上で確認ができます。例えば、入り口が小さすぎて入らないというようなミスが格段に少なくなりました。
このレベルのミスになると再度設計をすることになってしまいます。SolidWorksになってからではこのような手戻りがほとんどなくなりました。
ほかにSolidWorksならではのメリットはありますか?
部品メーカーが公開している部品ライブラリの多くが、SolidWorksに対応しているのも大変便利です。当社が設計で使う半分以上は対応しているのではないでしょうか。ほかの3次元CADではこのようなことは期待できません。購入部品を選択する場合、まず部品ライブラリがSolidWorksに対応しているかどうかを確認するほどです。
流体解析を検討中
今後検討していることはありますか?
流体解析を取り入れたいと考えています。具体的にはSolidWorks Flow Simulationになります。電子部品を組み込む筐体設計をしているわけですが、半導体は熱に弱く、電子部品は電気を熱に変えるため熱の逃げ道を設計しなければなりません。
空調ファンのパワーはどれぐらいか、どの位置に付けてどの方向に熱を逃がすのか。従来はこれを経験上の勘でやって来ましたが、それではお客様に説明のしようがありません。ここに空気の流れと熱の分布をシミュレーションできるSolidWorks Flow Simulationを使いたいと考えています。
今後の御社の展開を教えてください。
20年前、起業してからしばらくは道内のお客様がほとんどでした。しかし、設計の電子化を開始してSolidWorksも導入するようになり、今では道内と本州とでは半々になっています。競争力を強化することで本州のお客様を増やすことができたのです。
SolidWorksをはじめとする設計ツールの強化は本州で戦う大きな武器となります。大塚商会は常に最新のツールや新たなソリューションを当社に提案してくださり、大変助かっています。日本全国を商圏として戦っていくためにSolidWorksはもちろん、大塚商会は欠かせないパートナーであると考えています。今後も提案をお願いしたいと思います。